西野亮廣さんが最初に私を認めてくれた
──その後、2016年に西野亮廣さんの絵本「えんとつ町のプペル」のテーマソングを担当したことで、ロザリーナさんの存在が多くの人に知られるようになりましたね。
そうですね。音楽活動を始めて、最初にロザリーナを認めてくれたのが西野さんでした。
──どんな経緯で知り合ったんですか?
まだCDが出ることも決まってないときに、事務所の人から「もしもCDを作るとしたら、ジャケットはどうしたい?」って話をされて。「西野さんがすごい絵を描かれているので、いつか描いてもらえたら」と言ったんです。そしたら事務所に西野さんとつながっている人がいて、私の音源を渡してくれたんです。その後、西野さんの個展へ行ってご挨拶をしたときに「お嬢ちゃん、いい声してるね。『えんとつ町のプペル』という曲を作ったんだけど、それをぜひ歌ってほしい」と声をかけてもらいました。
──反響はどうだったのでしょうか。
Twitterのフォロワーが急激に増えました。それまでは無名の私が何度ライブハウスや路上で歌っても、知ってもらうには限界があったんです。でも西野さんが私を世間に紹介してくれたおかげで、扉が開いたと思います。
──その出会いをきっかけに「ロザリーナ」「音色」のジャケットを西野さんが手がけられて(参照:ロザリーナ新作ジャケをキンコン西野が描き下ろし)。
私が直接ご本人に電話をしたんですよ。「実はお願いがあって……よかったらCDのジャケットを描いてほしいです」って言ったら、「いいよ!」ってサクッとOKをもらえました。「ただ1枚描くのにすごい時間がかかるから」って言われて。1枚仕上げるのに3カ月くらいかかるらしいんですよ。それでも西野さん以外に思い浮かばなかったので、お願いしました。
音楽に込めたロザリーナ流の人生哲学
──そしてロザリーナさんは4月11日に「タラレバ流星群」でメジャーデビューを果たしました。表題曲はどのような思いから生まれた曲なんですか?
電車に乗ると、いろんな人がいますよね。そこで「あの人の人生はどういう人生なんだろうな」「この人は家族がいて幸せそうだな」とか、他人と自分を比べていろいろと想像するんです。もしも私が音楽をやっていなかったらどうだったんだろう、と。人間は欲深いですから「あのときにああしていたらもっと人生がうまくいっていたんじゃないかな」って思うんですよね。だけど、私は昔の失敗が今につながっていると思っていて。そこから、この曲には「みんなキレイに見えるけど、もしかしたら自分だってキレイに光る流星群の1つかもしれない」という気持ちを込めてます。
──歌い出しの「思えば違う夢もあったのさ あんなに悩んで 決めたのに ふいに思い出し もしもを無限ループ」という歌詞が印象的でした。
「親がこういう仕事をしているから、私が継ぐしかない」とか、自分に選択肢がないとあきらめている人はたくさんいると思うんですよ。ただ、やるかやらないかの選択をしてるのは自分なので。「やりなさい」と言われてもやらない方法はあるし、だけどそれをすることで失うものもあるかもしれない。今までやってしまったことや、今いる場所は自分が選んできたすべてだから、結局ああしたい、こうしたいって考えるのは自分の中で決まっている何かがあるからだろうなって。それを伝えたくて作りました。答えは自分の中にあるんですよ。だから、その答えを知ることが大事だなって思います。
──2曲目の「Rolling Rolling」はどんな思いで作られたのでしょう。
「今はわからないと思うけど、いつかわかるときが来るから」と、上から目線で言う先輩っているじゃないですか。私はそういうのがすっごく嫌で、言われると「はあ? ムカっ!」ってなるんです。しかも私は驚かれるくらい根に持つタイプなんですよ。ずっと忘れられなくて、「なんであんなことを言うんだろうな」みたいな。
──それがこの曲の原動力になっていると。
そうなんです。たぶん、その人も先輩から言われてきたんですよね。こういうことって上司と部下、先輩と後輩という関係がある以上、その連鎖は続くと思うんです。それで「あなたの言ってることはわかりませんし、理解したくありません。いつかわかるなら、そのときまで悩んでいたくもないし。じゃあ自由でよくないですか」って考えに行き着いたんです。「若いから今はわからないと思うけど……」って、「今わからないなら、言う必要ないですよね?」というひねくれた気持ちをそのまま書いてます。
──3曲目は恋愛をわたあめに例えた内容ですね。
わたあめを食べるのが好きなんですよ。でも見た目はあんなに大きいのに、口に入れたら一瞬でなくなっちゃう感じが寂しくて。溶けてなくなる前に次のわたあめを口に入れて、それを何度も繰り返すんです。で、恋愛について考えたときに「人間ってやっぱり強欲な生き物だな」と思って。そういう気持ちをわたあめに例えて書きました。
──話をお聞きしてると、消えていかないためには食べないのが一番いい気がしました。
ええ!? どういうことですか?
──恋愛って憧れていたときはあんなに好きだったのに、いざ付き合ってみると幻滅したり、憎しみが生まれて、むしろ嫌いになるじゃないですか。
めっちゃわかります。
──それなら最初から近付かないほうが好きなままでいられるのかなって。
確かに……でも、違うんですよ。その味を知ってしまったからこそ消えてほしくないんです。食べなければ甘いことにも気付けないから、やっぱり食べなきゃダメなんですよ。
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もしかしたら私は性格が超悪いのかも
- ロザリーナ「タラレバ流星群」
- 2018年4月11日発売 / Sony Music Records
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初回限定盤 [CD+DVD]
1700円 / SRCL-9710 -
通常盤 [CD]
1300円 / SRCL-9712
- CD収録曲
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- タラレバ流星群
- Rolling Rolling
- わたあめ
- 初回限定盤DVD収録内容
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- タラレバ流星群 ミュージックビデオ
- ロザリーナ
- 女性シンガーソングライター。2016年に西野亮廣(キングコング)の著書「えんとつ町のプペル」のテーマソングを担当し、知名度を一気に上げる。12月に1stミニアルバム「ロザリーナ」を発売した。その後、首都高速道路ETC2.0やauなどのCMソング、「妖怪アパートの幽雅な日常」のテーマソングを担当。2017年10月にそれらの楽曲を収録した1stシングル「音色」をリリースし、2018年4月にシングル「タラレバ流星群」でソニー・ミュージックレコーズからメジャーデビューを果たした。