ナタリー PowerPush - lynch.

次への一歩を刻む「BALLAD」で2012年におとしまえをつける

自分に一番求められてるものに気付けるようになった

──昨年夏から「THE FATAL EXPERIENCE」と題したツアーを2度にわたって展開してきましたが、そのファイナルとなるライブが3月2日にZepp DiverCity TOKYOで行われます。

lynch.(写真は2012年12月7日の東京・LIQUIDROOM ebisu公演「THE FATAL EXPERIENCE #2 -SEIZE THE MOMENT-」の様子)

昨日夢に出てきたんですよ、DiverCityが。

──それはどういう夢だったんですか?

DiverCityに行っただけなんですけど、会場の天井がめっちゃ低くて。

──あははは(笑)。

でもクソ広いんですよ(笑)。夢に見るくらい意気込んでます。

──2度にわたるツアーでバンドとして変わった部分はありましたか?

どうですかね。バンドとしてって考えると難しいですね。同じツアーをずっと続けてやってる感覚はあるんですけど。

──じゃあ葉月さん個人としてはどうですか?

見た目とかパフォーマンスとか、ラフさを少しなくしたかなっていう感じですかね。夏のツアーに比べて冬のツアーは服装とか髪型とかメイクをちゃんとキメていくようにはなりました。それは自分の中で大きな変化ですね。夏まではまだTシャツにGパンみたいな感じだったのに、冬はオールバックにして、クソ暑い中革ジャンを着て全身真っ黒。そういう見せる部分にも興味が湧いてきたというか。パフォーマンスについてもそうですね。

──もしこのツアーを2度に分けずに、休みなく続けていたらそういう変化にたどり着いたと思いますか?

どうですかね。まあ間が空いたといっても1カ月弱なので……だからそのまま続いてたとしても変化してたと思います。

──その変化はどこから出てきたものなんでしょう?

それはライブというよりは、バンドをやっていて自分に一番求められてるもの、そして自分に一番似合うものにだんだん気付けるようになったというか。なので一度そこに忠実に、自分を作る作業をやってみようかなと思ったんです。今までは「極力ラフにいこう、TシャツGパンでいこう」っていう気持ちが強かったんですけど、2、3年やってきて「正直それは正しいのかな?」という疑問も出てきて。自分の写真や映像を観て「これよりもっとカッコよくできるんじゃないか」って考えて、徐々に変化していったのかな。だから何か大きな出来事があってパッと切り替わったわけではないんですよ。試しながら、探り探りやってるところです。

次は僕が思う理想のlynch.を完璧に表現したい

──そういうライブでの心境の変化は、今後生まれる新曲やアルバムにも影響を与えるんでしょうか?

lynch.(写真は2012年12月7日の東京・LIQUIDROOM ebisu公演「THE FATAL EXPERIENCE #2 -SEIZE THE MOMENT-」の様子)

どうでしょうね。もし次のアルバムがメロコアっぽかったら、革ジャンは着ないでしょうしメイクもしないでしょうね(笑)。アルバム「INFERIORITY COMPLEX」、キャッチーなシングル2枚を経て、改めて「lynch.はどこが一番美しいのか、何をすべきなのか」ということを客観的に考えたときに、次は僕が思う理想のlynch.というものを完璧に表現したいと思っていて。雰囲気をすごく大事にしたものになると思いますし、当然激しさもメロディアスな面もあるでしょうし。漠然とですが、今までよりも深いところに行きたいなと思ってます。だから……もしかしたら、ちょっとわかりにくくなるのかもしれないですね。

──わかりにくく?

はい。パッと聴いて簡単に理解できるような作品にはならないかもしれない。こうすればライブでノリやすいだろう、聴きやすいだろうとか余計なことは一切考えないで、自己満足では終わらないクオリティのものを突き詰めて作りたいんです。でもこれは僕が思っていることであって、ほかのメンバーからしたらまだピンときてないかもしれない(笑)。だけど確実にそこに向かって動いてるとは思います。

──じゃあZepp DiverCity TOKYOでのライブは、その新たなステップに進む前の1つの区切りになると?

そうですね。今までも大きい会場でライブをするたびに「ここが集大成です」ってことを言ってたんですけど、今回は本当に、そこで1回終わるくらいの感じでやろうかなと思います。このまま活動休止するくらいの気持ちでやりたい。実際そのあとにライブのスケジュールを入れてませんし。2012年にやってきたことのファイナルですね。2013年のスタートではないです、間違いなく。始まりじゃなくて終わりですね、今度のライブは。

──2013年の始まりは次の作品からだと。

そうですね。始めるために終わるんです。そこで完全にガツンと終わらせたい……なんか解散するみたいだな(笑)。別に解散も活動休止もしませんけど、それくらいの気持ちで挑もうかなと思ってます。

──じゃあサブタイトルの「FINAL HOUR HAS COME」っていうのは、そのままの意味なんですね。

マジでファイナルなんで。lynch.にとって重要なライブになりますよ。

lynch.(写真は2012年12月7日の東京・LIQUIDROOM ebisu公演「THE FATAL EXPERIENCE #2 -SEIZE THE MOMENT-」の様子)

lynch. 「THE FATAL EXPERIENCE #3」-FINAL HOUR HAS COME-

2013年3月2日(土)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
OPEN 17:00 / START 18:00
料金:4000円(1Fスタンディング・ドリンク代別)

lynch.(りんち)

葉月(Vo)、玲央(G)、悠介(G)、明徳(B)、晁直(Dr)の5人からなるロックバンド。2004年8月に葉月、玲央、晁直の3人にサポートベーシストの4人を加えた形で始動。2005年4月に1stアルバム「greedy dead souls」をリリースし、並行して精力的なライブ活動を行うことで、地元・名古屋で話題を集める。

2006年に悠介が加入し、年内に4枚のシングルをリリース。続いて2007年には名盤と名高いアルバム「THE AVOIDED SUN」を発表し、レコ発ツアーファイナルを東京・Shibuya O-WESTで飾る。その後もライブを行う会場の規模を徐々に拡大させ、注目を集める存在に。2010年に明徳が正式メンバーとなり、あわせてメジャーレーベルであるキングレコードへの移籍が発表された。2011年6月、前作から約2年ぶりとなるアルバム「I BELIEVE IN ME」でメジャーデビュー。2013年2月、ニューシングル「BALLAD」を発表した。