ナタリー PowerPush - lecca

“どこを目指してるの?”の答えは「TOP JUNCTION」

20代のときは怖いものだらけだったけど、今は喜びと楽しみのほうが大きい

──2年前に出産を経験されたあとのインタビュー(参照:lecca「Step One」インタビュー)では、「出産にあまり影響されたくない」とおっしゃっていましたが、その気持ちに変化はありますか?

あまり変わっていないと思います。自分がそのときに言った「変わりたくない」っていうのは、音楽に対する関わり方とか向き合い方は変えたくないっていう意味だったので、そこは今でも変わってないと思う。ただ、自分でも変わったなと思うのは、20代のときよりとことん丸くなったなって。それは母になったからっていうんじゃなく。でも、本当怒らなくなりました。

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──それも加齢によるものなんですかね。

だと思います。20代のときって、自分と関係ない世の中のことにやたら怒ってたり、自分と関係のあるスタッフにも怒ったり(笑)、いろいろ怒ってたんです。その怒りとかトゲみたいなものが曲の中にもすごくいっぱいあった。だけど、そういうものがだいぶ減ってるのかなって。それを私はいいことだと捉えてるんですけど、いい意味で大人になるということがだんだんできてきているのかなという気がします。

──若い頃と現在で座右の銘とか人生のモットーに変化はありますか?

20代の頃って本当に苦しみのほうが大きかったので、そういうことを聞かれたときには、例えば「七転び八起き」とか「つらさがあっても成長があって」みたいなことを答えてたと思うんです。だけど、今は「日々精進」とか「切磋琢磨」とか、そういうものすごくシンプルで、あまり苦とかつらさが先んじてないものになりますね。なぜなら、楽しくてこの仕事をやってるので、そこは自分の責任というか。20代のときはまだ子供だったので、人のせいにするきらいがあったんですよ。自分で満足できないことがあると、これは誰かが何かをしてくれないからだっていうふうに考える節が、歌詞の中にもあったと思うんです。

──なるほど。

でも、さすがにこの歳になってくると人のせいにすることもなくなってきた。いい意味でも悪い意味でも、ほとんどのことが全部自分のせいだと思ってるんです。だからこそ、自分がちゃんと選択をして行動する、発信するっていうのが大事だと思うんです。それが悪い結果だとしても、悪いと思ってないんですよ。20代のときは怖いものだらけだったんですけど、何も今怖くないというか。今は喜びとか楽しみのほうが大きいから。

──何も怖くないというのは自信から来てるんですか? 自分の表現に自信が付いてきたっていう。

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それはあると思います。

──守られてるという部分はありますか? 家庭という支えになってるものができたとか、そういう意味での安定感、安心感があるからっていう。

それはないと思います。そういう守られてる安心感ではなく、おそらく勝手な自信(笑)。そういうのがあるのかなあと。

──デビューするときも自分の表現に自信はあったと思いますが、自信の質が変わってきたんですかね?

そうかもしれないですね。ヒップホップにはビーフとかバトルとかっていう文化があるので、人を攻撃したりおとしめて上がっていく、それが自信をもたらすっていう精神構造があると思うんです。それを若い精神構造と呼ぶならば、レゲエの精神構造は達観していて、人を攻撃することで自分は上がれない。一緒に上がっていくとか一緒に楽しむとか、そちらのほうに引っ張られてきてるのかなあっていうのは感じてます。もともとそういうのが好きでレゲエミュージックが好きになったんですけど、決して誰かを傷付けるために音楽をやってるわけではないし、自己顕示のためにやってるわけでもないし、音楽を含めた生活全般で一緒に笑いたくて、一緒に楽しみたくてやってるんだからっていうところが残った感じなんで。だから、ヒップホップバイブスが抜け切ったんじゃないですかね(笑)。でも、本当、加齢によるところが大きいんだと思います。

分岐点はいっぱいあるんだと確認できるライブに

──最後に、来年3月から始まる全国ツアーはどんなものにしたいと思っていますか?

