LOW IQ 01|20周年でもフレッシュ! 変わり続けたから見えたもの

20周年は俺にとってスタート

──前作「Stories Noticed」リリース以降の活動を振り返ってみて、いかがですか?

LOW IQ 01

この20年で「Stories Noticed」の発表が一番のターニングポイントだったかもしれない。まあ、たった2年前なんだけど(笑)。あのアルバムがあったおかげでサウンド面しかり、メンバー編成しかり、「TWENTY ONE」だけじゃなくいろんなことにつながった気がするんだよね。自分がベースを弾きながら、歌を歌いたくなるような曲を作っていくようになった。

──「Stories Noticed」発表前からInstagramを始めたり、発信する意識の高まりも感じました。

メジャーレーベルに所属してた頃は人任せな部分があったんだよね。マネージャーも兼任してくれたレコード会社のスタッフがいたんだけど、彼が担当を外れてからやりづらくなっちゃって。それで「あ、これは自分でやるしかないんだな」とわかって、自分でレーベル(MASTER OF MUSIC)を立ち上げてから、活動が激しくなったんじゃないかな。

──なるほど。

LOW IQ 01

それまではずっと受け身で、ライブのオファーもただ待ってるだけで、自分から動かなかったから。でも「もうそんなことはしてらんねえぞ」と思って、自分がいいと感じたアーティストをどんどん誘うようになった。ようやくそういうことができるようになりました(笑)。

──正直、遅いですよね!(笑)

遅いですねえ! でも、それに気付けただけでも俺はいいと思う。

──自分から誰かに声をかけるという行為が、今のイチさんにとって新鮮なんですね。

うん、そうなんだよね。大人になってから新しい遊び道具を教えてもらって、それがまだ飽きない、みたいなね。普通なら20周年ってある程度やり尽くしちゃった感じになるけど、俺の場合はまだスタートというか、むしろミュージシャンとしての寿命が伸びた気がする。

──確かに、イチさんはまだ1周した感じがしないですね。サウンド面に関しては以前、HUSKING BEEのイッソン(磯部正文)さんとの対談のときに「シンプルになってきた」と話していました(参照:磯部正文(HUSKING BEE)×LOW IQ 01対談|ロックシーンを駆け抜けてきた2人が語る「あの頃と今の俺たち」)。

あの対談は「TWENTY ONE」の制作に入るか入らないかっていうタイミングでやったんだよね。それから新曲のサウンドがどんどんシンプルになって、音数が減って、歌で勝負するようになったところはあるかも。

音楽はカッコいいか、カッコ悪いかのどちらかだけ

──今、イチさんが曲を作るうえで大事にしていることを3つ挙げるとしたらなんですか?

一番はメロディ。次にそのメロディに合ったBPM。そしてハモリ。ハモリはBad Religionみたいに、2つのコーラスがそれぞれ違うメロディになる感じにしたいんだよね。

──それは昔からですか?

その時々によって違うと思う。今重要なのはメロディ、BPM、ハモリの3つ。独特のクセはあると思うけど、そんなにトリッキーなことはしてない。

──あくまでも今こだわっているだけで、今後変わっていくかもしれないと。

そうだね。新しくやってみたいことがポンと浮かんだら、そっちに寄せるかも。

──最近新しい音楽って積極的に聴きますか?

全然聴きません!(笑) でも、音楽って回っていくものだからさ。新しいとされる音楽でも古いものからヒントを得ていたりするから、ルーツになってる音楽を聴いてたらいいかなって。そもそも、音楽は新しいか古いかじゃなくて、カッコいいかカッコ悪いかのどちらかなんだよね。The Beatlesだって何十年も経った今でも、初めて聴く人にとってはフレッシュに感じるわけでしょ? だから、結局は心にくるかこないかなんだと思う。

LOW IQ 01

──大事なものの一番に挙げているメロディは、今作「TWENTY ONE」でさらに磨きがかかっている気がします。

メロディを意識するようになったのは弾き語りをやるようになってからなんだよね。弾き語りっておしゃれなアレンジでやらなきゃいけないとか、敷居が高くて難しいものだと思ってたんだけど、そうじゃないことに気付いて。ギターをジャカジャカ鳴らしてもメロディがしっかり伝わればいいし、ギターだろうがベースだろうが、自分が演奏すれば弾き語りとして成立するのかなって。弾き語りかバンドか関係なく、どんな形でも全力で面白くできればいいなと。

──「TWENTY ONE」はメロディだけ取り出すと、ポップスとして成立するような曲もありますよね。ほかのアーティストに楽曲提供したらいいと思うぐらいです。今作に限らず、イチさんの作る曲はサビを何度も繰り返す傾向がありますが、これはメロディに対して自信があるからでしょうか?

サビを繰り返すことで自分が気持ちよくなるんだよね。歌っててエモーショナルな気持ちになれないと、聴いてる人に伝わらないんじゃないかと思ってて。しかも俺の場合Bメロがサビで、さらに大サビまで用意する、みたいなところがあるから。

──サビって何度も繰り返されると飽きてしまうものですけど、イチさんの場合は不思議とそうはならないんですよね。あと、資料に書いてあったイチさんのコメントで驚いたのが、「みんなで一緒に歌いましょう」というフレーズで。こんなにストレートに「一緒に歌いましょう」って言う人はなかなかいないですよ。

ああ、そう? まあ、考え方が中学生ですから!(笑) ライブのときは暴れてる人もいるけど、一緒に歌ってくれるとうれしいんだよね。

──シンガーとしての自覚が強くなっているんでしょうか。

たぶんそうだと思う。リリックも含めて、昔はそんなに意識してなかったんだけど。