音楽ナタリー Power Push - LEGO BIG MORL
10周年迎えた4人が描く新たな景色
結成10周年を迎えたLEGO BIG MORLが、初のベストアルバム「Lovers, Birthday, Music」をリリースした。
インディーズ時代からの人気曲「ワープ」、メジャーデビュー曲「Ray」、タナカヒロキ(G)のケガによる活動休止を経て発表された復活シングル「Wait?」、さらに新曲「Blue Birds Story」「傷」を含む本作は、バンドの10年間の軌跡とこの先の展望がしっかりと刻み込まれた作品に仕上がっている。
音楽ナタリーでは、本作のリリースにあわせて特集を展開。メンバー4人のインタビューのほか、メンバーそれぞれに思い入れのある1曲を語ってもらう「『Lovers, Birthday, Music』思い出の1曲」、ディスコグラフィ、新旧のミュージックビデオやビジュアルの紹介ページを設け、LEGO BIG MORLの歴史を紐解く。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 後藤壮太郎
選曲基準は「この先もライブでやっていく曲」
──結成10周年を記念したベストアルバム「Lovers, Birthday, Music」がリリースされました。LEGOの活動の軌跡が感じられる作品ですが、収録曲はどうやって決めたんですか?
タナカヒロキ(G) ある程度曲数を決めて、それぞれで選曲してみたんですけど、それが大体一緒だったんですよ。選曲のときに「この先もライブでやっていく」ということを前提で選んだので、方向性もおのずと定まったのかなって。悩みつつも「これは外せないな」という曲を選んだら、こういうラインナップになったという感じですね。
ヤマモトシンタロウ(B) 「あの曲も入れたかったな」というのもチラホラあるんですけどね(笑)。最終的にはこれに落ち着いて。
アサカワヒロ(Dr) CDの収録時間ギリギリの曲数だしね。
──「Lovers, Birthday, Music」というタイトルについては?
タナカ 3月に終わった10周年のキックオフツアーのタイトルなんですよ。LEGO BIG MORLの頭文字である、L、B、Mにかけて“ライブにあったもの”から探したんです。「LOVERS」はお客さんで、「Birthday」は10周年で、その中で「Music」を鳴らすっていう。ツアーの手応えもとてもよかったし、そのままベストアルバムのタイトルにするのが自然だよねって。
──LEGOには誕生日があるんですよね?
タナカ そうなんですよ。
カナタタケヒロ(Vo, G) まあ、シンタロウ曰くですけどね(笑)。
ヤマモト 誕生日というか、厳密に言うと初ライブの日ですね。LEGO BIG MORLとしてこの4人で初めてライブをやったのが2006年3月28日で。
アサカワ 最初に聞いたときは「へー、そうなんや?」くらいでしたけどね(笑)。
ヤマモト その日をバンドの誕生日ということにしようっていうのは、ずいぶん前から決めていたんですよ。
カナタ まあ、結成日なんてあまり覚えてないですよね。メンバー募集とかで集まったバンドなら別だけど、俺らは同級生の延長で始まったし、そのあたりがうやむやになってるので。
ヤマモト 3月28日というのも、ライブのビデオテープのラベルに書いてあった日にちですからね(笑)。
みんながいいと感じるものは共通していた
──10年前の初ライブのことは覚えてますか?
ヤマモト 僕は覚えてますね。僕以外の3人は前からけっこう本格的にバンドをやっていたんですけど、僕はコピーバンドとか、友達の前でライブをやるくらいだったんです。ちゃんとオリジナル曲をやるのは初めてだったので、緊張のあまりずっと横を向いて弾いてました。とにかく一生懸命やったっていう感じですね。
カナタ シンタロウが加入してからライブまでの期間がめちゃくちゃ短かったんですよ。確か1週間か10日くらいしかなかったんだけど、その間にシンタロウは曲を覚えて、自分のフレーズを考えて、ライブをやらなくちゃいけなくて。切羽詰まっていたし、ヒリヒリした感じがよかったですね(笑)。
アサカワ ハハハハ(笑)。
ヤマモト 前のベーシストが弾いた曲が4曲くらいあったんですけど、自分が弾きたいフレーズとは違っていたというか。僕にとってはそのときがLEGO BIG MORLとして最初のライブだったし、自分がバンドに入ることの意義を見出したいという気持ちもあったんですよね。あのときが一番楽器を弾いたような気がします。
カナタ ずいぶん前だな(笑)。
ヤマモト しかも、まだ音源がなかったから、その前のライブのビデオを観ながら練習してたんですよ。
タナカ それは知らなかった(笑)。
──バンドの活動がスタートした時点で、音楽的な方向性も定まっていたんですか?
タナカ そうですね。でも、特に話し合ったりはしてないよね?
