ナタリー PowerPush - THEラブ人間
青春期を終え第二期へ メンバー証言で迫る新展開
「アンカーソング」はすごくライト
──第二期の曲作りも進んでますか?
金田 進んでます。「アンカーソング」は第二期になってから最初にできた曲なんですけど、テーマにしても演奏にしても、すごくライトです。相当な覚悟と決意表明を歌った「アンカーソング」ですら、ライトなんですよね。僕がこれから歌いたいことの入口でしかないので。
──これからどんどんシリアスになっていく、と。
金田 そう。さっきも言いましたけど、去年の年末にじいちゃんのガンが再発して。今年の10月の頭に亡くなったんですけど、第二期の曲は、その間にできた楽曲たちなんですよ。つまり僕は、死を目の前にした生を歌いたかったんですよね。あとは、がむしゃらに生きてないと意味がないということだったり……。ほら、よく「生きてる意味なんてないんじゃない?」って聞くじゃないですか。今の自分は「がむしゃらに生きてないと、生きる意味はないよ」ってハッキリ言えますから。「アンカーソング」も、何がなんでも生きてやるっていう歌だし。
──ライブの雰囲気も変わってきそうですね。
ツネ そうですね。「恋に似ている」の曲はずっとライブでやってきた曲なんですよ。でも、今回はレコーディングを先に進めているので、そこは大きく違いますね。
金田 第二期の曲がライブのメインになるのが、2013年ですからね。まだライブでやってない曲も多いし、それを演奏できるのは音楽家冥利に尽きるなって。第一期と同じように、第二期の感じも最後まで突き詰めたいと思ってます。
「下北沢にて」が思い描いてた感じに近付いてきた
──12月23日に行われる自主企画イベント(「THEラブ人間決起集会サーキット型イベント『下北沢にて'12』」)についても訊かせてください。今回で3回目となりますが、いきなり規模が大きくなってますよね!
金田 毎年、ギリギリ倍にならない程度に増えてるんですよ。1回目が3会場、2回目が5会場、今回が9会場っていう(笑)。
──でも3年で3倍になってるじゃないですか(笑)。
ツネ (笑)。前回は30バンドくらいだったけど、今年は70バンド以上出演しますからね。
金田 とにかくいいバンドしか出ない、っていうのがいいですよね。知らないバンドとか名前も聞いたことのないバンドもいると思うんですけど、「ここにいいバンドがいっぱいいるよ」ということを知ってほしいな、と。
──それが「下北沢にて」の根本的なコンセプトですよね。
金田 自主企画っていうのもあるし、「こういうバンド、知らないでしょ? すごくカッコいいから、ぜひ観てほしい」っていうことを大切にしてきたので。ライブハウスシーンにはこれだけいいバンドがいるんだっていう。
ツネ うん。ホントにいいバンドばっかりだし。
金田 まだまだ出したいバンドはあるから、数が多ければ多いほどいいね(笑)。
──完全にバンド発信のフェスなので、事務的な作業も大変なんじゃないですか?
ツネ もうやばいです(笑)。今日(2012年12月10日)、最後の出演バンドの発表があって、さらに「近日中にタイムテーブルを発表します」ってTwitterでつぶやくことになってるんですよ。でもその前に出演者に確認しなくちゃいけないし……。でもそういうことをできる限り自分たちでやってるので。
金田 バンド名の誤植確認とか、地獄のようだよね。オフィシャルTシャツを作っても「あ、このバンドの名前がない!」とか。
ツネ あと個人でイベンターをやっている方とのコラボ企画も3カ所でやるんですよ。今年も「世田谷ミュージックラバー枠」っていう、小学生や中学生に出演してもらう企画もやるし。それをもっと濃くしようと思って、メンバーと一緒に小学校でワークショップをやったんですよね。
金田 「アンカーソング」のAメロ、Bメロの歌詞を抜いた音源を用意して、そこにみんなの思い出とか、大切な人に向けた歌詞を書いてもらって。それをみんなで合唱したんだけど、すごく面白かった。
ツネ うん。とにかくいろんなことをやってて、テンヤワンヤです(笑)。でも、バンドもすごく協力してくれるんですよね。宣伝だったり、フライヤーを配ってくれたり、チケットを売ってくれたり。
──下北沢の南口商店会も協力してくれてるそうですね。
ツネ それもすごく助かってますね。飲食店、服飾店の人たちにも協力してもらっていて……。下北沢で10月に「カレーフェスティバル」があったじゃないですか。今回「スタンプを集めたらアフターパーティのライブに参加できる」という企画があるんですけど、そこにカレーまん(「カレーフェスティバル」のキャラクター)も参加してくれるんですよ。カレーまん、ラップができるみたいなので(笑)。
金田 え、知らなかった! それ超面白いよ!
ツネ (笑)。あとお笑い芸人のムートンさんだったり、劇団の舞台もあって。
金田 音楽以外の分野は手を付けてなかったんですよね、今まで。下北沢は演劇の街でもあるし、ぜひ劇団にも出てほしいなって。今年はおかもとえみの知り合いの「ロ字ック」という劇団が即興劇をやってくれるんですよ。
──ワクワクしますね、ホントに。
ツネ そうですね。3回目にしてやっとみんなが知ってくれたというか、かなり浸透してきた感じもあるし。
金田 最初は「440の前を歩行者天国にして、フェスをやりたい」っていう話から始まったんですけど、ようやく思い描いてた感じに近付いてきた気がします。まずは12月23日、ぜひ遊びに来てほしいですね。
CD収録曲
- アンカーソング
- 黒いドロドロ
DVD収録内容
- 青春期終焉GIG映像集【恋に似ていた】
THEラブ人間(らぶにんげん)
金田康平(歌手)、谷崎航大(Violin)、おかもとえみ(B)、服部ケンジ(Dr)、ツネ・モリサワ(Key)によるロックバンド。2009年1月、金田を中心に結成され、同年4月に自主制作音源「恋街のすたるじい」を発売。2010年8月には、都市型フェスティバル「SUMMER SONIC」への出演権を賭けたオーディション企画「出れんの!?サマソニ!?」を勝ち抜き、「SUMMER SONIC 2010」幕張公演に出演を果たした。また同年9月にツアーファイナルとして下北沢のライブハウス3会場を貸し切り「THEラブ人間決起集会『下北沢にて』」を実施し、成功を収める。2011年5月にインディーズ1stシングル「砂男・東京」をリリース。さらに7月15日に東京・渋谷CLUB QUATTROで初のワンマンライブを開催し、650人の動員を記録した。8月にはビクターエンタテインメントからミニアルバム「これはもう青春じゃないか」でメジャーデビュー。翌2012年5月にメジャー1stアルバム「恋に似ている」、12月にDVD付きシングル「アンカーソング」をリリースする。12月23日に3度目となる自主企画イベント「下北沢にて'12」を、下北沢のライブハウス9カ所を舞台に開催。