木下正行(locofrank) × HATANO(HAWAIIAN6)|20年間走り続けて見えたもの

20年経ってバンドを始めた頃の自分に戻れた

──20年間のターニングポイントとして、例えば「○○と競演したこと」とか「メンバーチェンジをしたこと」を挙げないところがお二人らしいですね。

HATANO 俺たちもさ、例えばこのインタビューがメンバーチェンジした1カ月後とかにあったら、メンバーチェンジがターニングポイントって答えたかもしれないけど、メンバーチェンジしてから何年か経った今は、極端な言い方だけど、どんだけメンバーが変わろうが、どんだけ時代が変わろうが、続けたいものがあるんだったら、たぶん1人になっても続けるんだろうなって思うんだよね。今となっては周りにメンバーチェンジを経験してないバンドのほうが少ないし。

──なるほど。

左から木下正行(locofrank)、HATANO(HAWAIIAN6)。

HATANO でももう1つのターニングポイントとしては、具体的にいつとか、何かきっかけがあったわけじゃないんだけど、すげえ強く腹をくくれたタイミングがあって、そこかな。それはさっき木下も言ってたけど、「バンドはいつまでも続かない」とわかったうえで、「だけどいつまでも続けたいんだ」って本気で思えた、ここ2、3年くらい。

──その2年の間にどういう気持ちの変化があったんでしょうか?

HATANO ありがたいことに今はほかの仕事をせずにバンドをやらせてもらってるんだけど、昔は働いてることの反動で好きなこと……バンドをやってたわけじゃない? だけど「好きなことを永遠にやっていいですよ、それがあなたの仕事です」って言われた瞬間に順位が逆転してバンドは義務でやってるのか、好きでやってるのかよくわからなくなってくる。「こんなふうにやってきたくなかったのに」と思ったことすらもあった。だけどここ何年かで急にスパンと振り切れたんだよね。なんでかはわかんないんだけど。おかげで精神が健康になったと言うか、バンドを始めた頃の自分に戻れた気がする。

──先ほど木下さんもここ5年くらいは楽しいとおっしゃっていましたね。

木下 そうですね。楽しいだけじゃ続けられないけど、逆に苦しいっていう理由だけじゃ辞められないんですよね。そんな簡単なことで終わらせるために、これまで辞めてもいいタイミングで歯を食いしばってきたんじゃないっていうことに改めて気付けた。結果的に心の健康っていうのはそういういろんなことを吹っ切れたから持てるんだと思います。

相も変わらず3人でやっていけたら

──では吹っ切れたというお二組の、今後の展望を教えてください。locofrankは今年が20周年イヤーですが。

木下 20周年だから何か、ということは今のところ考えてないですね。まずはアルバムを出して、そのツアーを回って、ツアーの中で感じたものをまた形にできればいいなと思います。先々を考えていくことも大切ですけど、俺たちは見えてないものを考えることができないので、そこは頭脳派のIKKI NOT DEADに任せて(笑)。

HATANO レーベルに頭脳派を求めるんだったらここを選んだのは失敗だよ(笑)。

木下 そうでしたか(笑)。俺たちはふわっとしていた足元を1回ちゃんと固めたい。そこから何か見えてくるだろうから、そうしたら来年とかにまた何かを始めたいなと。「Stories」ができてみて、自分たちに「よっしゃ! 20周年の集大成ができた!」という気持ちも特にないし、逆にまだまだやりたいことが残ってるので、それを今後も形にし続けていきたいですね。

──今後もマイペースに作品を作って、ツアーを回って、という感じですか?

木下 はい。相も変わらず3人でやっていけたらいいなと思います。

──HATANOさんはどうですか?

