音楽ナタリー Power Push - LUNA SEA
ソロインタビューで紐解く 五者五様のライブ観
真矢ソロインタビュー
LUNA SEAの中に“自分”がいる
──2016年のLUNA SEAについてどう捉えてますか?
そんなに駆け足じゃないというか、復活してからのLUNA SEAの活動の中で、これほどマイペースなのは初めてかもしれないですね。毎年必ず何かしらやっていたんですけど、マイペースが似合うバンドになってきたのかも。以前は常に走っていたし、追っているような追われているような感覚があったんだけど、今はそういうこともないしね。LUNA SEAという確固たるものが5人の心の中にできあがっているから、スローペースでも焦らないんじゃないかな。あと音楽シーンも昔ほど「出せ出せ」という雰囲気でもないし。いろんな要素が相まって、今の状態になっているんだと思います。制作も続けていますけど、そんなにカツカツにやってるわけじゃないんですよ。みんなのスケジュールが合うときにやるっていう感じなので。
──制作を通して、LUNA SEAの次のビジョンも少しずつ見えてきてますか?
まだわからないですけどね。プリプロのやり方も変わったんですよ。昔はプリプロの段階から「本番のレコーディングじゃないか?」と思うくらい気合いを入れてましたけど、最近、プリプロではあまりドラムを叩きたくなくて。それは世の中に出る1発目のテイクを大事にしているからで、プリプロの段階ではあえてパートごとにバラバラに叩いているんです。あと、細かいこだわりもなくなってきましたね。以前はシンバルの位置1つにもめちゃくちゃこだわってたけど、そういうこともなくなってきたし。昔は「自己のスタイルを貫きたい」と思ってたんだけど、今は「LUNA SEAのスタイルを貫きたい」という気持ちが強いんです。LUNA SEAの中に“自分”がいるというか。例えばほかのメンバーのデモ音源をアレンジするときも、前は何かを変えなくちゃ気が済まなかったんですよ。でも、最近はデモの通りに叩いたりしますからね。ドラマーじゃない人が作るリズムって、自分の発想にはなかったりするんですよ。「普通のドラマーはこんなことしないよ」っていうリズムがあったり。やりづらいこともありますけど(笑)、すごく新鮮なんですよね。しかも自分の身体で表現すれば、ちゃんとLUNA SEAの自分のエッセンスは出ると思うし。
今は5人で1つの神輿を担いでる
──自分自身を押し出すのではなく、LUNA SEAというバンド全体のことを考えるというのは、ライブでも同じですか?
そうですね。初期の頃のライブはしっかり決まった形があったというか、音源を忠実に再現するという感覚が強かったんです。今はもっと遊びがあると思いますね。もちろんアンサンブルを崩すようなことはしないですけど、その場で思い付いたフレーズを叩くこともあるので。以前のLUNA SEAの楽曲はパズルみたいに組み合わさっているんだけど、今はその中に余白みたいなものがあるので……。ちょっと細かい話になりますけど、1拍を長く捉えられるようになってるんですよね。昔は常に次の1拍を意識しながら前のめりに演奏してたけど、今は1拍の中に余白を感じながら演奏できているっていう。その分演奏に余裕があるし、ライブも楽しいです。昔はツアーを重ねていくと、ルーティンワークみたいに感じることもあったんですよね。もちろん会場も違うし、音の鳴りも違うんだけど、毎日の時間軸は同じだし、見える景色も似てくるというか。でも、今は2時間のライブの中に遊びの感覚も生まれてきて、それがすごく楽しいし、新鮮ですね。
──メンバー同士がせめぎ合うような感じもLUNA SEAのライブの魅力だと思いますが、メンバー間の関係性は変化してきていますか?
そうですね。さっき言ったように、以前は「まず自分のスタイルを貫く」というところもあったから。でも、仲はいいんですよ、うちのバンドは(笑)。以前のライブの雰囲気というのも、映画に出演する役者同士が、私生活でも役の雰囲気になるのと似ているというか。
──ライバル同士の役を演じるために、普段から口を利かないとか。
そうそう。当時のライブの火花が散るような感じというのは、そういう部分もあったんじゃないかな。今はもう50歳近いですから、そんなに火花を散らさなくても……(笑)。この前の「SLAVE限定GIG」も和気あいあいとして、みんなでライブを盛り上げるという感じだったし。まあ、以前はお客さんのこともほとんど眼中になかったんですけどね(笑)。終幕までのLUNA SEAって、ステージの上に神輿が5つあったと思うんですよ。今は5人で1つの神輿を担いでる感じがあるし、1人ひとりがしっかり支えないと傾くという意識もあるんじゃないですか。5人のほうが、大きい神輿を担げるしね。もちろん「自分がいい位置を取る」という瞬間もそれぞれにあると思いますけど。
──最近のライブでも、インディーズ盤の収録曲から、最新シングル「Limit」まで幅広い年代の楽曲を演奏していて。初期の楽曲を今演奏しても、まったく違和感がないのはすごいことだと思います。
確かに違和感はまったくないし、演奏していても楽しいですね。なんだろう、あまり時代に迎合しなかったからかな? 時代を意識しないで、とにかくやりたいことを好きなようにやってきたバンドなので。それは今も同じですね。最初の頃はこの音楽性は理解されないことも多かったですけどね。ライブハウスのオーディションでも「君たちはロックじゃないね」って言われて、バンバン落とされてたし。自分たちでは「ロックってなんだろうね? よくわかんねえな」なんて言ってましたけど(笑)。そういうジャンルに縛られたくないという気持ちもあったんじゃないかな。
──真矢さんのドラムのスタイルについてはどうですか? 変化はありましたか?
