lyrical school|男女8人組に生まれ変わった“LS8”の現在地 (3/4)

“リリスク史上一番いいアルバム”ついに完成

──「いいから曲を聴いてくれ」にうってつけの最新アルバム「DAY 2」が完成しました。8人体制の“LS8”として初めての、この1年を総括するアルバムになっているかと思いますが、満足度、充実度としてはいかがですか?

minan 満足度か……どう?

ryuya はい!(笑顔で挙手)

minan おっ。

ryuya 泣いたと思ったら急にニコニコして、ヤバいやつだと思われそうですけど(笑)、僕はリリスク史上一番いいアルバムだと思います。リリスクファンとしても自信を持ってオススメできるアルバムです。アートワークもポジティブな意味で変わってなくて、「リリスクの新しいアルバムが出た」と思えるパッケージになっているし、曲を聴いても違和感なくlyrical schoolの音楽として楽しんでもらえると思います。スキットを含めて13トラック、曲の振り幅も大きくて……ほとんどのメンバーがヒップホップに初めて触れるにもかかわらず、いろんなビートに乗って楽曲を表現できている。いい作品になっているなと客観的に思います。

──自分がリリスクのファンだったからこそ、越えなければいけない壁もあったでしょうけど、ちゃんと越えたと自信を持って言える?

ryuya 越えました。

hana (無言で拍手)

ryuya

ryuya

hana

hana

──スキットの入ったストーリー仕立ての構成なども含め、あえて変えなかったと思われる要素も多い分、変化した部分が明確になっているとも言えますね。メンバーから「こういう作品にしたい」という意見を出すことはあったんですか?

minan アルバム全体の構想はプロデューサーのキムさんにお任せですけど、もっと前、新体制になってどんな曲がいいか、どんな人に曲を書いてもらいたいかという話には意見を出しました。まずは8人での新曲を増やしていきたいという思いがありつつも、このくらいのタイミングでアルバムを出そうという話し合いはしていて。そこに向かって曲作りを進めていました。

自信(ドン)あり(ドン)

──皆さんが特に手応えを感じている曲、会心の1曲を挙げるとしたら?

minan 言ったれ言ったれ!

mana 言いたい。私は「Night Walking」です。絶対に。

minan

minan

mana

mana

キム 絶対に(笑)。

mana 絶対に。なぜなら私が歌っているから(笑)。というのは冗談で。まずアルバム全体の話をすると、私、勇気が出なくて「これがマスタリング最終版です」と言われるまでアルバムを通して聴けなかったんですよ。最終版ができたときに初めて通して聴いてみたら、8人での初めての曲「NEW WORLD」とか先に配信でリリースしていた曲も、意味を考えながら何度もライブで歌ってきたはずなのに、違う解釈に聞こえるというか。「これがアルバムだな」って感じがすごくしたんですよ。単品とは違う……定食みたいな。

一同 (笑)。

mana 私は過去のリリスクと比較してというよりは、ヒップホップやアイドルというくくりは関係なく、音楽業界に自信を持って出せるアルバムになったと思っていて、そこはまず、こう(胸をドンドン叩きながら)、しています。

キム インタビューでどう書いていいかわかんないよ(笑)。

mana 自信(ドン)あり(ドン)のポーズです。そのうえで、なぜ「Night Walking」に手応えを感じているかというと、こういう曲がやれるようになったことに、今の8人のリリスクならではの新しい一面が表れているんじゃないかと思うんです。ロングヴァースであれだけしっかりラップをやっている曲をアルバムに入れられたのは、今の体制だからこそだと思います。

──曲ごとに、8人全員のときもあれば数人ずつ入れ替わりでパフォーマンスするときもあるというスタイルは、現体制で大きく変化した部分ですよね。「Night Walking」はmanaさんとryuyaさんの2人だけで、ロングヴァースを交互に繰り出すのが特徴です。

キム それぞれが得意なことだけをやればいい、というのが目指していたところで。例えば前の体制だとアイドル要素の強かったhinakoがハーコーな曲もやらなきゃいけない、みたいなことが今は起きない。みんなが好きなこと、得意なことだけをやっていれば成立する形を目指すんだったらこういう体制がいいなと考えていたんです。

minan 8人の中で2人だけがラップするというスタイルも今の体制でやってみたかったことだし、男女2人のラップというのは今のリリスクならではのことだから、そういう意味で「リリスクらしさ」が出せた曲かなと思います。