カナタ うん。
タナカ ただメンバー間の好みはある程度統一されていたんですよ。「このバンド、カッコいいよね」「俺もそう思う」というところから始まって、キンタ(カナタの愛称)が曲を持ってきたときも「やっぱりこういう感じ、いいよね」って盛り上がって。「こういう音楽をやろう」って話し合ったわけではないけど、みんながいいと感じるものは共通していたと思いますね。
──当時はどんなバンドにシンパシーを感じていたんですか?
タナカ なんだろう? LEGO BIG MORLの前身バンドのときは、ハイスタ(Hi-STANDARD)とかNew Found GloryとかSum 41とか……懐かしいな(笑)。
カナタ その後はThe Strokesとか。
タナカ そうそう。あとはレッチリも聴いてたな。
──ベスト盤を聴いていると、もちろん音楽的な変化はありつつ、初期の頃から変わらない軸のようなものを感じたんですよね。だから初期の頃から、ある程度のスタイルは決まっていたのかな、と。
カナタ なるほど。自分たちとしては、アルバムごとにガラッと変わった印象を与えようと思っていたんですよね、実は。常に「今回はこうきたか!」と思われたいというか。周りの先輩とかも、奇をてらう感じのバンドが多かったので。
アサカワ Dream Theaterみたいなプログレ系とか。
カナタ その中ではめちゃくちゃポップだったんですよ、俺ら。「難しいことをやっているって思われたくない」っていう気持ちもあったんですけど、かと言って一筋縄ではいかない感じもいいなと思っていて……。
タナカ 今よりもさらにヒネくれていたから(笑)、リスナーをいい意味で裏切ろうという意識が強かったんです。実際、作品ごとにガラッと変えてきたつもりだったんですが、ベスト盤を作って改めて今までの曲を聴き直してみると「飾りや洋服は変わってるけど、キンタが歌うメロディやコード感、それに乗せる言葉、サウンドのアプローチも含めて、確かに一貫しているものがあるな」と思って。以前は「ビックリさせたい」「いつも違うやり方でワクワクさせたい」という気持ちが強かったんだと思います。今はシンプルにやっても、ちゃんと俺らのグルーヴが出せるようになってきたというか。
ヤマモト 染みついている部分、ずっと持っているよさって、絶対にありますからね。1周してそこにたどり着いたところもあるかも。
──自分たちが好きなことをシンプルにやればいい、という自信が持てるようになった?
カナタ それはホントにあると思う。
タナカ 歌と4人の演奏だけだと、ごまかしが効かないじゃないですか。そのスタイルでお客さんをしっかり惹き付けるのは、すごく難しいし、面白いですよね。ライブでちゃんと響いたときは、はっきりわかるので。
カナタ ある時期からライブについても話すようになったし。
タナカ 以前は「4人の内なるパワーを出して、それを聴いてくれればいい」という感じだったので。お客さんを巻き込んで一体感を生み出す気持ちよさに気付いたのは、サウンドがシンプルになってきてからですね。
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- ベストアルバム「Lovers, Birthday, Music」 / 2016年6月22日発売 / A-Sketch
- 初回限定盤 [CD+DVD+フォトブック] 3888円 / AZZS-46
- 通常盤 [CD] 3024円 / AZCS-1058
CD収録曲
- ワープ
- ユリとカナリア
- Ray
- テキーラグッバイ
- 溢れる
- バランス
- 大きな木
- 正常な狂気
- Re:Union
- knock to me
- Wait?
- RAINBOW
- Spark in the end
- Strike a Bell
- Blue Birds Story
- 傷
- 乱反射
初回限定盤DVD収録内容
- dim
- Strike a Bell
- Ray
- UNIVERSE Sta.
- end-end
- RAINBOW
- Blue Birds Story
LEGO BIG MORL「Thanks Giving vol.7」
2016年7月1日(金)東京都 LIQUIDROOM
<出演者>
LEGO BIG MORL / BIGMAMA
LEGO BIG MORL(レゴビッグモール)
高校の同級生だったカナタタケヒロ(Vo, G)、タナカヒロキ(G)、ヤマモトシンタロウ(B)の3人と、アサカワヒロ(Dr)によって2006年に結成。地元大阪を拠点に全国各地でライブを行いながら、2008年6月に初のミニアルバム「Tuesday and Thursday」をリリースする。同年12月に発売された1stシングル「Ray」はドラマ&映画「赤い糸」の挿入歌に起用され話題を集める。2009年には1stフルアルバム「Quartette Parade」をリリースすると同時に初のワンマンツアーを開催した。2013年にタナカが事故で右手首を骨折したことを受けてバンドは一時活動休止状態に。タナカの復帰後の2014年1月にA-Sketchに移籍し、同年4月にシングル「RAINBOW」、10月にアルバム「NEW WORLD」をリリースした。2016年3月に結成10周年を迎え、6月に初のベストアルバム「Lovers, Birthday, Music」を発表。ツインギターならではの凝ったアレンジや、メロディアスなサウンドに定評がある。