リモートライブでわかったこと
──2020年にリリスクが配信した全3回のリモートライブはとても画期的な試みだなと思いました。
minan リモートライブも含めて、私たちのグループはわりと今までやってきた活動の延長線上で新しいことをやれたのかなと思いますね。
hinako 私はプライベートで病院に関わることもあって、その中でやっぱりエンタテインメントって必要だなと思うことも多かったんですけど、リリスクはコロナ禍での取り組みが早かったので、ファンの方にいち早く癒しというか、娯楽を届けることができたのかなとは思います。あとリモートライブをやってみて、メンバーのありがたさはすごくわかりましたね。メンバーが横にいないと本当にやりづらい。
hime ぶっちゃけ外に出ないで家でライブができるって最初はラッキーだなと思ったんですよ。マジありがてえって(笑)。でも実際やってみたら全然楽じゃなくて、むしろ超めんどくさいよね。
hinako 30分のライブを撮るだけでもすごく時間がかかって。
hime 丸1日かかるよね。だったら家から出て集まりたいと思いました。
risano 全然ガヤとか入れたい気持ちにもならないんだよね。
hinako 誰もいなくて、カメラがあるだけだからね。メンバーがいて、お客さんがいて、マイクがある。それがどれだけありがたい環境だったか気付かされました。
──一緒にいることで生まれる、目に見えないグルーヴのようなものが確かにあったと。
hinako そうだと思います。
つかみの曲は「お金」がテーマ
──ここからはニューアルバム「Wonderland」について聞かせてください。メンバーの皆さんから見て、どんなアルバムになったと思いますか?
hime これまで以上にカラフルなアルバムだなと思いますね。
hinako 1曲1曲すごく個性が出まくってますよね。1枚通して、いろんな曲やいろんな声、いろんな表情を楽しんでもらえたらいいなと思います。
yuu とにかくバラエティに富んでいるし、レコーディングの中でみんな新しいことに挑戦していて、ファンの人をビックリさせられるかなって思うので、早く聴いてほしいです。
──「遊園地」というテーマ通りの起伏に富んだ楽しい作品になっているなと思いました。作品全体のコンセプトについて、メンバーからプロデューサーのキムヤスヒロさんに意見を言うようなことはあったんですか?
hime それはないですね。キムさんの頭の中でガチガチに組まれているので。「WORLD'S END」(2018年6月発売の4thアルバム)、「BE KIND REWIND」(2019年9月発売の5thアルバム)があって、今回の「Wonderland」という3部構成の流れがあるので、コンセプト自体はけっこう前から考えていたと思う。
──なるほど。過去作同様、冒頭にスキットがありつつ、2曲目の「MONEY CASH CASH CASH」でお金について歌っているのが新鮮で驚きがありました。ホーンが印象的なトラックも面白いし、ここでまずガッツリつかまれるなと。
risano 「こういう曲をリリスクが歌っていいの?」って直接キムさんに聞いちゃいましたね。リリスクはポジティブな気持ちを届ける素敵なグループというイメージだったので、MONEYなんて言っていいのかって。挑戦だなって思います。
hime でも内容はめっちゃかわいいよね。
yuu かわいい!
minan お金がテーマではあるけど、ALI-KICKさんがかわいさを残した歌詞を書いてくださって。
──確かに「リアルに建てるお菓子の家」とかかわいいですね。
hime つい最近リリスクで「お菓子の家選手権」という企画をやったんですよ。そこから引っ張ってくださって。
minan 「遊園地」というコンセプトで言うと、たぶんメダルゲームみたいなイメージだよね。
hime ああ、曲に入ってる「チャリン、チャリン」って音も確かにそういう感じかも。
それぞれのリアルを踏まえたリリック
minan 今回のアルバムで今までと大きく違うと思うのは、女性アーティストがリリックを書いてくださってるということで。valkneeさん、Lil'Leise But Goldさん、chelmicoのRachelさんの3人が作詞に参加してくださっているんです。やっぱり同性の方の書いた歌詞は、等身大で無理せずに歌えるというか。今までのリリスクの曲はとにかく明るくて、歌詞もアッパーなものが多かったんですけど、今回3人が書いてくださった歌詞には、ちょっとネガティブな気持ちも描かれているし、日常と地続きな感覚があって。そういう曲を歌えたのが大きいなと思います。
──「Fantasy」は、ジェットコースターみたいに展開の激しい曲で、リリックにはRachelさんらしいユーモアが出ていて面白かったです。「次の一万円札の絵柄はアタシ」とか。
hime パンチラインですよね。
hinako そこは「本当になりたい気持ちで歌ってほしい。ちょっと怪しくニヤニヤしながら」ってRachelさんに言われて(笑)。口角を片方だけ上げて表情を作りながら歌いました。
──Rachelさんはレコーディングにも立ち会われたんですね。
risano はい。いいときは「いいねえ!」、よくないときは「こうしたらよくなるかも!」って感じでハッキリとディレクションしてくださるんですよ。自分でも100点だなと思ったときにRachelさんからも100点が出て、間違いないなと思えました。
──valkneeさんは昨年リリースされた「OK!!!!!」の収録曲「HOMETENOBIRU」からリリスクの作品に参加していて、アルバムでは「FIVE SHOOTERS」「SHARK FIN SOUP」の2曲のリリックを手がけています。
hime 「TOKYO DRIFT FREESTYLE」(TERIYAKI BOYZの楽曲「TOKYO DRIFT」をビートジャックする企画。88rising所属のラッパー、リッチ・ブライアンが最初に動画を投稿し、それを追う形で多くのラッパーが動画を投稿した)のリリックもvalkneeさんが書いてくださったんです。
minan valkneeさんの書く歌詞は、どんなコンセプトの曲でもすごくかわいいし、“今”のワードを入れてくれるんですよね。歌えてうれしいなって思う。
yuu 私は映画鑑賞が趣味で、皆さんに会えない自粛期間中に「金曜ロードSHOW!」を観るという配信をInstagramでしていたんですけど、それを「SHARK FIN SOUP」のヴァースに入れてくださって。「ロードショーならお家で見ている」って歌えたのがうれしかったです。映画関連で言うと、アルバムの最後に入ってる「SEE THE LIGHT」(作詞:大久保潤也[アナ]、泉水マサチェリー[Byebee]/ 作曲:泉水マサチェリー[Byebee]/ 編曲:上田修平)では「May the force be with you」と歌っていて(笑)。全身全霊を込めて歌ったので、しっかり聴いてほしいですね。
hime ここまで名前が挙がった方に限らずですけど、皆さん本当に日頃の私たちの活動を見てくれたうえで歌詞を書いてくださっているんです。私は自分がラッパーじゃなくてアイドルであることに悩むこともあるんですけど、こんなにいろんな方に歌詞を提供してもらえるのって、普通のラッパーだったらありえないことなんですよね。もし私がラッパーだったら、ほかのラッパーを客演に呼べても、ヴァースを書いてもらうことはなかなかないじゃないですか。「アイドルだから面白いんじゃん」って思える理由の1つです。
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リリスクの垢抜け曲