もしかしたら私は性格が超悪いのかも

──お話を伺って、ロザリーナさんの音楽は日常に転がっている大事なことを気付かせてくれるのが魅力な気がしました。

ありがとうございます。うん……これは持論ですけど、生まれてくることに意味があるのかどうかって多くの人の人生の問いだと思うんですよ。昔、ある先輩が「生まれてくることに意味なんてないんだよ」って言ったんです。その言葉が受け入れられなくて、本当に生まれることに意味がないなら、なんで生きてるんだろうって。意味を付けることで、生まれてきた理由も作れると思うし、それが希望になると思う。何かしらすべてのものに意味があると思いたいから、こじつけかもしれないけど日常のすべてのものに意味を見出したいんです。そういうところから歌詞になっているものが多いと思います。

──「人間とは何か」というのも大きなテーマだと思いました。

人が好きなんです。人間の感情って複雑じゃないですか。表情とか面白いなと思うんですよね。会話をしてても、あの人は全然話を聞いてないなとか、納得したフリをしてるけど腑に落ちてないなとか。目のやり場を見てると本当に面白い。うん、人間観察が好きですね。

──ちなみに自己分析すると、ご自身はどう見えてますか？

もしかしたら、私は性格が超悪いのかもしれないです。例えば誰かが入院してお見舞いに行きたいと思ったときに「それはお見舞いに行くっていうよさげな行為をすることで自分に満足してるんじゃないか」って考えるんですよ。

──裏側を見ちゃう。

そう！ お見舞いに行くことで誰かが「偉いね」って褒めてくれるかもしれないって。だから、最近はそういう裏側を考えちゃって、自分のことを偽善者に感じることがあります。その一方で、本当に心配だからお見舞いに行きたいときもあるし……結論としては自分のことがよくわかりません（笑）。私はどっちなんだろう。

──その思考の迷路は面白いですね。

考えないと何も始まらないと言うか、考えるのが好きなんです。知識を増やしていくだけじゃなくて、その知識を理解することで細胞分裂させたい。聖徳太子って複数の人の話が同時に理解できたって言われてますよね？ それができるようになりたいし、そうなったら今の現代人にとってはすごい武器だと思うんですよ。それは聴力じゃなくて、同時にたくさんのことができるようになりたいって意味で。ああ、でも無理かもしれない……。

──なんか話が二転三転してますけど（笑）。

人間って一度に2つのことしかできないって、読んだ本に書いてあったんですよ。もしも聖徳太子が本当にいたなら、その能力は嘘ということですよね。だから最近はそれを調べています。人間って、1つのことに集中すれば100%の能力を発揮できるらしいんですよ。それが2つのことを同時にやると、50%ずつじゃなくて10%くらいしか脳が機能しないらしくて。だから、脳に一番いいのは1つのことに集中することなんです。そしたら脳の細胞分裂にもつながる。だけど、それをやってると時間がいくらあっても足りないんですよね……ということは1つのことにかける時間を短くすればいいんだなと。今はその訓練中です。

喜怒哀楽を含めて、人間のことを歌いたい

──ロザリーナさんの類い稀なる歌唱力も大きな魅力だと思います。その歌い方は最初からですか？

あんまり自分の歌い方に特徴があると思ってなかったんですけど、あるとき友達が真似してきたんですよ。それがすっごく嫌で。だけど「真似されるっていうことはいいことなんだよ」とその友達に言われて。そういうもんかなあと。私ってそんなに癖ありますか？

──癖と言うか、ロザリーナさんの声は年齢不詳、性別不詳な感じが魅力的ですよ。

ショックだったのがライブを観に来た人が私のことをツイートしてたんです。「あんな声の男の子はいないと思う。ついCDも買っちゃった」って。読んだときは笑ったけど、内心傷付きましたね。

──男の子のようなピュアさもあるし、女の子のような柔らかさもあるし、そこにハスキーがかった儚さもあると思います。

褒めるのうまいですね。自信が湧きました！（笑）

──最後に今後の目標を教えてください。

私の歌で「普段気付けなかったけど、こういう考えもあるんだ」って気が楽になる人がいてくれたらうれしいです。実際に私もいろんな音楽に救われたので、音楽には気付きを教えてくれる力があると信じてます。喜怒哀楽を含めて、人間のことを歌っていきたいです。