世界で一番好きなブリグリ「TERRA2001」

──ラブリーサマーちゃんは、昔から大事にしているCDはありますか？

あります。

──それはなんでしょう？

ふふふ（笑）。私、意地悪ですよね。なんで「あります」しか言わないんだろ。the brilliant greenさんの「TERRA2001」が世界で一番好きです。

──ヒット曲「そのスピードで」が入った2ndアルバムですね。1999年リリースだから、当時はラブリーサマーちゃんはまだ5歳ですね。

なので後追いなんです。中学のときにたまたまthe brilliant greenさんを知って、「何これ！」と思って全部CDを集めて。どんどん好きになっていった感じです。できることならthe brilliant greenさんと同じ曲を作りたいですもん（笑）。

──では、高校の軽音部でもthe brilliant greenの曲をやろうと提案されたり？

やりました！ 「そのスピードで」やりました！ やれたときすごくうれしかったです。ああ、懐かしいなあ。

──デビューもしましたし、いつか川瀬智子さんと対談企画が実現するかも？

無理です無理です！ 1回だけTommyさんのCDお渡し会に行ったことあるんですけど、憧れの人ってホント話せないんだなと思いました。みんな「Tommyちゃん今日もかわいいですね」みたいなこと言って去っていくんですけど、私は緊張のあまり「ずっと立ってて大変ですね、お疲れさまです」みたいな謎なこと言っちゃって（笑）。「全然大変じゃないよー」って言われたんですけど。以前、GRAPEVINEの田中（和将）さん、くるりの岸田（繁）さんにお会いしたときも、「いや、私なんかが会っちゃいけないだろ」と思いましたし。神聖かまってちゃんの、の子さんに会ったときも、自分が嫌になって冷蔵庫に頭打ち付けてたら、の子さんに心配されましたもん（笑）。

──心配しますよ、そりゃ（笑）。

私でも心配になります。

──ところで、宅録を始めたきっかけはリズムマシン付きのMTRをプレゼントでいただいたことだそうですが、今もまだ使ってらっしゃるんですか？

ボーカルを録音するときに使ってます。それ以外はCubaseとかでやってます。今、DTMが超楽しくて、毎日誰かのカバーをしてますね。「これどうやってるんだろ？ 再現したいな」と思って。カバーって曲の構造がわかるし、勉強になりますよね。

──先日Twitterで「自分の出した音に関して自分の子供のように愛おしいと思いはじめてきた」「録音後の処理ってお化粧に似てる。すっぴんじゃなくて良い服着せてあげたり丁寧にお化粧してあげてから家から出させてあげたい」と、つぶやかれてましたよね。とてもいい言葉だなと思いました。

でも、まだ全然うまくできないので、これからがんばりたいです。最近になってようやく自分の声にイコライザーとかかけるようになって。今まで全部“すっぴん”だったんですけど、全然印象が変わりますよね。

「みんなに聴いてほしい」が原点

──初回限定盤には、これまでのリミックスや参加音源を収録したボーナスディスク「ETC」が付属します。ラブリーサマーちゃんが以前在籍していたバンド、For Tracy Hydeの「Another Sunny Daze」は新録なんですね。

すごくカッコよく仕上がりました。この曲はバンドに在籍してるときから大好きで練習もしてたんですけど、メンバーとケンカ別れみたいになってしまって。ずっとお蔵入りになっていたんですけど、こうして形にすることができてすごくうれしいです。これ絶対私が歌ったらめっちゃカッコいいだろうなあと思ってたんですけど、いやー、カッコいい！（笑）

──ネオアコ好きなら、Another Sunny Dayという80年代のイギリスのバンドを思い出すかもしれないですね。

Another Sunny Day、いいバンドですよね。

──ラブリーサマーちゃんの曲がキャッチーなのは、ブリットポップの影響もあるんですか？

というよりも、アイドルソングが大好きだったからですね。最初に曲を作り始めたときはみんなに聴いてほしい、そのためにはキャッチーで届きやすい曲じゃないと聴いてもらえないなと思って。アイドルソングってすごくキャッチーなんですよね。私もあんなふうにみんなに歌ってほしいなという気持ちが強いので、これからもポップさは意識したいです。

──ラブリーサマーちゃんのお祖父さまである作曲家いずみたくさん（「見上げてごらん夜の星を」「手のひらを太陽に」など数々のヒット曲で知られる作曲家）も、キャッチーの鬼ですから。

いずみたくさん、すごくないですか？ 日本人誰でも歌えますよね。「明治ミルクチョコレート」のCMソング「♪チョッコレイト、チョッコレイト」とか老若男女知ってるし。

──いずみたくさんも作曲活動の傍ら、自身のレーベルから自作自演集「このままでいいのだろうか」という素晴らしいアルバムを出されていますし。

あれいいですよね。「手にハンマーを」とか「どうして酒を飲むか」とか、曲名だけでもパンチありまくりですよね（笑）。