いろんなプロジェクトに参加して、ほかのアーティストのバックで叩かせてもらうこともあるけど、その経験を自然にLUNA SEAに持って帰ってますね。でもね、最近気付いたんだけど、スネアやタムの音色の好みは高校生のときからまったく変わってないんですよ。レコーディングで新しいエンジニアと一緒に作業することもあって、自分の音を見つめ直す機会も多いんだけど、好きな音って変わらないんだなって。
行けるところまで行くしかない
──12月23、24日にさいたまスーパーアリーナで行われる「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit-」に対しては、どんな思いを持っていますか? 12月23日は「LUNA SEAの日」とも言われてますが。
思い入れは強いですね。12月23日に初めてライブをやったのは、東京ドームでの「LUNATIC TOKYO」だったんですけど、その日のことは鮮明に覚えてるんですよ。当日、楽屋までどんな服で行ったか、どんな香水を使ったか、次の日に何をやってかも全部覚えていて。それくらい思い入れがあるし、大事な日になってるんですよね。さいたまスーパーアリ—ナも何度かライブをやらせてもらっているし、サイズ感も含めて、今のLUNA SEAにとってちょうどいい会場だと思います。もちろんライブになったら多少の気負いや緊張もあるでしょうけど、その空気に飲まれることなく、LUNA SEAをしっかり表現できるんじゃないかなって。ワンマンライブ自体が1年9カ月ぶりということなので、大暴れしたいですね。
──当日は会場限定のCDも用意されているとか。「Limit」を含め、新曲をライブで聴けるのも楽しみです。
まだライブの構成が決まってないので、どうなるかわからないんですけどね。昔は5人で集まって、みんなで話し合いながら決めてたんですけど、そういうことはSUGIZOが長けてるから「こういうのはどう?」ってアイデアを出してくれるんです。SUGIZO、ホントに尊敬しちゃいますね。すごく好きなんだなって思います、このバンドが。こうやってちゃんとメンバーのことをリスペクトできるようになったのも、やっぱり復活以降なんですけどね。
──2017年はメジャーデビュー25周年、ファンクラブ25周年、メンバー皆さんのソロ活動が20周年を迎えます。いろいろな動きが期待できそうですね。
祭りごとが好きなメンバーばかりだから、誰かしらアイデアを出してくると思います。もし何もなければ、僕は犬の散歩してますよ。犬、飼ってないですけど(笑)。まあ期待というか、LUNA SEAとして行けるところまで行くしかないと思ってます。ライブもそうだし、制作物もそうですけど、どんどん新しいものを吸収して、表現していきたいので。最近、10代くらいの若い子だとLUNA SEAを知らないことも多いから、そこもがんばっていきたいんですよね。若い人にアピールするというより、すべての年代の人が“いい”と思ってくれる音楽を作っていきたいですね。
- 「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit- at さいたまスーパーアリーナ2days」
- 2016年12月23日(金・祝)
埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
OPEN 15:30 / START 17:00 - 2016年12月24日(土)
埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
OPEN 14:30 / START 16:00 - チケット料金(全席指定):9500円(税込)※3歳以上有料
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チケット最終先行受付(e+先着)
受付期間:2016年10月10日(月・祝)12:00~10月24日(月)11:00
受付URL:http://eplus.jp/ls16nb/ (PC、携帯、スマホ)
- チケット一般発売日:2016年10月29日(土)
- LUNA SEA初のクリスマスソングリリース決定!LUNA SEA「HOLY KNIGHT」
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CD盤
2016年12月23、24日の埼玉・さいたまスーパーアリーナ公演「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit- at さいたまスーパーアリーナ2days」会場でのみ限定販売。
価格:800円 ※1曲入り
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配信版
ファンクラブ「SLAVE」会員限定で先行配信。詳細後日発表。
- シングル「Limit」2016年6月22日発売 / UNIVERSAL J
- 初回限定盤A [SHM-CD+Blu-ray Disc] 2480円 / UPCH-7146
- 初回限定盤B [CD+DVD] 1890円 / UPCH-7147
- 通常盤 [CD] 1260円 / UPCH-5877
- エンドライド盤 [CD] 800円 / UPCH-7148
CD収録曲
- Limit
- I'll Stay With You(※エンドライド盤未収録)
初回限定盤 Blu-ray Disc / DVD収録内容
- Limit –Music Video-
LUNA SEA(ルナシー)
RYUICHI(Vo)、SUGIZO(G, Violin)、INORAN(G)、J(B)、真矢(Dr)からなるロックバンド。1989年に現編成での活動を開始し、1991年にYOSHIKI(X JAPAN)主宰の「Extasy Records」から1stアルバム「LUNA SEA」をリリースする。翌1992年に2ndアルバム「IMAGE」でメジャーデビューを果たした。1994年のシングル「ROSIER」がロングヒットを記録し、東京ドームや横浜スタジアムなどでライブを行うなど日本を代表するロックバンドへと成長する。しかし2000年11月に“終幕”を発表し、同年12月26、27日に行われた東京ドーム公演をもってバンドの歴史に幕を下ろした。
終幕以降も各メンバーはソロアーティストとしてのキャリアを重ね、精力的な音楽活動を展開。2007年12月24日に東京ドームで一夜限りの復活ライブを行い、このライブをきっかけに2010年8月に“REBOOT”と称して本格的な再始動を発表した。結成25周年を迎える2014年5月29日には国立代々木競技場第一体育館でスペシャルライブ「LUNA SEA 25th ANNIVERSARY LIVE -The Unfinished MOON-」を実施。2015年6月には主催フェス「LUNATIC FEST.」を千葉・幕張メッセで行い大成功を収める。2016年12月に埼玉・さいたまスーパーアリーナで2DAYSライブ「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit- at さいたまスーパーアリーナ2days」を開催する。