LYSM「Love You So Much」インタビュー|アイドルであることに甘えない、ギミックを排除した直球グループが1stアルバムリリース

5人組アイドルユニット・LYSMが1stアルバム「Love You So Much」をリリースした。

昨年7月に配信シングル「ネオンで花束を」でデビューを果たし、翌8月に初ステージを経験したLYSM。それ以降、ほぼ毎月のペースで楽曲を発表してきた彼女たちは勢いそのままに、デビュー半年で早くもフルアルバムを完成させた。本作にはSACHIKO(FLiP)、梅田貴之(ex. SHIT HAPPENING)、小野﨑建太(ex. SHIT HAPPENING)らが制作した全9曲が収録されている。この特集では音楽ナタリーのインタビュー初登場の5人に、作品についてのみならず結成の経緯から各メンバーのパーソナリティやアイドル観、将来的な展望に至るまでを幅広く語ってもらった。

取材・文 / ナカニシキュウ撮影 / 高橋佑樹

LYSMができるまで

──最初に、グループ結成のいきさつを教えてください。まず、えまさんが現在の事務所に入ったところから始まったと聞いていますが。

一宮えま そうです。私はもともと地元の秋田でセルフプロデュースのアイドルをやっていたんですけど、相方の子が進学するタイミングで今まで通りのペースで活動することができなくなるかもしれなくて、それで上京することを決めて。所属先を探していく中で今の事務所のオーディションを見つけました。

久遠まりあ その次に入ったのが私です。アイドル業界のことは全然知らなかったんですけど、友達が地下アイドルをやっていたので、そのライブを観ているうちに「私もステージに立ちたいな」と興味を持ち始めて。その頃たまたま同じ事務所のSPARK SPEAKERさんのライブを観に行って、新規グループのメンバーを募集しているのを知って応募しました。もともと「人目に触れる場所に立ちたい」という思いは持っていたんですよね。

LYSM

LYSM

──そこから3人目としてあかりさんが加入するまでけっこう期間が空いたみたいですけど、まりあさんとえまさんはその間、2人で何をしていたんですか?

久遠 今もやっているエマリアチャンネルというYouTubeチャンネルを開設して、主にその活動をしていました。2人で企画を考えて。グループができるまで何もしないのは違うし、とにかく何かやりたいという気持ちでした。

一宮 あとはダンスレッスンやボイストレーニングを受けさせてもらっていたんですけど、正直「何をやっているんだろう?」という気持ちはありました(笑)。本当にアイドル活動ができるのか、すごく不安で。でも、前のグループのファンの人たちも待ってくれているわけだし、「絶対に東京にしがみついてやる!」という気持ちでいましたね。

遠峯あかり 私は前に別のグループで活動していたんですけど、そこを脱退することになり、「これからどうしようかな?」と考えながらオーディションのサイトを見ていたときにこの事務所を見つけました。もともとつばさFlyさんが所属していた事務所で、私はWACKのアイドルがすごく好きで、SCRAMBLESさんつながりでつばさFlyさんの伝説性みたいなものも知っていたんです。なので、この事務所のオーディションを受けてみようと思って。

天辺りんか 私も同じです。つばさFlyさんの「Life is Beautiful」という曲が本当に大好きで、「この事務所に入れば、自分もそういう曲を歌えるかもしれない」と思って応募しました。

月城せいな 私はこの業界のことを全然知らなかったんですけど、まりぴ(久遠)と同じように友達がアイドルをやっていたんです。その子がステージに立った瞬間、全然違う人みたいに見えて「すごい!」と感動して。「ステージに立ちたい」という夢は小さい頃からあったので、「私もアイドルをやってみよう」と思って応募した感じです。

遠峯 私のあとにこの2人がほぼ同時くらいに入ってきて、今の5人になりました。

久遠 それが2021年の2月とか? まだ1年経たないくらいですね。

──そもそも皆さんは、なぜアイドルになろうと思ったんでしょうか。まりあさんとせいなさんに関しては今のお話にありましたけど、ほかの3人は?

遠峯 私はもともとお芝居をやっていて。学生時代は「お芝居をやって生きていきたい」と思っていたんですが、あるとき友達に誘われてBiSHのコピーグループをやったんですよ。それが転機になりました。もともと歌うことも踊ることも好きだったんですけど、「人前で歌って踊るのって、こんなに楽しいんだ!」と初めて感じて。そこで完全にお芝居からアイドルにシフトした感じでしたね。

遠峯あかり

遠峯あかり

遠峯あかり

遠峯あかり

一宮 私の場合は、高校生のときに初めてハマったアイドルがでんぱ組.incさんだったんです。当時の私は引きこもりだったんですけど、似たような境遇の人たちが輝いている姿を見て「私もこういうふうになりたい!」とすごく元気づけられました。それからアイドルを好きになっていって、地元のアイドルフェスで観たBELLRING少女ハートさんにすごくハマっちゃったんです。そこから「自分もライブアイドルになりたい」という思いも生まれた感じですね。

天辺 私は℃-uteさんやチームしゃちほこ(現・TEAM SHACHI)さんが大好きで、小さい頃からずっとアイドルになりたかったんです。でも、ずっと親に言えなくて。最初は親に内緒で活動を始めたんですが、あるときライブに呼んでみたら「この活動をしているときのほうが楽しそう」と言ってもらえて、それで「私は就職しないでアイドルになりたい。これを続けていきたい」と決意できました。

5人のグループ内の役割

──皆さんのグループ内での役割についても教えてください。まず、リーダーのまりあさんはどんな存在ですか?

