音楽ナタリー PowerPush - lyrical school
4本立てインタビューで迫る6人の“PRIDE”
ami×mei×yumiインタビュー
夏を戦って生まれた結束力
──ここ最近のリリスクのライブを観ていると、いい波が来ているなと毎回感じるんですよ。ヤバいグルーヴが渦巻いているというか。それってご本人たちはどう感じているのかなと。
yumi 今年の夏はいろいろフェスに出させていただいて、始まる前は「みんなが知ってるフェスに出ちゃったら、これからヤバいことになるんじゃないかな」と思ってたんですけど、夏が終わってもあんまり変わってないなって。
ami でも夏フェスのときに「ここでリリスク行かないと」ってみんなの気持ちが固まったのは大きいかも。6人の気持ちがつながってるから、どんなライブに出ても私たちのまんまが出せている気がします。
yumi フェスのときはみんな闘牛みたいだったよね(笑)。
mei 最近は短いライブのときは攻めた内容にしようという、チーム内での暗黙のルールみたいなのがあるんです。フェスのアイドルライブは、持ち時間が15分しかない中でどう見せるかが一番大切ですし、アイドルだけど私たちの曲はアイドルじゃないってみんなに伝えたい気持ちがあって。
──その攻めの姿勢は功を奏してたと思いますし、結束力から来る勢いも感じるんですよ。アウェイ戦で観るとそのいい波が顕著に伝わるというか。
mei 攻めは攻めなんですけど、知らない人でも楽しめる空間を作りたいんですよ。
yumi 今日は調子悪いなーみたいなときも、初めて観る人にとっては「これがリリスクか」って思われるわけだから、ライブは1つずつ大切にしてます。
──marikoさんとerikaさんの卒業があり、hinaさんとminanさんが加入して現在の6人になりましたけど、体制が変わるたびにやっぱり不安はありましたか?
mei 不安は大きかったですね。それまで2年間一緒にやってきたメンバーが1年間で2人も変わって、余裕がなかったです。ダンスやフォーメーションを一から教えたりとか。新しく入った2人も大変だったと思うけど、最初からいる私たちは引っ張っていかなきゃいけないので、自分に余裕が持てないというか。去年の1年間はけっこうね……。今やっと、このメンバーで1年経って形になってきたのかなって。
yumi hinaはhinaだし、minanはminanのカラーがあるし、旧メンバーの代わりじゃなく個々のカラーを出せるようになってきたから、気持ちも強くなってきたんだと思います。
──メンバーの入れ替わりによって、今まで持っていたものを守らなければいけない部分もあったと思うし、同時に新しく変えていきたいところもあったと思うんですよ。試行錯誤しながらとはいえ、1年間で本当に細かく、いろんなところで連日ライブをやってましたよね。ライブ以外の、なんだかよくわからない集いも含めて(笑)。
yumi ピクニックですか? あれ人間以外も集まってたんですよ(笑)。犬とか。超楽しかった。
──あの感じがまたリリスクらしくて、メンバーの結束力はもちろん、ヘッズ(lyrical schoolファンの総称)の結束力もどんどん固まってますよね。
yumi ヘッズのみんな優しいというか、何かイベントがあると、地方からわざわざイベントを観に来た人とかにもおいでおいでって感じで、一緒に遊んでるんですよ。
ami もともと友達だったんじゃないかってぐらい仲良くなってて、すごいなって思いますね。
メンバーの思いを詰め込んだ「PRIDE」
──今の6人体制になってからリリースされた4枚のシングルって、どれもリリスクのハッピーな雰囲気、パーティ感のある楽曲でしたけど、新作の「PRIDE」はリリスクの決意をシリアスに表明したような内容で。ここに来て大きく方向を変えてきたなと驚きました。
yumi 完全に今までの曲と主人公が変わってますよね(笑)。
──yumiさんは先日行われた自身の生誕祭(参照:リリスクyumi生誕祭、箱庭と念願の共演実現)で「これは私たちの気持ちを表した曲だ」って熱弁してましたよね。あまり熱弁するタイプじゃなさそうなのに。
yumi あはははは(笑)。
──今このタイミングで「PRIDE」を出すというのは、皆さんたちにも何か思うところがあったのかなと。曲のセレクトは製作陣任せなんですか?
yumi そうですね。でもずっと一緒にいるスタッフだから、たぶん私たち個々が思っていたことをヒュッと拾い上げてるんですよ。
ami 言葉にはしないことをね。感じ取ってくれてたんじゃないですかね。
岩渕竜也(lyrical schoolのマネージャーで「PRIDE」の作詞を担当) うん。Twitterとかから拝借してるから。
3人 へえー。
yumi なんか書いたかなあ(笑)。
mei メンバー自身もまず「PRIDE」というタイトルにびっくりしました。私たちは4年やってきましたけど、きっと4年前の私たちがこの内容を歌っても意味がなかったと思うし、こんなカッコよく歌えなかったと思うんですよ。4年経って今のlyrical schoolが固まってきた段階で、改めて「私たちはヒップホップアイドルなんだ」と伝える曲なんだなって。
──yumiさんも改めて熱弁してもらえますか?
ami 「PRIDE」のことになるとyumiめっちゃ熱くなって、泣きそうになるよね(笑)。
yumi ううん、別になってないよ。
ami えー、なってるじゃんよー!
