音楽ナタリー PowerPush - LiSA
揺るぎない確信と“PiNK & BLACK”を手に ネクストステージにぶっ放す快作「Launcher」
「DOCTOR」以上にエロいですよね!
──そういう物語を描いたら図らずも「BRiGHT FLiGHT」と「L.Miranic」が並んだ?
そうですね。「“PiNK”であり、“BLACK”なアルバムを作りたいんです」「成長物語のようなアルバムを作りたいんです」って作家さんたちに話したら「LiSAちゃんにはこういう曲でしょ!」っていう、まさに私が思い描いていた物語に沿った詞、曲、アレンジたちが集まって。その新曲とシングル曲を物語の通りに並べたら、たまたま「BRiGHT FLiGHT」と「L.Miranic」が並んだだけなんです。でもホントにその2曲を境に色がキレイに分かれた上に、その前半戦ですら強い曲しか並んでないんですよね(笑)。3曲目の「rapid life シンドローム」や4曲目の「蜜」も相当爆発力のある曲ですし。
──そうなんですよ。例えば「蜜」は2ndアルバムの「DOCTOR」に連なる1曲。妖しげなピアノのオブリガードと威勢のいいギターのストロークが絡み合うオケをバックに歌うLiSAさんは……。
エロいですよね!
──はい(笑)。しかも「DOCTOR」ではかなり暗喩的な話法でセクシャルなことを歌っていたんだけど、今回はタイトルからして「蜜」。まんまエロいです(笑)。
今回作家さんたちに作っていただいた“BLACK”な新曲たちがホントに強力だったから、このくらい歌わないと“PiNK”なLiSAが、“BLACK”なLiSAに負けちゃう気がして(笑)。逆に言えばアルバム前半でこのくらい大胆なことを歌っても中盤以降、失速することはまずないと思ったし、あと、武道館を越えたあとなら、これを歌っても“PiNK”なLiSAでいられるとも思っていて。そういう自信があったから「蜜」に限らず、“PiNK”サイド、前半の曲がどれも以前よりも強くなったんでしょうね。
自分で書かなきゃ伝わらないわけじゃない
──その「蜜」の作詞はLiSAさんなんですけど、当然制作は早かった、と。
なんでわかるんですかっ!?
──以前「DOCTOR」の詞について聞いたら「私、すごく得意なんです、こういうの!」っておっしゃってましたから(笑)(参照:LiSA「LANDSPACE」インタビュー)。
そうだった(笑)。今回もまったく同じで、私が作詞した新曲の中でも一番早く書けたのが、この詞なんです。ホントに一気に書けました(笑)。
──だからこそ不思議なのが、アルバム用の新曲9曲中、自作詞曲が5曲しかないことなんです。「蜜」のような詞をスムーズに書ける作詞家でもあるのになんで全曲書かないんだろう?って。
うーん……。作曲家さんにいただいた曲をおいしく食べてもらうには誰が調理すればいいんだろう?って考えた結果というか。私の周りには田淵(智也 / UNISON SQUARE GARDEN)さんや古屋(真)さんみたいな、デビューの頃から私のことを見ていてくれて、しかも魅力的な言葉を書けるシェフの方がたくさんいるので「自分が書かなきゃ絶対に伝わらない」とは思ってないんです。
──“PiNK“サイドの話を続けるなら、田淵さんは「rapid life シンドローム」で「またその壁に 立ち向かうのもなんだか悪くない 胸が躍っているよ」と書いていて、古屋さんは「アコガレ望遠鏡」「コドクを愛する人生は 僕にはまだ早いや」(「アコガレ望遠鏡」)と書いている。確かにどちらもちゃんと“PiNK”なLiSAさん的なメッセージになっていますね。
だからお2人ともすごいシェフなんですよ(笑)。だって「アコガレ望遠鏡」の詞って、実在の子のエピソード、それも古屋さんの知らない子のエピソードをもとにして書いてもらったんですけど、それでもちゃんとその子のための歌であり、LiSAが歌うべき歌になっているわけですから。
「修学旅行」で出会った、あるファンの話
──どんな子が主人公だったんですか?
