音楽ナタリー Power Push - LUNA SEA

ソロインタビューで紐解く 五者五様のライブ観

Jソロインタビュー

2016年は次に動くための弾を込める期間

──2016年のLUNA SEAについてどう捉えていますか?

J

次に動くための弾を込める期間というのかな。皆さんの目に入ることはあまり多くないけど、みんなで悪巧みの計画を練ってる年だと思います。俺らにとって、そういう時間はすごく大事なんですよ。90年代から終幕までものすごいスピードで突っ走ってきて、ご存知の通り、2007年に再集結して現在に至るわけだけど、その中で自分たちのタイム感、呼吸感みたいなものを作ってきたんですよね。LUNA SEAはすごく大きなバンドだから、一歩踏み出すときもいろいろなシミュレーションをするし、やらなくちゃいけないことがたくさんある。時間はかかるんだけど、その中で日増しにエネルギーが高まってるんですよね、今は。すごく不思議なんだけど、去年の「LUNATIC FEST.」以降ライブをほとんどやっていないのに、ずっといいテンションが続いているんですよ。それはほかのメンバーもたぶん一緒の感覚だと思うし、このまま突っ走っていけるんじゃないかな。

──その先には30周年を見据えているわけですよね?

それはメンバーそれぞれの考え方があると思うけど、俺自身は“○周年”のために動いてる感じではないんだ。自分たちが進もうとしている道、重ねようとしている夢があって、その中に“○周年”という時があるというのが自然だと思っているから。もちろん30周年を迎えられることに対しては誇りを持っているけど、それだけに向かっているわけではないからね。

本当にいい状態でバンドが存在してると思うよ

──ライブに対するモチベーションについてはどうですか?

当然変化はしているんだろうけど、俺自身は純粋に「その瞬間に燃え上がるような、燃え尽きられるようなライブをやりたい」といまだに思い続けているかな。いろいろ考えたり、計算しても、ライブっていうのはそれが通用しない場所だから。特にLUNA SEAがやっているのはショーというよりも、本当のライブだからね。5人がぶつかり合って成り立っている部分が大きいし、本番までに自分たちを高めて、みんなが楽しめるような最高な時を作ることしか考えていないというか。

──5人がぶつかり合うという感覚も一貫しているんですね。

うん。ただ、ずっと長い時間を共にしているわけで、お互いのことを昔よりは理解できるようになってるけどね。若いときっていう言い方はヘンかもしれないけど、とにかく自分を試してみたくて、それぞれのエゴをぶつけ合った時代もあったと思う。でも、それはあるべき姿なんだけどね、バンドの。去勢されたような人間ではなくて、“俺が俺が”という人間が集まらないと俺が理想としているバンドは成り立たないし、「1人も遠慮するな。1人も引くなよ!」という思いでやってきた5人だから。LUNA SEAを始めたときっていうのは、全員がそれぞれのパートで一番であってほしいと思っていたんだよね。そういう最高の5人が集まってこそ、最高のバンドになれると思ったし、絶対にそうあるべきだって。子供みたいな考え方もしれないけど、それが理想だったんだよ。さらに今はお互いのことを理解できるから、余計なぶつかり合いはなくなったね。撃ち抜くべき的というものがライブ、ツアー、アルバム制作のたびに存在していて、言葉にしなくても全員がわかってるから。もちろん、動き出す前は全員のフォーカスを合わせるために時間を割くけど。今は本当にいい状態でバンドが存在してると思うよ。

──演奏のスタイルについてはどうですか?

変わらないかな、俺としては。やり方を変えないバンドが昔から好きだったからね。そういうヤツになりたいと思ってバンドを始めたところもあるし、今もそう。そういうカッコよさを自分自身で証明したいというか。それはね、飲食店と同じですよ。例えばさ、お寿司屋さんがいきなりピザ屋さんになったらおかしいじゃない?(笑) でも、音楽の世界には意外とあり得ることだから(笑)。

──確かに。流行などと関係なく、自分たちのスタイルを貫くことが大事だと。

でも、なんだかんだ言いながらロックはエネルギーのある音楽であり続けているし、カッコいいバンドも次々と出てくるでしょ。ベース、ギター、ドラム、ボーカルというスタイルはロックが始まったときからからずっと同じだしね。

──なるほど。現在のライブでも初期の楽曲を演奏していますが、表現の方法は変わってきていますか?

それは変わってきてるね。むしろ10代、20代のはじめと現在では違っていなくちゃいけないと思うし。その頃に作った曲は、今プレイしても驚きや発見があるんですよね。それはすごく不思議な感覚だし、今になって思うのは「その瞬間瞬間をガムシャラにやってきてよかった」ということで。当然、そのときにしか書けない曲というものがあるからね。逆に今作ろうとしている曲は、当時はできなかったと思うし。10代、20代の頃の張り裂けそうな思いをしっかり形にしたからこそ、今プレイしても気持ちがよみがえってくるものがあるわけで。曲のエネルギーが弱ければ、そんなことは起きないからね。

──そういう過程の中で、今年6月には2年半ぶりのシングル「Limit」がリリースされました。

そう。今も制作は続いているし、新しい音に飢えているのは確か。昔の曲をプレイするのも楽しいけど、新しい楽曲をライブで演奏するのは新鮮だし、刺激的だからね。今のライブのメニューには一番新しい曲とインディーズ盤に入っていた一番古い曲が混在しているけど、ライブをしているときは、自分たちが通ってきた道筋や、LUNA SEAを背負ってきたことを本当に実感できるから。あとね、俺、今のLUNA SEAに対して“覚醒をする前夜”という感じがしてしょうがないんだよ。嵐の前の静けさというのかな。そういう気持ちになったことは何度かあるんだ。最初のインディーズ盤を作る前もそうだったし、「MOTHER」というアルバムを作ったときもそう。ものすごい何かが始まる予感。「このバンドはまた、とんでもないことをやろうとしている」という予感というか。まあ、実際バンドが大きなタームに差し掛かってるのは確かじゃないかな。

混じりっ気なしのLUNA SEAの世界を見せる

──12月23、24日にさいたまスーパーアリーナで行われる「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit-」に対しては、どんな思いを持っていますか?

