音楽ナタリー Power Push - LiSA
総理、地蔵、ポップアイコンが教える 正しい夢の追いかけ方
私、天才かもしれない
──シングル初回限定盤と通常盤に収録されているもう1つのカップリング曲は自作詞のラブソング「ツヨガリ・ファンファーレ」……なんですけど、実はシングルの中でこの曲が一番凶悪ですよね?(笑)
あっ、やっぱりそう思います?(笑)
──作曲の田淵さんはすごく明るくてかわいらしいメロディを書いているのに、編曲の江口さんはベースをとんでもなくブリブリいわせるアレンジをしているし、その上に乗っているLiSAさんの詞は……。
いや、悲しいことはポップに歌ったほうがいいかな?と思って。
──それで田淵さんのかわいいメロディと江口さんの強烈なアレンジに乗せて夏の失恋、それもただメロウな別離ではない、むしろ明るく“ツヨガル”女の子の姿を歌った?
はい(笑)。夏の終わりってすごく切なくなるんですよ。夏の間はみんなとワーキャーしてたはずなのに、突然現実に引き戻されるじゃないですか。そういう夏の終わりにリリースするシングルだから、その切なさを歌いたかったんだけど、でもただの「さよなら」をしたくはなくて。そういう意味では「Brave~」や「AxxxiS」と同じ。未来に希望を託せる「さよなら」の曲を書けたらいいなと思ったんです。
──しかもこの詞ってすごくテクニカルですよね。冒頭の「手グシさえ指が通らない 傷んだ髪を切ったよ」からして、2人して海に遊びに行ったから髪が潮風で傷んだこと=夏であることと、髪を切ったこと=失恋したことのダブルミーニングになっている。1コーラス目も2コーラス目も、AメロとBメロの詞は、情景描写しかしていないように見せかけて、実は夏であること、失恋したこと、それでも“ツヨガ”っていることを描くように仕組まれている。
……私、天才かもしれない(笑)。
──あはははは(笑)。ホントにおみそれしました。
オケを聴いたとき、まず「ファンファーレ」っていう単語が頭に浮かんできて、その次には、なんか知らないけど夏の風景が浮かんできたんです。それで「夏にファンファーレを鳴らすときってなんだろう?」って考えたんですけど、ファンファーレを鳴らすときって気持ちを鼓舞するとき、がんばるときじゃないですか。
──はい。
それで、失恋したけど「終わりは始まりなんだ」ってがんばって“ツヨガ”る女の子のことを歌おうと思っただけなんです。「夏のファンファーレ」っていうテーマを見付けるまでには時間がかかったけど、書き始めてから完成までは早かったから、自分でも「よく書けたなあ」って思ってます(笑)。
──やっぱり天才かもしれない(笑)。
かもしれない(笑)。
確信と信頼があるから力を抜ける
──で、期間生産限定盤のカップリング曲は「シャッフル」です。
この曲は「ツヨガリ・ファンファーレ」と似ているようで、実は真逆っていう曲ですね。
──小南泰葉さんの書いたメロディといい、野間康介さんのアレンジといい、本当に無条件にかわいらしくて楽しいという意味では、田淵さんの「ツヨガリ・ファンファーレ」のメロディと似てるんだけど……。
この曲は古屋さんの詞もかわいくて楽しい(笑)。小南さんの曲がスゲーかわいかったから、野間さんに「お散歩しているような楽しいアレンジにしてください」ってお願いして、古屋さんにも「楽しい詞で」ってお願いして作ってもらったらこうなりました。
──本当に「楽しい」以外にメッセージらしいメッセージのない曲ができあがった(笑)。
そうそうそう(笑)。
──それこそ「ツヨガリ・ファンファーレ」がそうであるようにLiSAさんは言葉の意味にすごくこだわることもあるし、逆に「Empty MERMAiD」ように、本当は深遠な意味を込めているけど、声の鳴りの面白さを際立たせるためにあえて言葉の意味を消失させるような歌い方をすることもある(参照:LiSA「Empty MERMAiD」インタビュー)。
はい。
──いずれにせよ、言葉の伝え方、伝わり方には細心の注意を払っている印象があるんです。その人が「ただただ楽しい」という、いい意味で意味のないことを歌うのってすごくチャレンジャブルだな、という気がするんですけど。
そうかもしれませんね。これもやっぱり5年で得た確信のなせる業というか。いい意味で余裕が生まれてきたから「力を抜いて、ただただ音楽を楽しんでも大丈夫だな」「みんなも楽しんでくれるな」っていう信頼があるから歌えた歌ではありますね。
SとMの想像を裏切る横アリ2DAYS
──夏の終わりにはこのシングル「Brave Freak Out」がリリースされるように、秋の終わりには横浜アリーナでの2DAYS公演が待っています(参照:みんなの性癖がわかる日です! LiSA、11月に横アリ2DAYS)。
わっ! もう3カ月後だ!