前回は遊園地みたいなイメージでわいわい楽しくやったんですけど、今回はガラッと雰囲気を変えて「素」というか。まだ具体的に決まってるわけじゃないですけど、例えばステージ上には何もないとか、そういうところで、来てくれた方が自分のいろんな分岐点を思い出して、感じてもらって、今日明日明後日もそんな分岐点はいっぱいあるんだと確認してもらえるような、そんなライブにできたらなと思ってます。

──お客さんには頭を“BLANK”状態にして来てもらいたい、みたいな感じ?

というより、最終的にみんなを“BLANK”状態にしようかな、みたいな。イメージで言うと、来た人に真っ白なスケッチブックを持ち帰ってもらう感じ。ここにどんな計画を書くのかは任せるよってお渡しする感じでやれればいいなと思ってます。

DJ JIN(RHYMESTER)

DJ JIN(RHYMESTER)からleccaへのコメント

Q. 楽曲「Sky is the Limit」について解説をお願いします。また、leccaさんとコラボレーションしてみていかがでしたか?

自分としてはアレンジ&スクラッチ担当ということで参加しました。ウチの子供も出入りする自宅の狭い作業部屋でleccaと共に作業(笑)。フューチャー・サウンズ的な要素を自分が注入して、leccaサイドのアレンジャーさんに仕上げてもらうという流れ。leccaは、素敵で素晴らしいアーティストなのはもちろん、実際やりとりしてみると体育会のストロング・スタイルな姿勢で背筋が伸びる思いでした。

Q. 同曲のビデオクリップに出演した感想をお願いします。

ハイファッションに身を包んでカッコつけさせていただきました(笑)。スクラッチ・パートの部分は「エア」で、という監督からの指令で、ブルース・リーが吸盤鉄板木人椿で鍛えるような動きを取り入れました。

Q. 8thアルバム「TOP JUNCTION」を完成させたleccaさんへのメッセージをお願いします。

おめでとう!今度はライヴの現場でご一緒できるの楽しみにしてます。「Sky is the Limit」よろしく、これからもお互い飛躍していきましょう。

ニューアルバム「TOP JUNCTION」/ 2013年12月11日発売 / cutting edge
CD+DVD / 3360円 / CTCR-14813/B
CD / 2940円 / CTCR-14814
CD収録曲
  1. RUNWAY
  2. Sky is the Limit feat. RHYMESTER
  3. BLANK
  4. ヤマトナデシコ
  5. あいあん・はあと
  6. to be continued
  7. 恋初め
  8. MOVE
  9. SOLA
  10. Back to U feat.TEE
  11. 100年の明日
  12. 霧が晴れるまで
  13. JUNCTION
CD+DVD盤DVD収録内容
  • 「Sky is the Limit feat. RHYMESTER」PV
  • 「SOLA」PV
  • 楽曲解説
  • OFF SHOT
lecca LIVE TOUR 2014 "TOP JUNCTION"
  • 2014年3月2日(日)宮城県 Rensa
  • 2014年3月14日(金)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2014年3月16日(日)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2014年3月20日(木)大阪府 Zepp Namba
  • 2014年3月22日(土)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
  • 2014年3月26日(水)東京都 Zepp Tokyo
lecca(れっか)

2000年にシンガーとして活動開始。2006年4月にミニアルバム「Dreamer」でメジャーデビュー。以降、ライブとリリースを重ね、2009年に発売された初のシングル「For You」は、USENの年間リクエストランキング1位を獲得。同曲が収録されたアルバム「BIG POPPER」はオリコン週間ランキングに4週TOP10入りを果たした。さらに2010年、CDリリースに先行して配信された「TSUBOMI feat. 九州男」が100万ダウンロードを突破。5枚目のフルアルバム「パワーバタフライ」は自身最高位となるオリコンランキング2位を記録した。また、2011年6月に第1子を出産。2012年5月には自身初の日本武道館公演も成功させる。2013年12月、通算8枚目となるアルバム「TOP JUNCTION」をリリースした。2014年にはこのアルバムを引っさげた全国ツアーの開催が決定している。