LOVEBITESがミニアルバム「GLORY, GLORY, TO THE WORLD / グローリー、グローリー、トゥ・ザ・ワールド」を完成させた。
コロナ禍の中、「世界に栄光あれ!」という思いを込めて制作された本作には、LOVEBITES史上かつてないほどポジティブなパワーにあふれた4曲を収録。さらに完全限定盤Aには押井守原作・脚本・総監督によるアニメ「ぶらどらぶ」のオープニング主題歌「Winds Of Transylvania」のミュージックビデオを収めたDVD、完全限定盤Bには同曲のオリジナル音源を収めたCDが付属する。
音楽ナタリーではリード曲「Glory To The World」の作詞を手がけたasami(Vo)と、作曲を担当したmidori(G)にインタビュー。メンバー間でもなかなか顔を合わせることができない状況下で、どのようにポジティブな楽曲を生み出していったのか。その制作過程や、初のアニメタイアップとなった「ぶらどらぶ」主題歌について話を聞いた。
取材・文 / 阿刀“DA”大志 撮影 / Kitetsu Takamiya(67531graphics)
あの押井さんですか!?
──現在配信中の押井守総監督によるシリーズアニメ「ぶらどらぶ」の主題歌として、LOVEBITESの新曲「Winds Of Transylvania」が採用されています(参照:LOVEBITESが押井守総監督の新アニメ「ぶらどらぶ」オープニング主題歌担当)。世界的に人気のある押井作品に関われるなんて、とんでもないことですね。
asami(Vo) そうですね。誰もが知っている方なので、お話をいただいたときは「え、あの押井さんですか!?」という感じでした。
──そもそもどうやって今回のオファーが届いたんですか?
asami 「ぶらどらぶ」の制作をされているいちごアニメーションの社長さんが、女の子をテーマにした今作のオープニングテーマとしてどういったものがいいか考えてらっしゃったときに、普通ではないものを取り入れたいと、我々が浮上したようです。私たちは“メタルといえば黒い衣装”というイメージから脱して華やかな白い衣装を着ているので、そのギャップがいいと声をかけてくださったそうです。
──LOVEBITESのビジュアル戦略がこんなところで功を奏すとは。
asami 黒の衣装だったらもしかしたら声がかかっていなかったかもしれない(笑)。楽曲自体も好みだとおっしゃってくださったんですけど、見た目のインパクトが強かったと言われましたね。
──「ぶらどらぶ」は強烈な作品ですが、あのインパクトに負けないオープニングテーマはなかなかないでしょうね。作品のインパクトに主題歌が埋もれていないどころか、力強く主張できているのはすごいと思いました。
asami うれしいです。オープニングテーマとして流れる89秒の間にどれだけLOVEBITESらしさを詰め込めるかが勝負だったので、アニメ主題歌としてお話はいただきましたけど、メタルを全面に出した楽曲にするというのがコンセプトでした。
──実際に配信された作品を観てどう感じましたか? 楽曲だけでなく、メンバー本人も映像に出てきますよね。
asami (midoriに向かって)ちょっと不思議な感覚だったよね? 私たちまで入れていただいてすみません、みたいな(笑)。でも今は少しずつ実感が湧いてきて、本当に光栄なことだと思っています。
midori(G) なんか不思議ですね。実感があるような、ないような。
asami オープニングは登場人物たちが演奏している映像なんですけど、あれはモーションキャプチャじゃないんですよ。実際に私たちが演奏した映像をもとに、メンバーの動きの特徴を丁寧に捉えながらアニメーターさんが作画しているんです。本当に手が込んでいるんですよ。
──とんでもないこだわりですね。
asami しかもキャラクターたちの衣装も私たちを意識したものになっているので、本当に熱が込められているし、ここまでやってくださってありがとうございますという感じでした。作品の一部になれたことをうれしく思っています。
──LOVEBITESにとって初のタイアップ曲ですが、アニメの制作側から楽曲に対する注文はなかったんですか?
asami スタッフの方々がメタル好きで、特にスラッシーなものが好みだという話は聞いていました。でもアニメのオープニングですし、いろいろミーティングを重ねた結果、メロディアスなものと“THEスラッシュ!”という感じの完全にメタルなスピードチューンを用意したら後者を選んでくださったという(笑)。私たちもそちらがいいなと思っていたので、お互いの意見が合致して決定しました。
──美しいですね!
asami 絶対に私たちの色を出したかったので、よかったです。
89秒に詰め込んだ「これがLOVEBITESだ!」
──ただ、先ほどasamiさんもおっしゃっていましたけど、89秒に楽曲を収めるのはこれまでと違う苦労があったと思います。
asami この曲は以前からLOVEBITESの作品に関わってくれているMaoくんと私の共作なんですけど、最初はフルで作る予定はなくて、まず89秒の楽曲を作ったんです。ぴったり89秒に楽曲を収めるだけでも大変なのに、イントロで存分にギターのよさを表現したり、ボーカルのレンジを広くメロディに入れ込んだり、「これがLOVEBITESだ!」というものにするのは本当に難しくてかなり試行錯誤しました。
──midoriさんはどんなことを意識しましたか?
midori この89秒で私が一番目立っているのは、ギターのアーミングが“キョワー!”と鳴っている冒頭のパートなんですけど、あそこはLR別々で弾いています。私はLOVEBITESの爆弾落とし担当で、これまでいくつも爆弾を落としてきたんですけど、今回も全力で落としにいきました(笑)。
──LOVEBITESの楽曲は長尺のものが多いですよね。89秒に収めることで改めて自分たちらしさについて考えたと思うんですが、いかがでしょうか?
asami やっぱり意識したのはギターソロですね。私はギターソロとツインのハーモニーがLOVEBITESの聴きどころだと思っているので、がんばって89秒に詰め込みましたけど、「フルも聴いてね!」という気持ちもあります(笑)。
──今回の楽曲提供のお話はいつ頃あったんですか?
asami 一昨年の年末か去年の年明けぐらいで、春には制作していました。
──では「Winds Of Transylvania」のあとにミニアルバム「GLORY, GLORY, TO THE WORLD」の制作に入ったんですね。
asami 前作の「ELECTRIC PENTAGRAM」という完成度の高い作品に負けずとも劣らない作品にしないといけないというプレッシャーを抱えて制作がスタートしたんですけど、コロナ禍でなかなか身動きが取れなかったので、楽曲のアレンジには時間がかかりましたね。
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asamiの家庭訪問