音楽ナタリー Power Push - lyrical school

アイドルラップの過去・現在・未来

lyrical schoolがニューアルバム「guidebook」をリリースした。

4月のメジャーデビュー以降、「RUN and RUN」を皮切りに3枚のシングルを立て続けにリリースし、アイドルラップの魅力をより幅広い層に届けるべく奮闘してきたlyrical school。メジャー1stアルバムとなる今作では、全13曲を通じて“けやき町”という架空の町を表現するというコンセプチュアルな試みにチャレンジしている。

音楽ナタリーではメンバーにインタビューを実施。アルバムの制作秘話や、ここ最近盛り上がっている日本語ラップブームへの思い、そしてyumiの脱退を受け5人編成で活動を続けている現在の心境などを語ってもらった。

取材・文 / 秦野邦彦 撮影 / 吉場正和

変わっていくもの、変わらないもの、変わらないでほしいもの

──前回のインタビュー(参照:lyrical school「RUN and RUN」インタビュー)でメジャーデビューに対する思いをお話ししていただきましたが、あれから半年経って、いかがですか?

ayaka

ayaka あっという間でしたね。今回のアルバムもメジャー3rdシングルを発売してすぐのレコーディングだったり、とにかく先へ先へといったペースの速さも含め「これがメジャーか!」みたいな(笑)。でも、そのペースの速さが逆にワクワクする気持ちにつながりました。

mei 私たちも楽しみだし、応援してくれるヘッズ(ファンの総称)の皆さんの中でも「あっ、もう次の曲が出るんだ!」っていう楽しみがどんどん続いているような気がしますね。

minan 正直、メジャーデビュー後も気持ち的には以前と同じように目の前にあることをがんばっていくっていう感じなんですけど、取材を受けたりラジオに出させていただく機会がすごく増えたと思います。

ami キャンペーンでラジオ局を回らせていただいたり、普段なかなか行けない地方の方にもリリスクを知っていただく機会が増えてうれしいです。

──メジャー1stアルバム「guidebook」は、皆さんが標榜してきたアイドルラップの金字塔と言える素晴らしいアルバムになりました。作家陣にも大江千里さん、韻シスト、GAKU-MCさん、かせきさいだぁさん、サイプレス上野さんという豪華な顔ぶれが参加しています。

ami メジャー3rdシングルに収録された「格好悪いふられ方 -リリスクの場合-」でお世話になった(参照:lyrical school、大江千里サンプリング曲のタイトルは“リリスクの場合”)大江千里さんがGAKU-MCさんと「リリシスト」を書き下ろしてくださって。あと、サイプレス上野さんには数年前から、共演させていただくたびに、いつか作品でご一緒したいですねってお話しをしていたんです。ついに私たちの夢が叶って。

──満を持して「プレイルーム」の歌詞を書いていただいたんですね。リリスクの作品は毎回プロデューサーのキムヤスヒロさん、ジャケットデザインを手がけるmzaさんたちのコンセプトがしっかりしていますが、今回の「guidebook」も非常に凝った仕掛けが施されていますね。

minan

minan はい。今回のアルバムは“けやき町”という架空の町を舞台に、過去・現在・未来という時間軸の中で変わっていくもの、変わらないもの、変わらないでほしいものをテーマに描いた楽曲が収録されています。

大江千里のひと言から生まれた “けやき町”

──アルバムの特設サイトが公開された当初はページの全貌が明かされておらず、アドレスがkeyakitown.comになっていたので「けやきタウンってなんだろう?」という思いがあって。

ayaka 私も昨日プロデューサーと話していてサイトの名前の由来を初めて知ったんですけど、打ち合わせで大江千里さんから「その町にはどんな花が咲いてるの?」って質問されたそうで。話し合いの中で「花じゃないけど、けやきが生えているイメージですね」っていう話になって、そこから“けやき町”って名前が付いたそうです。

minan わーっ、素敵!

ami 知らなかった! ていうか、今ここで知る話じゃない気がする(笑)。

mei でも、そういう情報をちょっと聞くことによって、このアルバムがさらに好きになりますね。

──リリスクのアルバムは曲間にSEやスキットが入るのが恒例ですけど、その話を踏まえて今回のスキットを聴くと、緑の多い町の風景まで浮かんできます。

ami

ami 1曲目から13曲目まで通して聴くと、それぞれの楽曲が1つの物語のようにつながってることがわかるんですよね。「あっ、終わっちゃった!」と思っても、すぐにリピートしてずっと聴いていられるんです。なので通勤途中に1回聴いて、また帰りに1回聴いて、みたいな感じで好きなときに好きな場所、自分のタイミングで聴いていただきたいなって思います。

メジャー1stアルバム「guidebook」 / 2016年11月16日発売
[CD] 2700円 / KING RECORDS / KICS-3429
収録曲
  1. -old-(skit)
  2. GOLDEN
  3. プレイルーム
  4. おしえて
  5. DO IT NOW!(HEY!HEY!HEY!)
  6. サマーファンデーション
  7. -☆☆☆-(skit)
  8. リリシスト
  9. マジックアワー
  10. 恋わずわず
  11. -too old-(skit)
  12. ラストソング
  13. RUN and RUN
映画 Blu-ray / DVD「リリカルスクールの未知との遭遇」 / 2016年12月7日発売 / KING RECORDS
[Blu-ray] 5184円 / KIXF-437
[DVD] 4104円 / KIBF-1452

TOWER RECORDS×CLUB CITTA' presents lyrical schoolスペシャルライブ

  • 2016年12月2日(金)神奈川県CLUB CITTA'

lyrical school tour 2016 “guidebook”(終了分は割愛)

  • 2016年12月9日(金)北海道 cube garden
  • 2016年12月17日(土)大阪府 OSAKA MUSE
  • 2016年12月18日(日)愛知県 VERSUS東海ホール
  • 2016年12月23日(金・祝)宮城県 space Zero
  • 2016年12月29日(木)東京都 Zepp Tokyo
lyrical school(リリカルスクール)
lyrical school

「清純派ヒップホップアイドルユニット」というコンセプトのもとオーディションで選ばれた、ami、ayaka、erika、mariko、mei、yumiという6人のメンバーにより2010年に結成。「tengal6」というユニット名で活動し、ハイクオリティな楽曲と「アイドルラップ」という特異なスタンスで大きな支持を集めた。2012年にタワーレコードのアイドルレーベル・T-Palette Recordsに移籍し、それを機にユニット名を「lyrical school」に改名した。2013年にはmarikoとerikaの卒業を受け、hinaとminanが加入して新体制に。2015年12月にhinaが海外留学のため卒業し、元ライムベリーのhimeが新たに加入。2016年4月にキングレコードからメジャーデビューシングル「RUN and RUN」をリリースし、5月に初主演映画「リリカルスクールの未知との遭遇」を劇場公開した。その後、7月に「サマーファンデーション」、9月に「マジックアワー / 格好悪いふられ方-リリスクの場合-」とシングルを立て続けに発表。9月にyumiが脱退し5人編成に。11月にメジャー1stアルバム「guidebook」をリリース。12月7日には映画「リリカルスクールの未知との遭遇」がBlu-ray / DVD 化される。