音楽ナタリー Power Push - LiSA
5年後の私へ 1人ぼっちのあなたへ
「I'm a Rock star」のその後
──6曲目が古屋真さんとの共作詞による「Get free」です。
「Get free」は私の中で、「best day, best way」(2013年4月発売のシングル。参照:LiSA「best day, best way」インタビュー)のカップリング曲「I'm a Rock star」の続編なんです。自分がなりたかったロックスターになれたかもしれない、と思ったその後。ロックスターになれたその人が、その後どんなふうに楽しめているかなあというのを書きたかったので、「I'm a Rock star」と同じく古屋さんと一緒に書きました。
──「I'm a Rock star」のその後が書きたい、と古屋さんに伝えたうえで。
そうです。あのときは必死で「ロックスターになったかもしれない」と歌っていたけど、その子がもっとワクワクしながら楽しんでいる、物語の続きをきちんと見せてあげたかった。あのときは「Rock star」という言葉を使って、意思表示がしたかったんですよね。今は周りの人がどう思うかはなんでもいいよと思っているけど、あのときは周りの人がどう思っているかわからないから、自分で「Rock star」という名前を付けたかったんですよ。
「1人じゃない」にあらがった果ての「1人じゃない」
──そして最後は「終わらない冒険」で締めくくると。
「終わらない冒険」は最後じゃないと伝わらないなと思ったんです。いろんなことを素直に伝えたかったアルバムだからこそ、このメッセージが最後にあることでより意味が伝わると思ったし、LiSAという人が歌いたいことの背景を伝えたうえでこの曲を届けたかった。「LUCKY Hi FiVE!」と並べてみて思うのは、「Letters to U」の頃の私は、信じたいという気持ちはあるけど、信じられない気持ちのほうが大きくて。今もその「信じられない」という気持ちがないわけではないんですけど、でも「信じたい」という希望がたくさん増えているんだなあって思いました。「LUCKY Hi FiVE!」は希望がいっぱい詰まっているなって。
──そう言い切れるのはなぜだと思いますか?
やっぱり、一緒に楽しんでくれる人がいることだと思います。でも私は「1人じゃない」って言葉が嫌いで(笑)。「1人じゃないよ」って言われても「お前なんかにわかるか!」って言いたくなるから。
──その言葉に対して懐疑的なLiSAさんが、実感を伴う言葉として「1人じゃないから希望がある」と言い切れるって、大きな変化ですよね。
もしかしたら今、1人かもしれないと思っている誰かには、私が言っていることに「いやいや、それは綺麗事だぜ」って思われるかもしれない。でも私は、そんな時期を経て今振り返ってみたときに「ああ、1人じゃなかったんだな」と思えたんですね。いろんな人が歌う「1人じゃないよ」を聴いては「そんなはずあるか!」と思っていた私が、今はこんなふうに思っていて……「すいませんでした! 今ようやくわかりました」って(笑)。
──かつてのLiSAさんのように1人でもがいている人、そしてかつての自分自身に届けようとしているんだなというのが、この7曲を通して伝わってきます。
「1人じゃないよ」という思いを、「1人じゃない」という言葉を使わずに、あの頃のひねくれた私や同じ思いを抱えている人にどうやって伝えるか。今1%しかない希望を2%に増やすにはどうしたらいいんだろうって考えて作りました。「このアルバムを見つけてラッキー」と思ってもらえるような、そんな作品になったらいいなと思います。
──「Letters to U」とその5年後の「LUCKY Hi FiVE!」を比べて最も異なる点は、実感を伴う言葉とその説得力に尽きると思います。
そうですね。「Letters to U」を当時の素直な気持ちで書いていてよかったなと思います。あのとき強がって「未来には希望しかない」と歌っていたら、今こんなふうには書けなかったですね、きっと。5年間でたくさん失敗もしたし、恥ずかしい思い出も後悔もいっぱいあるけど、自分で納得できないことは1つもやってないんです。全部手を抜かずにやってきたからこそ、ちゃんとそのときどきの自分を愛してあげられるんだなあって。
ホール&ライブハウスツアーで5周年を派手にお祝い
──CDリリース後には全16公演のツアー「LiVE is Smile Always~Hi! FiVE~」が控えております。今回はホールとライブハウスがない交ぜになったツアーですね。
ホールは私、今まで渋公(東京・渋谷公会堂)しかやったことないんですよ。
──あーそうか。あとはライブハウス、野音(東京・日比谷野外大音楽堂)、アリーナですね。
ずっとライブハウスでやってきて、去年と一昨年に武道館(東京・日本武道館。参照:LiSA、「みんながいるこの場所」武道館で“Rock star”宣言)をやって、去年は年末に幕張(千葉・幕張メッセ国際展示場。参照:LiSA、みんなとの今年を締めくくり“メガ”で明るい未来を“スピーク”したメッセ公演)でやって。ライブハウスも大きい会場も、どっちも楽しいなってわかったんですね。だからこの夏はどっちも欲張りに(笑)。
──5周年を祝したツアーでありながらも、サブタイトルに「Hi! FiVE」とあるからには、やはり新曲を軸にした内容になるのでしょうか。