HATANO ありがたいことに、これだけ歳を重ねて、バンドをこれだけの長さやっても、まだ「初めまして」があるんだよね。その「初めまして」が1つ増えるたびに、夢が1つ増えるわけ。「次はこのバンドとツーマンしてみたい」とか「大きなことをみんなでやってみたい」とか。さっきも言ったけど、まだまだやりきれてないことが山ほどあるので、それを1つでも多く叶えて進んでいければと。ケツがどこに決まってるのかは知らないけど、自分たちが全速力で走れるのが今であるならばどこまでも走っていたい。自分は何を見れるんだろうって、今すごくわくわくしていて。いつまでもわくわくしながら走っていたいですね。

こういう先輩がいてくれてよかったなあ

木下 それにしてもこういう先輩がいてくれてよかったなあ。

HATANO 急に何を言ってんだ(笑)。でもお互いにいい歳こいたおっさんになってもバンド続けられてるからよかったよな。

木下 そうですね。本当に不思議なんですけど、今だに俺たちの先輩方って第一線にいるじゃないですか。HAWAIIAN6しかりBRAHMANしかり、SAやSLANGしかり。人間って歳取ったら弱っていくもんだと思ってたんですけど、強くなっていくんだなって(笑)。俺たちちゃんとがんばってきたはずなのに、どんだけやっても距離が縮まらない……むしろさらに遠くに行ったと思わされて。ロマンが止まらないですよね。

左から木下正行(locofrank)、HATANO(HAWAIIAN6)。

HATANO 俺もこの間、BRAHMANを観ながら同じこと思ってた。まあでもあれだよね、自分たちの好きな先輩が弱ったら弱ったで「何弱ってんだ」って……。

木下 言っちゃいますよね(笑)。

HATANO 「そんな姿見たくねえ」って怒るよな(笑)。

──お二組に対して「いつまでも追い付けない」と思っている後輩バンドもいるでしょうしね。

HATANO 思われてんのかな。

木下 いやー、聞いたことないっすね(笑)。

HATANO でもそれが先輩であろうが後輩であろうが、一緒にステージ立って、刺激って言い合える仲間がいるってことだけでありがたいよね。仲間の存在もそうだし、ライブもそうだし、練習とか打ち上げとか移動とか、1つひとつに感動したい。初めてツアーを回ったときに大阪城を見て感動したとか、あれくらいの気持ちでいろんなことに感動できる人生って素晴らしいと思うんだよね。そういう人生を歩みたいね。

