音楽ナタリー PowerPush - 坂本真綾
豪華アーティスト11組の愛あるリクエスト
1996年4月24日、坂本真綾はシングル「約束はいらない」でアーティストとしてのキャリアをスタートさせた。デビュー20周年記念として立ち上がったプロジェクトでは早くもさまざまな企画が進行しており、4月22日にはその第1弾としてトリビュートアルバム「REQUEST」がリリースされる。音楽ナタリーでは坂本へのインタビューを行い、アルバム参加アーティストや楽曲にまつわる思いを語ってもらった。
取材・文 / 臼杵成晃
世代も音楽性もさまざまな方々が1枚のアルバムに
──今作の参加アーティストは特設サイトなどで段階的に発表されましたが(参照:真綾トリビュートに新居昭乃、KIRINJI、SUGIZO、鈴木祥子 / 坂本真綾トリビュートに冨田ラボ、トラトリ、Negicco、バンアパ / 坂本真綾トリビュートにまゆゆ、ラスマス、真心も参加)、そのたびに大きな話題となりました。坂本さんの作品でおなじみの方から意外な人選まで、本当に幅広いメンツがそろいましたね。
ホントそうですね。最初はざっくばらんに、この方にお願いしたらどうだろう、この方が参加してくれたらいいなあと思う人を私とスタッフでどんどん挙げていったんです。そうやって考えていく中で、世代も音楽性もさまざまな方々が1枚のアルバムに集まっていると面白いだろうなと思って声をかけさせてもらって。もちろん、ほかにももっとお願いしたい方はいっぱいいたんですけど、1枚に収めるために断腸の思いで11組に絞らせていただきました。
約束はいらない / the band apart
[作詞:岩里祐穂 / 作曲:菅野よう子 / 編曲:the band apart]
──では1曲目から順にじっくり話を聞かせてください。まずはthe band apartの「約束はいらない」。バンアパはここ1、2年で急速に親交を深めたアーティストですね。
はい。初めてご一緒したのが去年の2月に出したシングル曲の「Be mine!」だから(参照:坂本真綾「SAVED. / Be mine!」特集 坂本真綾×the band apart(原昌和&木暮栄一)対談)、まだ1年ちょっとしか経ってないんですけど全然そんな感じがしないんですよね。同世代というのもあるんでしょうけど、もっと前からの知り合いのような。今回のアルバムを作るにあたって、バンドサウンドで、しかも男性ボーカルで私の曲を歌うとどうなるのかは絶対に聴きたかったし、私の音楽を聴いてくださっていた原(昌和)さんならきっと斬新なアイデアを出してくれるだろうと思ってオーダーしました。
──ちなみに各アーティストの楽曲チョイスはどのように?
アーティストによってそれぞれですね。私のほうから「これを歌ってほしい」とお願いした方もいますし、バンアパの場合は原さんに思い入れの強い曲を選んでもらった結果「プラチナ」と「約束はいらない」の2曲が挙がって、最終的にバンドで話し合って「約束はいらない」に決めたそうです。
──実際に男性ボーカルのバンドサウンドで生まれ変わった「約束はいらない」はいかがでしたか?