はい。まずはとにかく、みんなと一緒に派手にお祝いできたらなって。「LUCKY Hi FiVE!」はそのために、みんなと遊べる曲を用意したアルバムだから。そうそう、今回はリリース日がツアーの初日なんですよ。とは言え、勝手に体が動くような音楽ばかりだから、楽しむ準備だけして来てもらえたら。
──新曲をじっくり聴き込む“予習”は必要ないと。
だってよく考えたら私も、ライブ観に行くバンドのCDを先に聴かないですもん。先にライブを観て「このバンド、カッコいいな」「いい曲だな」と思ってCDを買うことが多いんです。ツアー前半はそんな感じで楽しんでもらえると思うし、後半はじっくり聴き込んだなりの楽しみ方もできると思うし。
──約3カ月のツアーなので、新曲もやっているうちに変わっていく、いわゆる「曲が育っていく」感じもあるかもしれないですね。
そうですね。みんなと一緒に遊び方を見つけていけたらと思っています。
- ミニアルバム「LUCKY Hi FiVE!」/ 2016年4月20日発売 / アニプレックス
- 初回限定盤 [CD+Blu-ray+DVD] / 3780円 / SVWC-70141~3
- 通常盤 [CD] / 2700円 / SVWC-70144
- 完全生産限定アナログ盤/ 2016年5月11日発売 / [12inch LP] 3024円 / SVWJ-70141
CD収録曲
- ラブリーデイ
[作詞:LiSA、古屋真 / 作曲:野間康介(agehasprings) / 編曲:堀江晶太] - Hi FiVE!
[作詞:LiSA、田淵智也 / 作曲:田淵智也 / 編曲:akkin] - Psychedelic Drive
[作詞:LiSA / 作曲:横山直弘(from 感覚ピエロ) / 編曲:堀江晶太] - She
[作詞:LiSA / 作・編曲:PABLO a.k.a. WTF!?] - halo-halo
[作詞:LiSA / 作曲:小南泰葉 / 編曲:江口亮]
※NHKワールドTV「J-MELO」2016年4月~エンディングテーマ - Get free
[作詞:LiSA、古屋真 / 作曲:Ryota Kawamura、Rebecca Hollcraft / 編曲:akkin、RIO] - 終わらない冒険
[作詞:LiSA / 作曲:高橋浩一郎 / 編曲:akkin]
初回限定盤Blu-ray / DVD収録内容(共通)
- Hi FiVE! -MUSIC CLIP-
- Believe in myself, Believe in the dream
- LiVE is Smile Always~Hi! FiVE~
- 2016年4月20日(水)東京都 NHKホール
- 2016年4月21日(木)東京都 NHKホール
- 2016年5月1日(日)神奈川県 神奈川県民ホール
- 2016年5月7日(土)大阪府 オリックス劇場
- 2016年5月8日(日)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- 2016年6月4日(土)福岡県 福岡市民会館
- 2016年6月10日(金)東京都 Zepp Tokyo
- 2016年6月11日(土)東京都 Zepp Tokyo
- 2016年6月19日(日)石川県 金沢市文化ホール
- 2016年6月25日(土)宮城県 仙台市民会館
- 2016年7月9日(土)広島県 上野学園ホール
- 2016年7月10日(日)香川県 三木町文化交流プラザ
- 2016年7月16日(土)新潟県 新潟テルサ
- 2016年7月23日(土)愛知県 Zepp Nagoya
- 2016年7月24日(日)大阪府 Zepp Namba
- 2016年7月30日(土)北海道 Zepp Sapporo
LiSA(リサ)
6月24日、岐阜県生まれのボーカリスト。2010年春、テレビアニメ「Angel Beats!」の劇中バンド「Girls Dead Monster」の2代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、同年5月にGirls Dead Monster名義のシングル「Thousand Enemies」をリリース。2011年4月にLiSA名義のミニアルバム「Letters to U」でソロデビュー後はアニメ「Fate/Zero」のオープニングテーマ「oath sign」、「ソードアート・オンライン」のオープニングテーマ「crossing field」などスマッシュヒットを連発。2013年にはシングル「best day, best way」がノンタイアップながらオリコン週間シングルランキング6位を記録し、また10月に発表したアルバム「LANDSPACE」がオリコン週間アルバムランキング2位をマークし、アニソンシーン内外で高い人気を誇る存在となる。2014年末には「COUNTDOWN JAPAN 14/15」に、2015年夏には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015」や「氣志團万博」にも出演するなどさらに活動の幅を広げている。デビュー5周年となる2016年4月にはミニアルバム「LUCKY Hi FiVE!」をリリース。発売日同日より全16公演のライブツアー「LiVE is Smile Always~Hi! FiVE~」をスタートさせる。