LOW IQ 01のニューアルバム「TWENTY ONE」が4月24日にリリースされた。
1999年のソロ活動開始から今年で20周年を迎えたLOW IQ 01。2月には大勢のドラマーを集めたライブイベント「LOW IQ 01 20th Anniversary "DRUMMERS SESSION"」を開催したほか、5月からはソロ活動20周年を記念した全国ツアー「LOW IQ 01 20th Anniversary "LOW IQ 01 TWENTY ONE LIVE TOUR 2019"」を行うなど、アニバーサリーイヤーを盛り上げる試みを次々と用意している。今回音楽ナタリーでは20年間を振り返りつつ、アルバム「TWENTY ONE」に込めた思い、今後の活動に向けての意気込みを語ってもらった。
取材・文 / 阿刀“DA”大志 撮影 / 塚本弦汰
最近活発になってきたLOW IQ 01
──今年でソロデビュー20周年ですが、「もう20年も経っているんだ」という印象です。最近の活動におけるフットワークの軽さがそう思わせるのかもしれないですけど、若手バンドのようなフレッシュさを感じます。
まあ、ソロになってから一度も休んでないからね。この20年間すごくいいペースで活動できたし、昔はそんなにライブをやってなかったし。
──ライブをあまりやっていなかったのはなぜだったんでしょうか。
(2007年の)メジャーデビュー前までは「知ってる人だけ知ってたらいい」ぐらいの意識で、ライブよりも作品作りに力を入れてたから。あの頃はまだ1990年代の名残りがあって、「民放のテレビ番組には出るもんじゃない」みたいな考え方もあったんだよね。だけど2000年代の中頃から「あ、もうそういう時代じゃねえな」ってわかってきて、今はもっと知ってもらいたいと思うようになった。そうやって意識が変わっていくうちに、ライブをするのも楽しくなってきて。普通はキャリアを重ねるごとにどんどんライブの本数を減らしていくじゃない? 俺の場合は逆に増えて、そういう変化がフレッシュなイメージにつながってるのかも。
──確かにそうかもしれないです。昔より、今のほうが活発に活動されていますよね。
ふふふ、(活発になるのが)遅いねえ! 本当に何をやってんだか! 昔から「常にみんなと逆のことをやらないといけない」っていう意識はあるんだよね。
──周りに仲間はたくさんいながらも、イチさん(LOW IQ 01)は我が道を行くスタイルで、それが面白いなと思ってました。
どのバンドにも変わらない軸はあるけど、俺は1人だからこそ、何をやっても構わないところがあったからね。時代ごとで出したい音は変わったし、その時々でやりたいジャンルの音楽をやってた。それをブレてるとは受け取られたくないんだけど、いろんな音を比較的気軽に取り入れられるのがソロのいいところだし、そこが自分らしいところでもあるかな。
──それにしても、本当にコンスタントに作品をリリースしてきましたね。
ねえ! 知らない間に。でも、まだ少ないと思ってるんだよ。アーティストにもよるけど、20年活動してるなら10枚はアルバムを出しておきたかったな。
「カッコいい」と「面白い」、どっちが好きか悩んじゃう
──この20年間、壁にぶち当たるようなことはなかったんですか。
うーん、なるべく避けるようにしてきたけど、ぶち当たらざるを得ないときもあったし、そういうときは「がんばろう」って乗り越えてきた。特に東日本大震災以降は「せっかく音楽をやってるなら、もっと発信の仕方があるだろう」と思うようになって。それでライブの本数をすごく増やして、いろんなところに行くようになったら、みんなが喜んでくれてさ。そのとき「これが音楽なんだ」って気付いたんだよ。エンタテインメント性っていうのかな。
──なるほど。
「中学生の頃、まさにこんなバンドがやりたかった」と思い出したね。「そうだよな、喜んでもらってなんぼだよな」って(笑)。そういう当時の気持ちと、今の自分のロックに対するイメージがようやく合致したのかな。「バンドをやりたい」って思いは「曲を作りたい」じゃなくて、「まず人前に出たい」ってことじゃん。バンドを始めたての頃は楽器を買って、曲を作って、デモテープをレコード会社に送って……なんて具体的なことは考えないよね。
──イチさんはステージ上での佇まいも変わりましたよね。「AIR JAM 2000」に出演したときは炎天下にも関わらずビシッとスーツを着て、ステッキを持って、いかにも伊達男って感じでしたけど、今はもう……。
派手おじさん?(笑)
──あはは! まあ、そういうふうに変化していって。人柄の部分でも、昔のイチさんは近寄りがたい雰囲気がありましたけど、いつの頃からか周りの後輩からやたらとイジられるようになり。
本当にふざけやがって!(笑) 「俺はそういう人間じゃねえんだよ!」とも思うんだけどさ、そうやって自分の才能が開花したところもあるから。わかりやすく言うと、自分ではツッコミだと思ってたけど、人から「いや、あんたボケだよ?」って言われた感じ。
──わかりやすい。
あと、昔は「音楽にこだわりを持っている人」っていうイメージを作って、周りをシャットアウトしてたところがあったね。「俺はカッコよくねえやつは認めねえぞ」みたいな。俺の根っこにはパンクがあって、俺らがやってた音楽はマイノリティのものだから、テレビなんて出るもんじゃないと思ってて。だけどさ、テレビに出たことがきっかけになって、一般の人が俺らのような音楽に興味を持ったり、そこからいろんな音楽を掘っていくようになったら、そのうち俺らのような音楽をちゃんとわかってもらえるようになるのかなって考えるようになって。そうなると、今までこだわってたことが、ただの強がりだったと気付いたんだよ。
──そして、今やステージでのトークがめちゃめちゃ面白いという。
以前はあえて人前ではそういう姿を見せないようにして、飲んでる席では面白い人っていう、楽屋芸人みたいな感じだったんだよね。でも、それじゃもったいないなって。それに俺、面白いって言われるのが好きだからさ。「カッコいいって言われるのと面白いって言われるの、どっちが好き?」って聞かれたら悩んじゃうぐらい。
──そのせいか、今のライブはイチさんの人間性がモロに出るようになりましたよね。
昔はいい意味で考えすぎてたんだよ。でも、当時のライブを振り返って「ああしとけばよかったな」なんて思わないし、あのときを経て今の自分があるから。
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20周年は俺にとってスタート