「LYSMをもっと知りたい」と思えるアルバム
──そして、早くも1stアルバム「Love You So Much」が完成しましたが、現在どんな心境ですか?
久遠 まだ1年も活動していないのに、オリジナル曲が9曲もあるのはかなり速いペースなんじゃないかなと思っていて。お客さんからも「いっぱい曲があってライブが楽しい」と言われるんですよ。それがすごくうれしいです。
遠峯 1曲1曲が全部違う雰囲気なので、「どういうグループ」ってひと言で言い表せないのと同じで、「どういう音楽」とも言えない。それが面白いポイントなんじゃないかなと思います。
久遠 9曲全部タイプが違うから、「LYSMってこういう感じなんだ」とわかるというより、「わからない」ということがわかると思います(笑)。だから「もっと知りたい」と思ってもらえるようなアルバムになっているんじゃないかな。
──制作はいかがでした? 苦労したことや工夫したことなどがあれば。
月城 「LYSM」を最初に録ったんですけど……。
久遠 そう、最初にリリースした曲は「ネオンで花束を」なんですが、実はレコーディングしたのは「LYSM」のほうが先だったんですよ。
天辺 歌詞をもらったのがレコーディング当日だったんだよね。「ええーっ!?」って驚きました。
遠峯 そうだったね(笑)。
月城 レコーディングというもの自体が初めてだったし、ブースに入って歌うのも初めてで。めちゃめちゃ緊張して、夢の中にいるみたいな感覚でした。ちゃんと練習通りに歌えたかどうかはわからないですが、「ここから5人のLYSMが始まるんだ」という思いが込められているので、この曲を一番聴いてほしいな。私は「LYSM」が一番好きです。
久遠 私も「LYSM」のレコーディングでは、周りから「ガチガチだよ」と言われちゃうくらい緊張していて。録り終えたときは放心状態でしたね。
──そこからレコーディングの経験を重ねてきて、だいぶ慣れてきたんじゃないですか?
月城 慣れましたね。一番最近録ったのが「春に問う、君に恋う」なんですけど、リラックスして自分が今できる最高なものを録れたかなと思います。
一宮 まりぴもすごく変わりました。「LYSM」のときとは違う人みたい。
遠峯 マイク前に立って一発目に出る声の質が全然違ってきたよね。最初からいい声が出るようになってる。
久遠 「LYSM」のときは集中するだけで精一杯だったので、このままじゃダメだと思ったんです。自分で考えてボイトレにも通わせてもらって、だんだん周りからも「よくなった」と言われることが増えてきました。今は「もっとがんばりたい」という欲も出てきていますね。
──今となっては、ブースに入っても余裕ですか?
久遠 いや、全然ダメです。
一同 あははは!
月城 確かに、まりぴは常に緊張してる。
一宮 この見た目に反して、一番緊張する人なんですよ。
──ほかの皆さんはどうですか? 9曲を録っていく中で変化や成長を感じたところは?
遠峯 改めて曲を聴いてみたら、やっぱり「LYSM」と「春に問う」では全然歌い方が違うなって。私はLYSMの前からずっと歌をやってきたので、「自分の歌はこう」と固まっていた部分もあったんですけど、「こんなに変わるんだ?」と自分でびっくりしました。しっかり胸で響くようになってきたというか、出ている声の種類がそもそも違うなと感じています。あとアイドルならではの、踊りながらの歌い方にも慣れてきた気がしていますね。
天辺 私は今まで、自分の声がなんか嫌だなと思っていたんです。ちょっとクセがあるというか、メンバーやスタッフさんたちにモノマネされるし(笑)。でも、ファンの方から「声いいね」と言ってもらえることが多くなって、今では自分を全開で出せるようになったと思います。
一宮 私が特に印象に残っているのは「僕らは。」のレコーディングです。その頃みんなけっこう忙しくて、壁にぶち当たっていてちょっと大変な時期だったんですよ。そんなときに「僕らは。」の歌詞を見て、「こんなにメンバーの状況と重なる歌詞、あります?」と思いました。もがいている時期に録ったからこそ気持ちの入った歌になっていると思います。
アニメだったら私たちが主人公
──このアルバムを聴かせていただいて、楽曲の機能面よりも音楽的なクオリティを重視している印象を受けました。例えばですけど、ファンがコールを入れるためにAメロは何拍か空けておく、というような作りにはなっていないですよね。それはコロナ禍であることも関係しているとは思いますが。
一宮 そうですね。私は、楽曲をアイドルのための素材とは思っていないんです。LYSMはあくまでも楽曲を主軸にしているので、アイドルだけど、アイドルであることに甘えずやっていきたいです。
遠峯 お客さんからも「LYSMはアイドルというよりアーティストだよね」と言ってもらえることが多くて、それが私はすごくうれしいんです。その一方、この前、えまたその地元秋田でやったライブが私たちにとって初めての声出しOKの公演だったんですけど……。
一宮 マスクとフェイスシールドありでね。
遠峯 そのときに初めてファンの方にMIXを打ってもらって、すごく楽しかったんです。そういうふうにライブで一緒に盛り上がれることも大事だし、楽曲は楽曲で音源だけ聴いて楽しめることも大事だと思うので、どちらの楽しみ方もできるのが理想かなと思っています。
──グループのコンセプト的にも「Love You So Much」、つまり「愛を届ける」ということで、ものすごいド直球ですよね。ある時期以降のアイドルグループって、奇抜なコンセプトなり偏った音楽性なりで、いかに奇をてらうかの勝負みたいになっている部分もあると思うんですけど……。
遠峯・一宮 うんうん!