大規模なワンマンライブは2015年3月の大阪城ホール以来だから、1年9カ月ぶりなんですよね。そういう意味では、ひさしぶりに混じりっ気なしのLUNA SEAの世界を見せることができると思うし、そこに向かって走り始めたところですね。もちろん新曲もプレイするし、今言ったように、新しい何かが起きる可能性はすごくあると思います。

──ライブ当日限定で販売するシングルを制作しているそうですね。

うん。自分たちのアイデアや思いというものを、より自由に表現できるようになっているのかもね。時代の変化もあると思うんですよ。会場限定シングルというものも、以前の俺らだったら発表するのは難しかっただろうしね。

──音楽ビジネス的な話でも、ライブの重要性も上がっていますしね。

そうだね。その場所に行かないと感じられない熱や感動、人を突き動かすような生のエネルギーというのはライブにしかないものだから。それはずっと変わらないよね、ホントに。俺自身も「すげえライブを観た!」という経験が人生の中で何度かあるけど、ライブって何が起きるかわからないようなすごい瞬間があるんだよ。年末のさいたまスーパーアリーナに来てくれる人たちにも、ぜひ最高の気分を味わってもらいたい。そして、観てくれた人たちの何かが変わっていくようなライブをやりたいよね。

──2017年はメジャーデビュー25周年、ファンクラブ「SLAVE」が発足25周年、メンバーの皆さんのソロ活動20周年の年ですね。Jさんはベストアルバムのリリースも告知していますし、今年以上に動きのある1年になりそうですね。

すごい1年になりそうだよね(笑)。でも忙しさとか大変さというのは、実は昔からずっと変わらないんだよ。LUNA SEAは純粋にずっと目の前のことに向かって突き進んできたバンドだし、それを続けていくだけなので。もちろん、こうやって長く活動できていることに対する感謝だったり、ファンのみんなに対して、何かをプレゼントしたいという気持ちもあるしね。いろんなことが起きる年になると思うよ。と同時に「20周年だからなんなんだよ!」という部分もあるんだよね、俺は(笑)。「俺たち、ここまでやってきたよな」っていう感慨と、「だからなんだよ! 今まで以上にいくぜ!」っていう両方の思いを持ちながら走っていくイメージなんだ。今まで通り、全開でね。

「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit- at さいたまスーパーアリーナ2days」
2016年12月23日(金・祝)
埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
OPEN 15:30 / START 17:00
2016年12月24日(土)
埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
OPEN 14:30 / START 16:00
チケット料金(全席指定):9500円(税込)※3歳以上有料
チケット最終先行受付(e+先着)

受付期間:2016年10月10日(月・祝)12:00~10月24日(月)11:00

受付URL:http://eplus.jp/ls16nb/ (PC、携帯、スマホ)

チケット一般発売日:2016年10月29日(土)
LUNA SEA初のクリスマスソングリリース決定!LUNA SEA「HOLY KNIGHT」
CD盤

2016年12月23、24日の埼玉・さいたまスーパーアリーナ公演「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit- at さいたまスーパーアリーナ2days」会場でのみ限定販売。

価格:800円 ※1曲入り

配信版

ファンクラブ「SLAVE」会員限定で先行配信。詳細後日発表。

シングル「Limit」2016年6月22日発売 / UNIVERSAL J
初回限定盤A [SHM-CD+Blu-ray Disc] 2480円 / UPCH-7146
初回限定盤B [CD+DVD] 1890円 / UPCH-7147
通常盤 [CD] 1260円 / UPCH-5877
エンドライド盤 [CD] 800円 / UPCH-7148
CD収録曲
  1. Limit
  2. I'll Stay With You(※エンドライド盤未収録)
初回限定盤 Blu-ray Disc / DVD収録内容
  • Limit –Music Video-
LUNA SEA(ルナシー)

RYUICHI(Vo)、SUGIZO(G, Violin)、INORAN(G)、J(B)、真矢(Dr)からなるロックバンド。1989年に現編成での活動を開始し、1991年にYOSHIKI(X JAPAN)主宰の「Extasy Records」から1stアルバム「LUNA SEA」をリリースする。翌1992年に2ndアルバム「IMAGE」でメジャーデビューを果たした。1994年のシングル「ROSIER」がロングヒットを記録し、東京ドームや横浜スタジアムなどでライブを行うなど日本を代表するロックバンドへと成長する。しかし2000年11月に“終幕”を発表し、同年12月26、27日に行われた東京ドーム公演をもってバンドの歴史に幕を下ろした。

終幕以降も各メンバーはソロアーティストとしてのキャリアを重ね、精力的な音楽活動を展開。2007年12月24日に東京ドームで一夜限りの復活ライブを行い、このライブをきっかけに2010年8月に“REBOOT”と称して本格的な再始動を発表した。結成25周年を迎える2014年5月29日には国立代々木競技場第一体育館でスペシャルライブ「LUNA SEA 25th ANNIVERSARY LIVE -The Unfinished MOON-」を実施。2015年6月には主催フェス「LUNATIC FEST.」を千葉・幕張メッセで行い大成功を収める。2016年12月に埼玉・さいたまスーパーアリーナで2DAYSライブ「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit- at さいたまスーパーアリーナ2days」を開催する。