lyrical school|男女8人組に生まれ変わった“LS8”の現在地 (4/4)

全クリしたと思ったら新しいマップが出てきた

──8人体制がスタートしてアルバム完成に至った現段階で、キムさんとしては構想の何%くらい実現できていますか?

キム 僕個人の思いとしては……実はもう1曲入れたい曲があったんで、あと1曲あれば100%いけたのかなあ。前の体制で最後に作ったアルバム「L.S.」ではできなかったことがあって、「これ以上は今のやり方だと無理かも」と思っていたんですよ。メンバー個々にフィーチャーしてやっていくのは、前の体制のシステムだと限界があった。新体制になるならこんな感じのアルバムになったら……と当初考えていた構想はだいたい実現しているんですけど、minanを入れたこの8人と出会ってからこれまでの時間の中で、それぞれの個性が見えてきた今の段階では100%には満たない。もうちょっとこの子のここを出してあげたかったな、とか。

lyrical school

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──発展途上の段階だからこそ、もっと上を目指せそうだという余白が見えてきた?

キム そういった部分もあると思います。あとは例えば、作家さんに「この子のこういうところが魅力的なんで、そこが出るように作ってください」とオファーしたとして、まだまだメンバーのキャラクターを説明する資料が少ないんですね。だから、うまくいくところもあれば、よさを引き出すのに時間がかかるところもあって。「もうちょっとうまくやれたな」という宿題を残してしまったので、あと1曲作ってもうちょっとこのあたりを補完できていたらなと。でもアルバムとしてはとても満足できるものになったし、できなかったことは次の作品へのモチベーションにもなるので。

──グループとしての変化は構想通り?

キム はい。「L.S.」はもともと前体制のラストアルバムとして作っていたわけじゃないし、あのアルバムでやりたかったことを表現し切れなかった悔しさがすごく大きかった。あのとき「こういうことがやりたいのにな」と感じていたことは実現できていますね。もちろん全員が自分の得意なことだけやれているわけじゃなくて、曲に合わせて表現しているところもあると思うけど、malikが「Fallin'」について言ってたように、自分にとって気持ちいいところが用意されているなと全員に1カ所でも感じてもらえていたらうれしいですね。

──ここから付き合いが長くなればなるほど、曲とメンバーの関係もよくなっていくでしょうし。

キム そうですね。過去曲をやっている中でも「あ、あの子のこの感じめっちゃいいじゃん」と発見することもあって、それはそれで面白いし。何より男の子の声が入ることによって表現の幅が大きくなったのはめちゃくちゃデカいですよ。やれることがめちゃくちゃ増えたので。全クリしたと思ったら新しいマップが出てきたみたいな(笑)。

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それぞれ好きなことやったらよくね?

──アルバムも完成していよいよここから、というところかと思いますが、2年目のLS8はどうなっていくと思いますか? どなたかにバシッと決めてもらいたいのですが……tmrwさん、いかがでしょう?

minan (両手を合わせて拝んでいるmanaを見ながら)何やってんの?

mana 神頼み。いい言葉が出ますように……。

tmrw 正直、僕は人のことを見る余裕もないし、あまり他人に興味がなくて……。

一同 (笑)。

tmrw いや、もうリリスクの中でだけじゃなく、基本的に人に興味がないんですよ。それぞれ好きなことやったらよくね?っていう。

minan おー、素晴らしいよ。本当にいい言葉。

tmrw それでうまくいったら一番。

minan 今すごくいいこと言ってたよ。聞いてた?

mana 聞こえなかった。malikの笑い声がうるさくて。

──(笑)。この1年は8人でグループとして何ができるかを必要以上に意識したと思うから、ここから先は多少ブレてもリリスクになる、くらいの強度は生まれていると思いますしね。「それぞれ好きなことやったらよくね?」なんて去年の今頃は言えなかったでしょうし。

minan うんうん。2年目……2年目ねえ。1年やってきてそれぞれ思うところもあったと思うので、2年目はそれぞれが1年目にやれなかったこと、活動していく中で見つけたことをブラッシュアップしていけたらいいなって。あとはとにかく、リリスクは今男女8人でこういうことをやっているグループなんだよ、というのを周知したい。アルバムができて戦う準備もできたし、何が来ても100%で打ち返せるように個々で準備しておきます。

プロフィール

lyrical school(リリカルスクール)

「清純派ヒップホップアイドルユニット」というコンセプトのもと、オーディションで選ばれた6人の女性メンバーにより「tengal6」として2010年に結成。2012年にタワーレコードのアイドルレーベル・T-Palette Recordsに移籍し、それを機にユニット名を「lyrical school」に改名した。メンバーの変遷を経て、2017年5月にminan、hime、hinako、yuu、risanoの5人体制による活動を開始。2019年5月にビクターエンタテインメント内のレーベル・CONNECTONEに移籍し、同年9月に「BE KIND REWIND」、2022年4月に「L.S.」と2枚のアルバムを発表するも、7月の東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)公演「lyrical school tour 2022 “L.S.” FINAL」でminanを除く4人のメンバーがグループを卒業した。直後にスタートしたオーディションでsayo、tmrw、hana、mana、malik、ryuya、reinaの7人が加入し、男女8人組グループに。2023年2月配信の「NEW WORLD」を皮切りに新体制での楽曲をコンスタントに発表し、2024年4月にニューアルバム「DAY 2」をリリースした。