音楽ナタリー Power Push - lyrical school
今めくられる新たなアイドルラップの1ページ
「アイドルラップ」の先駆けとしてアイドルシーンで確固たる地位を築いてきたlyrical schoolが、活動開始から6年目にしてメジャーレーベルのキングレコードと契約。4月27日にメジャーデビューシングル「RUN and RUN」をリリースした。今作の表題曲は5月から劇場公開される彼女たちの初主演映画「リリカルスクールの未知との遭遇」の主題歌。スマートフォンでの鑑賞を前提にした同曲の縦型ミュージックビデオはネット上で大きく拡散され、これまでの彼女たちを知らなかった人々の間でも話題となった。
元ライムベリー・himeのメンバー加入やメジャーデビューなど、昨年末からビッグニュースが続いているlyrical school。大きなターニングポイントを迎える中でどんな思いを抱えているのか、6人に話を聞いた。
取材 / 橋本尚平・臼杵成晃 文 / 橋本尚平 撮影 / 相澤心也
リリスクの曲が好きすぎて自分のパートがわからなくなる
──今回のシングルは新編成になってから初めての作品でもあるわけですが、himeさんはどういう経緯でリリスクに加入することになったんでしょうか。
hime 前のグループを卒業してから芸能活動は辞めていたんですけど、リリスクの事務所の方に呼ばれて。最初からリリスクのメンバーになるっていう話をしてたわけじゃなかったんですけど、いろいろお話を進めていくうちにこうなりました。
──himeさんの加入は、ファンから見てかなりの一大事だったんですけど。
hime そうですよね。自分にとってもそうでした(笑)。まさかプライベートで観に行ってた大ファンのグループに自分が入るとは思ってもなかったので。びっくりですね。
──「メンバーになりませんか?」って誘われたときは、返事は即決でしたか?
hime ちょっと悩みました。やる気がないわけではなくて、ホントにファンだったので「一緒にステージに立ってもいいのか」みたいなことを考えて。でも私の中に「もっとリリスクを広めたい」って気持ちがずっとあったから、だったらファンとして口コミを広げて応援するよりも、メンバーになってがんばったほうが話が早いんじゃないかなと思ったんです。
──ほかの皆さんは、何度も競演したことがあるよく知っている人が新メンバーになることについて、どう感じました?
minan リリスクになる前からすでにいろいろ経験を積んできて、私より全然芸歴の長い方なので、完全に「安心」って感じでした。
ayaka himeはもともと私たちも知ってる子だったので、すぐに受け入れることができましたね。
yumi 今まで新しいメンバーはオーディションで探していたので、あんまりlyrical schoolを知らない子に入ってもらうことが多かったけど、「大好きだから入りたい」って思ってもらえたのはうれしかったです。
ami himeとはグループが違うときにプライベートで遊んだことがあるんです。最初の印象ではhimeのことを「アイドル好きな子」って思ってたんですけど、話を聞いたら、ダンスが好き、ヒップホップが好きだっていう熱い思いを語ってくれて、「こんなに若いのにちゃんと考えてるんだな」ってビックリしたんですよ。だからlyrical schoolに入るって聞いたときは「あ、一緒にラップができる! うれしい!」って思いました。
hime 前にamiさんと遊んだときに、ファンの方の自慢話をすごくうれしそうにしてて、「へー、リリスクのファンっていい人たちなんだ」って思ったことがあったので、その意味でもリリスクに入ることに不安は全然なかったですね。
──実際にこの6人でライブをしてみての手応えはありましたか?
mei 6人での最初のライブが12月の「T-Palette Records 感謝祭 2015」だったんですけど、hinaが卒業してhimeが入ってからまだ1週間しか経ってなかったので、たぶんそのときはまだ、お客さんも今の6人を受け止める準備が整ってない状態で観ていたんじゃないかと思うんです。でもそれから何度かインストアイベントとかをやって、3月にワンマンライブをしたときに、ファンの方が「やっぱりlyrical schoolが大好きだ」って再確認してくれてるのを感じたんです。歌う人が変わっても、lyrical schoolの出す雰囲気、空気感が大好きだっていう。
──himeさんはリリスクの曲でラップしてみて、どうですか?