──リリスクの楽曲はラップを軸にしながらもメロがあって、バックトラックにもポップスのような展開がある曲が主なので、「Night Walking」のようなオールドスクールなトラックにロングヴァースのラップが乗る楽曲がアルバムの中でアクセントとしてすごく効いてますよね。

mana 「Night Walking」はレコーディングを2回やっていて。その間に作家さんと何度も相談したり、ライブで何度も披露して理解を深めて挑みました。自分にとってチャレンジングだったし、カッコいい……自分で言ってて恥ずかしくなっちゃった(笑)。

どこが最高かというと

malik 僕は「Fallin'」が大好きで。どこが最高かというと、僕がフックを歌ってるからなんですけど。

一同 アハハハハハ!

malik 僕の声質というか、チルでグルーヴィな感じの……自分で言うのもあれなんですけど(笑)、僕の声の一番気持ちいいところを出せる場所が用意されていることが本当にうれしくて。レコーディングは僕が最初で、みんなの声が入るの楽しみだなーと思っていたんですけど、メンバーのヴァースが入ったものを聴いたらホントにクソカッコよくて(笑)。これはいつどこで流れてきても、僕は踊る。体が絶対に揺れるっていうそんな曲を、この8人でリアリティのある形で表現できていると思っていて。8人のリリスクらしさをめちゃくちゃ感じる曲ですね。

malik

malik

minan 私は「Ultimate Anthem」が大好きですね。KMさんとLil' Leise But Goldさんがタッグを組んだ曲を、この8人の楽曲として出せることがまずめちゃくちゃうれしい。リリックを書いてくださったLil' Leiseさんがおっしゃってたんですけど、かなり難しいラップで。発音の仕方を1つひとつ「こうしてほしい」というディレクションがありました。1個1個の音が大切なラップを、始めて1年足らずのメンバーが乗りこなしていることが素晴らしいなって。

ryuya 「Ultimate Anthem」はタイトルの通り、この8人のアンセムになるような曲で、かつ今後ライブでもパワーチューンになる曲だと思います。楽曲的にはいわゆるトラップスタイルで、イントロのヘビーなギターリフから攻撃的な曲なのかなと思いきや、キャッチーさも兼ね備えた1曲です。

minan Lil' Leiseさんのラップが入った仮歌も大好きで何度も聴いてるんですけど(笑)、完パケを初めに聴いたときは「みんなの声が入った『Ultimate Anthem』最高だわ」と思いました。

──KMさんをはじめ、アナの大久保潤也さん、ALI-KICKさん、valkneeさんといった前体制のリリスクにも楽曲を提供していた作家の皆さんも、変化したリリスクに曲を書くのは楽しいんじゃないでしょうか。

キム Rachel(chelmico)やvalkneeは「男の子も入れようと思う」と構想を話していたときから、すでに僕らがどういうことをやりたいのか理解してくれていた感じもあって。

reina 私はvalkneeさんが書いてくれた「Ringing」を挙げたいです。「Ringing」がなぜ最高かと言うと、私が歌い出しを担当しているからなんですけど。

reina

reina

一同 フー!!

reina ここまで紹介した曲とは打って変わって、キュートな感じで始まる曲で。最初はhana、sayo、reinaの3人で歌っていて、途中からほかのメンバーが合流するという構造になっているんです。それがすごくカッコよくて、歌詞は創造=クリエイションや何かに没頭することをテーマに作られていて、今の私たちを表すような曲だなと思います。この曲がスキット明けの1曲目になるので、アルバムが始まるワクワク感もあります。

sayo (挙手して)私も「Ringing」について言いたい。最初に聴いたとき、「これを1つのグループだと誰が思うだろう?」って思いました。最初はかわいい感じなのに、ラップもトラックもカッコいい感じに変わっていくのを、フィーチャリングゲストを入れずにグループの中だけで表現できるのってすごいなって。リリスクの面白さ、自由さが伝わると思うし、この1曲でグループとしての幅の広さが伝わる。この8人である意味を私は「Ringing」で感じています。

sayo

sayo

tmrw

tmrw

hana (挙手して)私は「Ringing」の3人目なんですけど……。

一同 (笑)。

hana 前半のかわいい感じはsayoちゃんとreinaちゃんに関してはわかるんですけど、キムさんから「最初はこの3人で」と言われたときは「私もこの中に入っていいんだ」と思いました。アルバムを通していろんな色がある中で、声色を曲のコンセプトによって変えてみたりすることも楽しくて。さっきは自分の立ち位置に迷った1年だったと話しましたけど、アルバムのレコーディングを通して、いろんなコンセプトを消化する力が身に付けられそうだなと思える充実感がありました。