最近恋愛から遠ざかり過ぎてる（笑）

──「あなたは煙草 私はシャボン」をアルバムリード曲にしたのは？

ディレクターさんがこの曲を聴いて私と契約しようと思ってくれたそうで、すごく気に入ってるんです。3年前に作った曲なので「#ラブリーミュージック」に入っていてもおかしくないんですけど、「この曲でメジャーデビューしたいから取っとこう」と言われて。それで取っとかされました（笑）。

──当時はこういう儚げな恋愛を歌っているアーティストだと思われていたんでしょうか？

どうなんでしょうね？ でも、こういう曲は減っちゃいましたね。これ、恋愛の歌詞なんですよね。若い女の子って恋のことばかり歌うと思うんです。私、最近恋愛から遠ざかり過ぎてるんですけど（笑）、そういうときって世の中の恋愛ソングを聴いても想像上の物語の歌なのかなとか思っちゃって……もちろん恋愛の歌で名曲が多いのは事実なんですけど、今の私は恋愛の歌を聴いてもあまり響かないし、気分が荒んでると「はあ？ 全員恋とかしやがってこの野郎！」とかしか思えなくなっちゃうんですよ（笑）。

──あはははは！（笑）

今は自分がそういうモードじゃないんでしょうね。なので「PART-TIME ROBOT」はUSパワーポップふうに英語で歌ってるし、歌詞の内容も「私に指図するな！」みたいな歌詞なんです。自分としてはアコギで弾き語りしてる恋愛の歌詞多めのシンガーソングライターの女の子、みたいな見方はされたくないから差別化ができたらいいなと思って。

──なるほど。

でも、「202 feat. 泉まくら」は、ひさしぶりに恋愛の曲書いたなと思いました。これは私1人だったら、こういう曲にならなかったかもしれないです。泉まくらさんと一緒にやることを最初に決めてて。私、泉さんが大好きで、よく聴いてた楽曲の全体像がちょっとエッチな感じだったんですね。生活感があって、男の人と女の人がいて。それに引っ張られてこんな感じになりました。だから男の人とかが出てきたりしてるんだと思うんですけど。これは泉さんのおかげですね。いやー、次に恋愛の歌詞を書けるのいつなんですかねー？ やー恐い恐い。これから先そういう歌詞ないかもしれない……。

──そんなことはないと思いますよ（笑）。ということは「私の好きなもの」しかり、実体験じゃないことは歌詞に書けない？

今まで自分の人生になかったことは歌詞に書いてないですね。想像で素敵な恋の歌とか書けたらいいですよね。夢が詰まってるじゃないですか？ 私の曲、めちゃくちゃ湿気ってますもん。

──いやいやいや（笑）。お話を伺っていても楽曲に対する誠実さがすごく伝わってきました。今回、tofubeatsさんの「水星」のカバーを入れたのも、この曲が大好きだから？

そうなんです。この「LSC」は今まで私がしてきたことのまとめみたいなアルバムにしたくて。私の中でインディーズ時代にSoundCloudに「水星」のカバーをアップしたことはすごく大きかったんです。いろんな人がリミックスしてくれて、クラブで流れて名前を覚えてもらったり。この曲がきっかけでtofubeatsさんと知り合って、「ディスコの神様 feat. 藤井隆」のコーラスに参加させてもらったり。いろんなことにつながったので、キャリア的には外せない曲だなと思って収録させてもらいました。とにかく曲がいいんですよね！

CDの“ご褒美”はめちゃめちゃデカイ

──ラブリーサマーちゃんはネットを中心に活動してきて、そこならではの速度で知名度を獲得されてきた印象があるんですね。それに対して、今回のようにCDとして流通することはどのように受け止めてますか？

不思議な感覚だったんですけど、いくつか思うことはあって。SoundCloudに1曲ずつ投稿するのだとアマチュア感があるんですよね。やろうと思えば誰でもアップできるし。それに対してCDはいろんな人が関わってくださるのを見ると、プロになったなって気持ちがあります。それからネットだとみんな無料で聴けますけど、レジでCDを買ってくれてる人を見ると申し訳ない反面、すごくありがたいなと思いました。私の音楽にお金を払いたいと思ってくれる人がいることがうれしかったですし、それ以上のものを作らないと不誠実だなって。

──反響の速度についてはいかがでしょう？

ネットだと私が上げた瞬間、即座にダイレクトに反響が返ってくるんですよね。人数も見えるし、どんな人が聴いてるかもわかるのでけっこう満足していたんです。CDって作るのめっちゃ大変だし、ネットで上げてたときよりダイレクトに人の声が聴こえないし、しかもその日に聴いてもらえるわけじゃない。なので前回のアルバムのときは「えー、あんなにがんばったのにまだ人に届かない……モヤモヤするー」っていうのが正直ありました。ただ、ネットにアップして反応が返って来るのは、ちょっとだけがんばった感を出して、ちょっと“ご褒美”をもらえる、みたいな感じですけど、CDにすればそんなサクッと消費されるわけじゃないし、お店の方も聴いてくださるし、総合的に考えると得る“ご褒美”はめちゃめちゃデカイ。前回のアルバムではモヤモヤしつつも、ちゃんとでっかいご褒美を味わえたので、今回はそのご褒美を想像してモヤモヤせずにがんばれると思います（笑）。

──パッケージにはパッケージならではのよさがありますからね。

ホントにそうですね。