hime 私がいたグループはボーカルが2人だったんですけど、それだと1曲のうちの半分は自分が歌ってるわけじゃないですか。だから、個性を出すために特別何かをしようという意識があまりなくて。でもリリスクは、単純に言えば自分のパートは6分の1なので、その中で埋もれずに個性を出すために自分のフロウにどうやって色を付けるのかを、すごく考えなきゃいけないなってわかって。自分のラップの持ち味はなんなのかを見直すことになりました。
──あー、なるほど。
hime 私はリリスクの曲が好きすぎるので、最初の頃はライブ中に、自分のパートがどこかわかんなくなっちゃって戸惑いました(笑)。気分がよくなって全部歌いたくなっちゃうんだけど「でもこれ私のパートじゃないわ」みたいなことがすごくあって。
ami レッスンのときにその話を聞いて、「すっげえかわいいな」って思った(笑)。
遅いとか早いとかはあんまり考えてない
──himeさんの加入後すぐに、リリスクはメジャーデビューすることを発表しましたね。
ayaka スタッフさんがメジャーデビューに向けて準備してくださってたのは以前から知っていたんですけど、レコード会社がどこなのかとかメンバーは知らなくて。詳しい話は映画(「リリカルスクールの未知との遭遇」)の撮影中に会議室で教えてもらったんです。
──今まで長く活動してきた中で、「メジャーデビューしたい」って、そもそも思ってました?
ayaka んー……、どうだろう?
mei でも漠然と、インディーズで活動してた人がメジャーに行くのは、階段を一段上に登るようなものなのかなってぼんやり思ってました。メジャーに行ったら自分がどう変わるのかとかは全然想像もつかなかったけど。
ami 目標としてるわけではなかったんですけど、「行きたいな」っていう気持ちはありました。
yumi 私はインディーズとメジャーの違いがイマイチわかっていなかったんですよ。ほかのアイドルの方が「メジャーに行きます!」って発表したときにドカンと話題になるので、「メジャーってすごいことなんだなあ!」って思ってたくらいで。だから「行きたい!」ってほどではなかったんですけど、「メジャーに行くことが決まりました」って言われたときは素直にうれしかったですし、自分たちのグループを改めて見直しましたね。
──結成から6年目でメジャー進出というのはアイドルとしてはゆっくりした展開ですが、これはほかのアイドルから見て勇気付けられる部分があるんじゃないかと思うんです。じっくり着実に実力を付けたグループが評価されたということなので。
yumi そう言われるとうれしいです。でも6年かかったことについては、遅いとか早いとかはあんまり考えてなくて。うちのプロデューサーのキム(ヤスヒロ)さんはメンバーのことをすごく大切にしてくれてるって、いちメンバーとしてよくわかるので、きっといいタイミングを見計らった結果、今になったのかなって思ってます。
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- ニューシングル「RUN and RUN」 / 2016年4月27日発売 / KING RECORDS
- 初回限定盤 [CD] / 1620円 / KICM-91669
- 通常盤 [CD] / 1080円 / KICM-1670
初回限定盤収録曲
- RUN and RUN
- リリスクのうた
- brand new day 2016
- S.T.A.G.E 2016
- RUN and RUN(INST)
- リリスクのうた(INST)
通常盤収録曲
- RUN and RUN
- リリスクのうた
- RUN and RUN(INST)
- リリスクのうた(INST)
lyrical school(リリカルスクール)
「清純派ヒップホップアイドルユニット」というコンセプトのもとオーディションで選ばれた、ami、ayaka、erika、mariko、mei、yumiという6人のメンバーにより2010年に結成。「tengal6」というユニット名で活動し、ハイクオリティな楽曲と「アイドルラップ」という特異なスタンスで大きな支持を集めた。2012年にタワーレコードのアイドルレーベル・T-Palette Recordsに移籍し、それを機にユニット名を「lyrical school」に改名した。2013年にはmarikoとerikaの卒業を受け、hinaとminanが加入して新体制に。2015年にアルバム「SPOT」を引っさげて初の全国ツアー「lyrical school tour 2015 "date spot"」を行い、7月にツアーファイナルとして東京・Zepp DiverCity TOKYOでのワンマンライブを敢行した。同年12月にhinaが海外留学のため卒業し、元ライムベリーのhimeが新たに加入。2016年4月にキングレコードからメジャーデビューシングル「RUN and RUN」をリリースし、5月に初主演映画「リリカルスクールの未知との遭遇」を劇場公開する。