──LYSMはそういうのじゃなくて、いい歌、いい曲、いいパフォーマンスといった本質の部分で勝負したい人たちなんだろうなと。
遠峯 はい、そうです! 質のよさが結局は一番大事だと思うので、それで勝負していけるのが一番いいですね。
一宮 変な言い方になりますけど……この世界がアニメだったら私たちが主人公だろうな、みたいな立ち位置でいたいというか(笑)。LYSMには「本物の実力で夢をつかみに行く!」という空気があって、すごく誇らしいです。
──最終的にはどういうふうになっていきたいですか?
遠峯 掲げている目標としては、「日本武道館に立ちたい」という思いがあります。たくさんのアイドルやバンドが目標にする舞台というイメージがありますし、こういう言い方はよくないかもしれないですが、そこに立つのが一種のステータスというか。「武道館に立った」という事実はすごく大きなものだと思うので、私たちも目標に掲げていきたいですね。
一宮 とにかく大きくなりたいという思いがあるんです。「大きい」イコール「武道館」みたいな。
遠峯 語彙力(笑)。
天辺 個人的には、大好きな℃-uteが武道館を1つの目標にしていたというのが大きいです。大きいところならどこでもいいわけじゃなくて、絶対に武道館がいいです。
遠峯 それで言うと私も、BiSが武道館で解散コンサートをできなかったことがある種の刷り込みになっているかもしれないです。私たち、好きなアイドルに夢を刷り込まれる傾向があるのかも(笑)。
久遠 私、武道館行ったことないんですよね。
月城 私もない。
一宮 実は私も行ったことないや。
──あ、そうなんですね。自分のライブで初めて行くとなったら、めちゃくちゃカッコいいじゃないですか。
久遠 確かに!(笑)
月城 そうなれるようにがんばります!
一宮 そのときまで取っておきます!
遠峯 絶対に行こうね。
──その前にまず、1stワンマンツアー「LYSMを刻んで」が間もなく始まりますね。
久遠 ほかのアイドルさんやファンの方から「もうワンマンでツアーするの?」と言われるんですけど、それくらい恵まれた環境でやらせてもらっているんだなと感じています。多くのライブに出させてもらったり、サブスクでプレイリストに入れてもらったり、たくさんの人の目や耳に触れる機会を多くいただいていて。そんな環境にあって、11月に行った1stツアーのファイナルをソールドアウトできなくて悔しい思いをしたんです。だから今回のファイナル、2月6日の下北沢シャングリラは絶対に埋めたい。
一宮 まだまだ自分たちの力がこの恵まれた環境に見合っていないというか。こんなに早い段階でワンマンで回らせてもらうことに「どうしよう?」という焦りもあるんですけど、アルバムも出ることですし……。
久遠 音源を聴いた人に「ライブに行ってみよう」という気持ちになってもらいたいよね。
一宮 やっぱりライブが一番、私たちのエネルギーが伝わる場だと思うので、会場に来て、生で私たちのすべてを感じてもらいたいです。
遠峯 余すことなくね。
ライブ情報
1st ONEMAN TOUR “LYSMを刻んで” ~1st Album「Love You So Much」レコ発~
2022年1月16日(日)大阪府 アメリカ村 BEYOND
OPEN 12:30 / START 13:00
2022年1月23日(日)愛知県 ell.SIZE
OPEN 17:30 / START 18:00
2022年2月6日(日)東京都 下北沢シャングリラ
OPEN 17:30 / START 18:00
プロフィール
LYSM(リズム)
天辺りんか、一宮えま、遠峯あかり、月城せいな、久遠まりあの5人からなるアイドルユニット。グループ名のLYSMはLove You So Muchの略。2021年7月に配信シングル「ネオンで花束を」でデビューを果たし、翌8月に初ステージを経験した。2022年1月に1stフルアルバム「Love You So Much」をリリースし、同月から2月にかけて1stワンマンライブツアーを行う。
LYSM (@LYSMLYSMLYSM) | Twitter