遠峯 みんなのお母さんみたいな感じです(笑)。ビジュアルは見ての通りすごく派手なんですけど、実はすごく家庭的で。みんなのことをよく見ていてくれるし、心のケアとかもしっかりしてくれる。メンバーを支えてくれる存在ですね。

久遠 (照れながら)かゆい、かゆい。

遠峯 あと、新宿で外国人に声をかけられる担当。

久遠 あははは。歌舞伎町のライブハウスに行くとき、必ず外国人の方に「Nice body!」って言われるんですよ。言われなかったためしがない(笑)。その見た目とのギャップなのかわからないですけど、TikTokで「ササミの筋の取り方」の動画がバズったこともあって。料理ができるだけで意外だと思ってもらえるので、この容姿はありがたいなと思っています(笑)。

久遠まりあ

久遠まりあ

久遠まりあ

久遠まりあ

──では、あかりさんは何担当ですか?

遠峯 パフォーマンスで言ったら、歌ですね。

一宮 で、裏ではおしゃべり担当かな。

天辺 本当にずっとしゃべってるよね。

遠峯 ツッコミに回ることが多いです。(一宮、天辺を指して)ボケ倒す人たちと、(久遠、月城を指して)天然ボケの人たちがそろっているので。

一宮 あははは、確かに(笑)。

──えまさんはどうでしょう。

遠峯 ムードメーカーかな。常にアホでいてくれるというか(笑)、場を明るくしてくれるから空気が重くならないんですよ。

久遠 寝起きは最悪だけどね。

一宮 (笑)。ムードメーカーと言ってもらえることは確かに多いです。

月城 あとは、絵。本当に多才なんですよ。

遠峯 ミュージックビデオのイラストを描いてくれてるし、今回のアルバムジャケットもだよね。

一宮 背景のイラストは私が描きました。アイドルになったら絵のスキルを使うことはないのかなと思ってたんですけど、いろいろ役に立ててすごくうれしいです。オーディションのときも、絵の話なんて一切しなかったんですよ。

それぞれの色がちゃんと出ているグループ

──では、せいなさんは?

遠峯 末っ子。みんなでクソガキ扱いしています(笑)。

月城 クソガキじゃないよ! “末っ子係”でお願いします。

一宮 最初はすごくかしこまってたんですけど、甘やかしすぎましたね。今ではすっかり生意気って感じ(笑)。

月城 一応、ダンスではみんなを引っ張っていきたいなと思っています。小学校2年生くらいからシンクロナイズドスイミング(アーティスティックスイミング)を8年間ほどやっていて、その経験が今に生きているというか。アイドルになって初めて「やってきてよかったな」と実感できたんです。

──確かに、“全身を使って美しく見せるチーム競技”という意味ではグループでのダンスと通ずるものは多そうですね。

月城 そうなんです。ほぼ同じかもしれない。だからこの活動を始めて、あのつらかった練習の日々がやっと報われたなって。

──最後、りんかさんは何担当ですか?

一宮 ラブリー担当というか、アイドル担当。LYSM全体のアイドル値を上げてくれる存在です。

遠峯 でも、こんなにぶりっ子でかわいいのに、お笑いにすごくストイックで。「あ、今の面白くなかった! もう1回やり直したい!」とか言い出すタイプですね。

天辺 だから、えまたそ(一宮)がうらやましいんですよ。ちゃんと計算したうえで面白いから。

一宮 やめてよ(笑)。

天辺 私も面白いことが言えるようになりたいです。

月城 目指すところ、そこなの?(笑)

遠峯 それと、動画編集ね。LYSMのYouTubeチャンネルに上がっているバラエティ部の動画は、全部りんちゃん(天辺)が編集してくれていて。メンバーの面白いところをわかってくれているから、ちゃんと個性が出るような編集をしてくれるんです。

天辺 私はもともとゲームが好きで、ゲーム実況者さんの動画をいろいろ観て育ったんです。だからパソコンを持ったタイミングで「私もやってみたいな」と思って、自分で編集した動画を友達に見せたりしてきて。えまたそのイラストと同じで、まさかその経験がアイドル活動に生きるとは思ってなかったですけど。

天辺りんか

天辺りんか

天辺りんか

天辺りんか

──そんな個性豊かな5人が集まってできたのがLYSMなわけですが、「LYSMってどんなグループなの?」と聞かれたらどう答えますか?

遠峯 なかなかひと言では言い表せないですね。いろんな人たちが集まっちゃったなって。最初は「この5人で、ちゃんと1つのグループになるのかな?」と思ってたけど……。

久遠 ここまで1人ひとりのキャラが明確に分かれているグループも珍しいんじゃないかな。同じ衣装を着ていても、全員バラバラな個性を持っていることがひと目でわかるグループだなって。5人の色がちゃんと出ている。

一宮 色彩鮮やかって感じ。

──それは確かに感じました。新しいアイドルグループが出てくると、まずメンバーを見分けるのが大変だったりするんですけど(笑)、LYSMに関してはまったく苦労しませんでしたから。

一同 うれしい! やったー。