私、5年前から毎年ファンクラブの企画で「お泊まり修学旅行」っていう1泊2日のバスツアーをやってるんですけど、それに1年目から参加してくれている子ですね。その子は最初の年は1人部屋に1人ぼっちで泊まっていたらしいんですけど、2年目、3年目って年を重ねるごとにだんだん友達を作っていって。去年は4人部屋にその友達と一緒に泊まるようになった上に、ライブにもその子たちと一緒に遊びに来るようになったそうなんです。その話を知ったときから「とっても素敵なことだから、いつか歌にしたいな」と思っていて。で、それとはまた別の話というか、その子のことを知る前から、その後「アコガレ望遠鏡」になる曲のデモ自体は作曲家のebaさんにいただいていたんですけど……。
──「BRiGHT FLiGHT」の延長線上にある少しフォーキーで明るい。まさに“PiNK”サイドのLiSAさんの曲ですよね。
だからこの曲はこの曲で「いつか歌いたいな」とずっと思っていたんですけど、そうしたら、ちょうどアルバムを作っている最中、去年の「修学旅行」でその子のことを知って。だから「今ならあの曲を歌える!」っていうことで、古屋さんに「このメロディに乗せて、この子のことを書いてください」ってebaさんのデモをお渡したんです。
──それこそ「そこまでその子のことを知っているなら自分で書けばいいじゃん」って気もするんですけど……。
でも私が書いてしまうとLiSAの歌にならなかったと思うんです。その子のことを知りすぎているから、その子のための詞にしかならなかったんじゃないかなって。だけど私のことを常に客観的に見てくれている古屋さんなら、その子をモチーフにしながらも、ちゃんとみんなにも届くLiSAならではの詞を書いてもらえると思ったし、実際に書いていただけたんですよね。
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- ニューアルバム「Launcher」2015年3月4日発売 / アニプレックス
- 「Launcher」
- 初回限定盤 [CD+Blu-ray] 4860円 / SVWC-70056~7 / Amazon.co.jp
- 初回限定盤 [CD+DVD] 4104円 / SVWC-70058~9 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 3240円 / SVWC-70060 / Amazon.co.jp
CD収録曲
- Mr.Launcher
- Rising Hope
- rapid life シンドローム
- 蜜
- アコガレ望遠鏡
- BRiGHT FLiGHT
- L.Miranic
- FRAGILE VAMPIRE
- ANTIHERO
- Bad Sweet Trap
- エレクトリリカル
- 君にピエロ
- No More Time Machine
- シルシ
初回限定盤Blu-ray / DVD収録内容
- 「LiVE is Smile Always~LiSAMMERLAND~」
- OP映像
- crossing field
- コズミックジェットコースター
- ミライカゼ
- say my nameの片想い
- 覚醒屋
- 僕の言葉で
- traumerei
- DOCTOR
- シロイトイキ
- いつかの手紙
- アシアトコンパス
- EGOiSTiC SHOOTER
- ROCK-mode
- WiLD CANDY
- Rising Hope
- 逆光オーケストラ
- BRiGHT FLiGHT
- best day, best way
- No More Time Machine -MUSIC CLIP-
LiSA(リサ)
6月24日、岐阜県生まれのボーカリスト。学生時代よりバンド活動を始め、2008年に活動の拠点を東京に移す。2010年春、テレビアニメ「Angel Beats!」の劇中バンド「Girls Dead Monster」の2代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、同年5月にGirls Dead Monster名義のシングル「Thousand Enemies」をリリース。2011年4月にLiSA名義のミニアルバム「Letters to U」でソロデビューを果たす。以降、アニメ「Fate/Zero」のオープニングテーマ「oath sign」や、アニメ「ソードアート・オンライン」のオープニングテーマ「crossing field」などスマッシュヒットを連発。また2013年にはシングル「best day, best way」がオリコン週間シングルランキング6位を記録し、アニソンシーン内外で高い人気を誇る存在に。そして2014年1月3日には初の東京・日本武道館公演を開催し、同5月リリースのシングル「Rising Hope」(アニメ「魔法科高校の劣等生」オープニングテーマ)はオリコン週間シングルランキングで4位をマーク。2014年12月にアニメ「ソードアート・オンライン II」《マザーズ・ロザリオ》編のエンディングテーマ「シルシ」をシングルとしてリリースした。2015年1月には東京・日本武道館で2DAYSにわたるワンマンライブ「LiVE is Smile Always~PiNK&BLACK~」を開催し、3月にはその武道館公演で披露した「Mr.Launcher」を含む3rdアルバム「Launcher」をリリースした。