──そのyumiさんの「PRIDE」話は皆さん納得できるんですか?
ami 納得できるんですよ。私たちも「そうだよね、そうだよね!」ってどんどん熱くなって。
yumi やっぱりこの夏を越えてちょっと強くなった感じがあるんですよ。lyrical schoolの中に。そういう気持ちを岩渕さんが代弁してくれていると思いますね。
mei 今ラップをするアイドルさんはいっぱい出てきてるけど、lyrical schoolはその方たちとは違うんだぞって。
yumi lyrical schoolはそれを言ったらダメだよ。もうちょっとフレンドリーに行きましょう(笑)。
mei いや、いい意味で。
──ヒップホップをやる上でセルフボーストは大事なんで、間違ってないと思いますよ。
ami でもね、一番先頭切って進んできたのはlyrical schoolだって自負はあります。
レコーディングは全員で
yumi レコーディングのときもみんなアレです、実力をキラーンって。個々のバースでみんないいテイクを持ってくるなんてヒップホップっぽいなって思いました(笑)。フリースタイルラップバトルみたいな。
ami ありましたね。最初のテイクを録ったあと「もっとよくしたい」って言って、いいテイクが続くと「もっといけるんじゃないか」って。自分たちで高め合って、待ってる人たちもどんどん高まっていく。
yumi みんなホームラン打ちまくるみたいな感じで。
mei ほかのアイドルさんは違うらしいんですけど、私たちは1人がブースに入ってるとき、ほかの5人が外で聴いてるんです。「ここは違う」とかみんなが意見を言い合って。
──確かにアイドルでは珍しいパターンじゃないですかね。だいたい別々に録ってディレクターが判断するような形が多いと思います。
mei 自分が歌ってるときにメンバーからいろいろ意見もらえるのはうれしいんですよね。
yumi やり方は今まで通りなんですけど、みんないつも以上にレコーディングに集中していたと思います。
──バンドのセッションみたいなやり方ですね。
yumi つぎはぎだったらこの6人でやる意味がないなと思うから。
ロマンチックな「抜け駆け」
──これだけメンバーの思いが詰まった曲をシングルのA面で出すとなると、リアクションも気になりますよね。
yumi でも出すならA面じゃないと意味ないかなと思っちゃいました。B面が「PRIDE」だったらアレッてなっちゃうかも(笑)。
──あー、威勢のいいことを裏で言うみたいな(笑)。ちなみにB面はいかがですか? 「抜け駆け」という意味深なタイトルですけど。
ami 最初に「抜け駆け」ってタイトルを聞いたときは暗いイメージがあって、先に「PRIDE」を聴いてたから今回のシングルはカッコいい感じなのかなと思ったら、すごく明るくてロマンチックな曲でした。
yumi 抜け駆けだからドロドロした内容なのかなと思ったよね(笑)。
mei 両方一緒にあるからこそですね。どっちも強いメッセージだったら疲れちゃうから。「PRIDE」で強いこと言ってるなあと思ったら「抜け駆け」で一緒にいたいとか言ってるなあみたいな。両方聴いてもらえるとうれしいですね。歌い方もみんな全然違うと思うので。
──リリスクの曲はパーティチューン的なものだけじゃなく叙情的な雰囲気の曲も特徴的で、この「抜け駆け」は叙情路線の最新版だなと。
yumi そうですね。今までの感じを引き継ぎつつ、ここまで歌っぽいメロディの曲はなかったので、また新しい一面が出せたかなと思います。
次のページ » ami×mei×yumiインタビュー(後編)
- ニューシングル「PRIDE」 / 2014年10月28日発売 / T-Palette Records
- 通常盤 [CD] / 1080円 / TPRC-0109
- 通常盤 [CD] / 1080円 / TPRC-0109
- ayaka盤 [CD] / 1350円 / TPRC-0110
- minan盤 [CD] / 1350円 / TPRC-0111
- hina盤 [CD] / 1350円 / TPRC-0112
- yumi盤 [CD] / 1350円 / TPRC-0113
- mei盤 [CD] / 1350円 / TPRC-0114
- ami盤 [CD] / 1350円 / TPRC-0115
通常盤収録曲
- PRIDE
- 抜け駆け
- PRIDE(inst)
- 抜け駆け(inst)
メンバー盤収録曲(共通)
- PRIDE
- 抜け駆け
- PRIDE(inst)
- 抜け駆け(inst)
ayaka盤
- tengal6 take3
minan盤
- Akikaze take2
hina盤
- photograph take2
yumi盤
- まちがう take2
mei盤
- プチャヘンザ! take2
ami盤
- しってる/しらない take2
lyrical school(リリカルスクール)
「清純派ヒップホップアイドルユニット」というコンセプトのもとオーディションで選ばれた、ami、ayaka、erika、mariko、mei、yumiという6人のメンバーにより2010年に結成。「tengal6」というユニット名で活動し、ハイクオリティな楽曲と「アイドルラップ」という特異なスタンスで大きな支持を集めた。2012年にタワーレコードのアイドルレーベル・T-Palette Recordsに移籍し、それを機にユニット名を「lyrical school」に改名した。2013年にはmarikoとerikaの卒業を受け、hinaとminanが加入して新体制に。同年9月には1stフルアルバム「date course」を発表した。2014年10月には通算7枚目のシングル「PRIDE」をリリース。