locofrank「Stories」
2018年9月12日発売 / IKKI NOT DEAD
locofrank「Stories」

[CD] 2700円
IKKI-1020

Amazon.co.jp

収録曲
  1. THE LIGHT
  2. Hate to lose
  3. Trigger for sorrow
  4. ONE LIFE
  5. PASSED AWAY
  6. Like always
  7. TIMES
  8. Good night
  9. Till the 10 count ends
  10. I NEED TO BE IN LOVE
  11. Dirty walls
  12. Friends
  13. smiles bring smile
ライブ情報
locofrank "Stories" TOUR 2018-2019
  • 2018年10月18日(木) 大阪府 FANDANGO
  • 2018年10月21日(日) 東京都 下北沢SHELTER
  • 2018年10月23日(火) 千葉県 柏ALIVE
  • 2018年10月24日(水) 茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2018年10月27日(土) 北海道 CASINO DRIVE
  • 2018年10月28日(日) 北海道 KLUB COUNTER ACTION
  • 2018年11月3日(土・祝) 京都府 LIVE HOUSE GATTACA
  • 2018年11月4日(日) 岐阜県 yanagase ants
  • 2018年11月10日(土) 三重県 MUSIC SPACE 鈴鹿ANSWER
  • 2018年11月11日(日) 山梨県 KAZOO HALL
  • 2018年11月13日(火) 埼玉県 Livehouse KYARA
  • 2018年11月14日(水) 栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
  • 2018年11月16日(金) 石川県 vanvanV4
  • 2018年11月17日(土) 新潟県 CLUB RIVERST
  • 2018年11月25日(日) 福島県 clubSONICiwaki
  • 2018年11月27日(火) 東京都 八王子RIPS
  • 2018年11月28日(水) 神奈川県 横須賀かぼちゃ屋
  • 2018年11月30日(金) 愛知県 HUCK FINN
  • 2018年12月8日(土) 大分県 club SPOT
  • 2018年12月9日(日) 鹿児島県 SR HALL
  • 2018年12月15日(土) 愛媛県 WStudioRED
  • 2018年12月16日(日) 兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
  • 2018年12月18日(火) 和歌山県 OLDTIME
  • 2019年1月5日(土) 静岡県 Shizuoka UMBER
  • 2019年1月6日(日) 神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
  • 2019年1月8日(火) 群馬県 高崎clubFLEEZ
  • 2019年1月10日(木) 埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
  • 2019年1月12日(土) 岩手県 the five morioka
  • 2019年1月13日(日) 宮城県 仙台MACANA
  • 2019年1月19日(土) 香川県 高松TOONICE
  • 2019年1月20日(日) 岡山県 CRAZYMAMA 2nd Room
  • 2019年1月26日(土) 熊本県 Django
  • 2019年1月27日(日) 福岡県 Queblick
ECHOES 2018
  • 2018年10月14日(日) 東京都 新木場STUDIO COAST出演者 HAWAIIAN6 / bacho / BEYOND HATE / The Coastguards / dustbox / ENDZWECK / GARLICBOYS / GOOD4NOTHING / kamomekamome / KiM / THE NO EAR / PALM / SABANNAMAN / SLANG / spike shoes / STOMPIN' BIRD / AGGRO KNUCKLE / 九狼吽 / G-FREAK FACTORY / FIVE NO RISK / locofrank / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS / OVER ARM THROW / OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND / 雷矢 / REALITY CRISIS / SIX LOUNGE / しけもくロッカーズ / SO WHAT / 鐵槌 / waterweed
locofrank(ロコフランク)
locofrank
1998年に大阪で結成された、木下正行(Vo, B)、森勇介(G, Vo)、Tatsuya(Dr)によるスリーピースロックバンド。2006年には自主レーベル「773Four RECORD」を立ち上げ、作品リリースおよびマネージメントを現在もすべて自主で行っている。国内外を問わずライブを展開しており、エモーショナルかつ痛快な楽曲で多くのファンを獲得。近年では中国、台湾、韓国といったアジアの国と地域や、フランスなどヨーロッパ圏でもライブを行った。地元の大阪ではバンド主催の音楽フェス「FOUR SEASONS」を毎年開催しており、東日本大震災以降は東北地方でのライブ活動にも注力している。2015年12月に6枚目のフルアルバム「Returning」をリリース。2018年に9月にHAWAIIAN6やSABANNAMANが所属するIKKI NOT DEADよりフルアルバム「Stories」を発表する。
HAWAIIAN6(ハワイアンシックス)
HAWAIIAN6
1997年結成。メンバーはYUTA(Vo, G)、HATANO(Dr)、GURE(B, Cho)の3名。激しくもどこか切ない、胸に突き刺さるメロディと、アグレッシブなライブパフォーマンにて2000年代のパンクシーンを支える。2000年3月に初のミニアルバム「FANTASY」をリリース。2002年には横山健主宰の「PIZZA OF DEATH RECORDS」に移籍し、数々の音源を発表する。結成10周年を迎えた2007年、自主レーベル「IKKI NOT DEAD」を設立し、その後の音源はすべてここからリリースされている。2012年11月にミニアルバム「The Grails」をリリースし、長期ツアーを展開。2013年6月にlocofrank、dustboxとともに共作「THE ANTHEMS」をリリースしZeppツアーを成功させる。その後も作品リリースとレコ発ツアー、主催イベント「ECHOES」の実施など精力的に活動を続け、結成20周年を迎えた2017年に5thアルバム「Beyond The Reach」とDVD「20 years」を発表した。