──あれっ? 「もう3カ月後だし、そろそろ構想も固まってますよね?」って聞こうと思ったんですけど、今の口ぶりだと……。
大丈夫、大丈夫。もうちゃんと動き出してますよ。初日のサブタイトルが「the Sun」で、2日目が「the Moon」だから演出やセットリストを2パターンに分けるのは当然なんですけど……。
──あと「SunとMoon。つまりSとMだから、性癖に合ったほうに来てください」とも言っていました(笑)。
実際そうなると思いますよ(笑)。「Sun」、つまり太陽って誰かに光を与える存在で、「Moon」=月は誰かに何かを与えられて光る存在ですよね。
──まさに誰かを攻めるSと、それを受けるMの関係だ(笑)。
そうなんです。だから「the Sun」の日は「何かに喜びを与える」をテーマにした演出になるはずだし、「the Moon」は「その光を受けて光る」をテーマにした演出になるんだろうな、って思ってます。で、それぞれのテーマから自分なりのセットリストを想像しながら遊びに来てくれると、いつも以上にライブが楽しくなると思います。きっと「おっ! この曲が『the Sun』に来るか!」とか「あれっ!? あの曲は『the Moon』じゃなかったのかー」ってなるはずだから。
──「気持ちよく裏切ってあげるから、セットリストを想像してごらんなさい」と(笑)。
もしかしたら私が一番Sなのかもしれない(笑)。
- ニューシングル「Brave Freak Out」 / 2016年8月24日発売 / アニプレックス
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1728円 / SVWC-70181~2
- 期間生産限定盤 [CD+DVD] 1728円 / SVWC-70183~4
- 通常盤 [CD] 1296円 / SVWC-70185
初回限定盤・通常盤CD収録曲
- Brave Freak Out
- AxxxiS
- ツヨガリ・ファンファーレ
- Brave Freak Out -Instrumental-
期間生産限定盤CD収録曲
- Brave Freak Out
- AxxxiS
- シャッフル
- Brave Freak Out -TV ver.-
初回限定盤DVD収録内容
- 「Brave Freak Out」ミュージッククリップ
期間生産限定盤DVD収録内容
- TVアニメ「クオリディア・コード」ノンクレジットオープニング映像
LiSA「LiVE is Smile Always~NEVER ENDiNG GLORY~」
the Sun
2016年11月26日(土)神奈川県 横浜アリーナ
OPEN 16:00 / START 17:00
the Moon
2016年11月27日(日)神奈川県 横浜アリーナ
OPEN 15:00 / START 16:00
LiSA(リサ)
6月24日、岐阜県生まれのボーカリスト。2010年春、テレビアニメ「Angel Beats!」の劇中バンド「Girls Dead Monster」の2代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、同年5月にGirls Dead Monster名義のシングル「Thousand Enemies」をリリース。2011年4月にLiSA名義のミニアルバム「Letters to U」でソロデビュー後はアニメ「Fate/Zero」のオープニングテーマ「oath sign」、「ソードアート・オンライン」のオープニングテーマ「crossing field」などスマッシュヒットを連発。2013年にはシングル「best day, best way」がノンタイアップながらオリコン週間シングルランキング6位を記録し、また10月に発表したアルバム「LANDSPACE」がオリコン週間アルバムランキング2位をマークし、アニソンシーン内外で高い人気を誇る存在となる。2014年末には「COUNTDOWN JAPAN 14/15」に、2015年夏には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015」や「氣志團万博」にも出演するなどさらに活動の幅を広げている。デビュー5周年となる2016年4月にはミニアルバム「LUCKY Hi FiVE!」をリリース。さらに6月にはこの5年間で発表してきたミュージックビデオをまとめたDVD / Blu-ray「LiSA MUSiC ViDEO CLiPS 2011-2015」を発表した。そして8月には6年目の幕開けを飾るシングル「Brave Freak Out」を発表し、また11月にはキャリア最大キャパシティとなる神奈川・横浜アリーナで2DAYSライブ「LiVE is Smile Always~NEVER ENDiNG GLORY~」を開催する。