やっぱり普段のバンアパに比べると歌詞がかわいらしいし、私にとっては16歳の頃の曲なので(笑)、できあがるまではどんな感じになるのか想像もつかなかったんですけど、聴いてみたら思ったより全然違和感がなくて。女性的な歌詞には感じない不思議ななじみ感ですよね。なによりアレンジがカッコいい、バンアパらしいサウンドになっていてうれしかったです。「約束はいらない」は私のデビュー曲だから絶対どなたかにはカバーしてほしいと思ってたのですが、バンアパにお願いして正解でした。
うちゅうひこうしのうた / KIRINJI
[作詞:一倉宏 / 作曲:菅野よう子 / 編曲:KIRINJI]
──続いてKIRINJIによる「うちゅうひこうしのうた」ですが……。
これは泣いちゃいましたねー。今の編成のKIRINJIになって、あの6人のサウンドがここにあるというか。歌はコーラス含めて6人全員参加してくださっているんです。私はベースの千ヶ崎(学)さんと一緒にツアーを回ったりして仲よくしているんですけど、まず堀込(高樹)さんに参加のお願いをしたら「千ヶ崎がよく知ってるから、彼に曲候補を絞ってもらおう」って。
──千ヶ崎さんも原さんと同じように、共演する前から坂本さんの音楽を聴いていたんですよね。
そうみたいですね。千ヶ崎さんにいくつか選んでもらって……「最後の果実」と、あとはなんだったかな。3曲ぐらいに絞った中で、「うちゅうひこうしのうた」はほとんどピアノ1本の曲だし、アレンジがしやすそうということでこれにしたそうなんですけど、この曲にしたと聞いたときは「絶対に合う!」と思いましたね。曲調も、哲学的な歌詞も。今回のリードボーカルのコトリンゴさんは「みんなのうた」でこの曲を知っててくださったらしくて。コトリンゴさんの声にだんだんほかの5人が寄り添っていく感じは、私には絶対に出せない世界観なので、新鮮で面白かったです。
- トリビュートアルバム「REQUEST」/ 2015年4月22日発売 / FlyingDog
- 初回限定盤 [CD2枚組] 4212円 / VTZL-99
- 通常盤 [CD] 3024円 / VTCL-60396
DISC 1「REQUEST」収録曲
- 約束はいらない / the band apart
[作詞:岩里祐穂 / 作曲:菅野よう子 / 編曲:the band apart] - うちゅうひこうしのうた / KIRINJI
[作詞:一倉宏 / 作曲:菅野よう子 / 編曲:KIRINJI] - トライアングラー / 渡辺麻友
[作詞:Gabriela Robin / 作曲:菅野よう子 / 編曲:佐々木裕] - 雨が降る / TRUSTRICK
[作詞:坂本真綾 / 作曲:かの香織 / 編曲:Billy] - バイク / SUGIZO feat. IA
[作詞:岩里祐穂 / 作曲:菅野よう子 / 編曲:SUGIZO] - さいごの果実 / 鈴木祥子
[作詞:坂本真綾 / 作曲・編曲:鈴木祥子] - 光あれ / 冨田ラボ feat. Emi Meyer
[作詞:坂本真綾 / 作曲:菅野よう子 / 編曲:冨田恵一] - プラチナ / Negicco
[作詞:岩里祐穂 / 作曲:菅野よう子 / 編曲:長谷泰宏] - 奇跡の海 / 新居昭乃
[作詞:岩里祐穂 / 作曲:菅野よう子 / 編曲:保刈久明 / コーラス編曲:新居昭乃] - afternoon repose / Rasmus Faber feat.Frida
[作詞:Shanti Snyder / 作曲:カンノヨウコ / 編曲:ラスマス・フェイバー] - ポケットを空にして / 真心ブラザーズ
[作詞:岩里祐穂 / 作曲:菅野よう子 / 編曲:Low Down Roulettes]
DISC 2「ORIGIN」収録曲(初回限定盤のみ)
- 約束はいらない
- うちゅうひこうしのうた
- トライアングラー
- 雨が降る
- バイク
- さいごの果実
- 光あれ
- プラチナ
- 奇跡の海
- afternoon repose
- ポケットを空にして
坂本真綾(サカモトマアヤ)
1980年3月31日生まれ。幼少時より劇団で活動し、1996年4月にテレビアニメ「天空のエスカフローネ」のオープニングテーマ「約束はいらない」で歌手デビューを果たした。声優、女優としても活躍しながら、コンスタントにオリジナル作品を制作している。2015年春からはデビュー20周年を記念したさまざまな企画を実施。4月にはトリビュートアルバム「REQUEST」をリリースし、埼玉・さいたまスーパーアリーナ公演「坂本真綾 20周年記念LIVE “FOLLOW ME”」を行う。また5月には広島・嚴島神社高舞台にてスペシャルライブ「第26回JTB世界遺産劇場 -嚴島神社- 坂本真綾 20th Anniversary Special Live Open Air Museum 2015」が開催される。6月にはCorneliusとのコラボレーションによる「坂本真綾 コーネリアス」名義のシングル「あなたを保つもの / まだうごく」をリリースする。