ナタリー PowerPush - lecca
“どこを目指してるの?”の答えは「TOP JUNCTION」
私がRHYMESTERに言ってもらいたかったことをそのままテーマに
──そのリード曲の「Sky is the Limit feat. RHYMESTER」についても伺わせてください。そもそもRHYMESTERを起用しようと思った動機はなんだったんですか?
もちろんRHYMESTERの存在はずっと存じ上げていて、誰もが「カッコいい人」と認める人たちだと思うんですけど、ここ2年くらい、ツアーと映像制作のスタッフがほぼ一緒なんですね。そうするといろんな話を聞くんですよ。話を聞けば聞くほど、3人とも想像以上に熱い人たちだなと思って。身近なところから裏話を聞くにつれ、興味と関心と憧れと尊敬がグッと増えて、一緒にやってほしいって思ったんですよね。
──さらに言えば、早稲田大学の先輩後輩という間柄でもありますよね。
そうです。だけど、私が学校に行ってたときにはスター過ぎて。そのとき彼らは卒業して第一線で活動していました。
──とはいえ、付き合いは古いんですか?
いいえ。付き合いはまったくなかったんです。お会いしたのは今年が初めて。
──えー、意外! ライブイベントとかで一緒になったこともない?
一緒になっても、日にちが違うとかでお会いしたことはなくて。なので、この曲を作り始めて、Dさんから電話が来たときに「お前、早稲田なの?」って言われて「あ、そうなんです」って(笑)。
──しかも、同じ学部っていう。
そう、それはDさんもびっくりしてました。あんまり女の子がいないから珍しいねって。
──この曲の歌詞のテーマはどんなふうに決めたんですか?
やっぱりRHYMESTERのカッコよさって説得力だと思うんですよ。彼らが入ってくれることによって、私のつたない独りよがりの歌詞も100倍くらいになるだろうなと思ったので、ここは変化球じゃなくて、真面目にストイックにカッコいい内容を……ダンスホールミュージックによくあるような正義感の強い感じでいきたいなと思ったんですね。だから私がRHYMESTERに言ってもらいたかったことをあえてそのままテーマにしたんです。
──「Sky is the Limit」は、“制限はない”とか“可能性は無限大だ”っていう成句ですよね。
そう。最初に「Sky is the Limit」っていうテーマをお伝えしたときに、宇多さんが「本当そうだよね」って。自分のラジオ番組のリスナーからの声を聞いていても、今ってパソコンがあって便利だからこそ、みんな最初から自分の人生のレベルとかがわかってる気になっちゃってるし、それで挑戦するのをやめちゃったり、「どうせこれくらいでしょ?」って思っちゃってると。けど、それは本当もったいないよねって言ってくださって。だからあまり話してないのにシュッとテーマを汲み取ってくださった感じがありました。あと、RHYMESTERからすると今回のテーマって自分たちではやらないテーマだそうなんですよ。
──彼らならもうちょっとヒネるでしょうしね。
そう。ここまで直球なやり方はジャンル的にも年齢的にもしないって言われて(笑)。だけど、君と一緒なら、むしろこういうテーマでこういうやり方でもいいかなって思えるって言ってくださって。
──制作中、2人から言われた言葉で印象に残ってるものはありますか?
Dさんが歌詞の最後で「lecca」と呼んでくださってるのでうれしくなって、1回、歌詞を書き直したんです。で、自分のバースにお2人の名前を入れて変えていったら怒られて。「お前はやるな」と。
──なぜですか?
この曲をライブで歌ってる場面を想像すると、俺たちは君のほうを向いてるけど、君は真ん中で正面だけ見てなさいって言われて。俺らのほうを向いちゃダメって。で、「ハイ」って、また元に戻したんです。
バラードを誰か男の人と=TEE
──もうひとつゲストを招いた曲「Back to U feat. TEE」がありますが、TEEくんはどんな思いから誘ったんですか?
今回、バラードを誰か男の人とやりたいなと思ったんですね。で、私としてはレゲエの持つゆるい空気を入れてくれるようなシンガーの人がいないかな?と思って周りを見渡したときに、TEEくんの声はすごく好きだし、お願いしてみようって。
──なるほど。
で、TEEくんに話をしたら「今、レゲエな気持ちじゃないんですよねー」ってポロンと言われまして(笑)。今はJ-POPとか歌謡曲の持つ力、そういう音楽のコードの気持ちよさとかに虜になってるって言っていたので、そのイメージを聞きながらトラックを作っていったんです。
──歌詞のテーマもお2人で相談されて決めたんですか?
はい。2人で昔話も含めていろんな話をして。そしたら2人とも1回カナダのトロントに住んでるんですよね。しかも、同じ時期に住んでた。彼は、日本でやってたボクシングをケガして夢潰えたときに行ったと。そういう話をしているうちに、どこかに夢を持って挑戦しに旅立つ男性とそれを支える女性……そこに付いていきたいんだけど自分もここでやることがあるし、離れられないしっていう女性の物語にしようかと言って。2人は別れるわけじゃないんですけど、その旅立ちの日のお互いの気持ちを歌ってみたんです。
加齢によって身に付いた強さ
──「ヤマトナデシコ」と「あいあん・はあと」の2曲には、母親になったleccaさんの心境が滲み出てるのかなと思ったんですが、どうですか?
「ヤマトナデシコ」は本当そうだと思いますね。母もそうだし、世の中の嫁さんたち大変だろうなと思いまして(笑)。これは決して男性をディスってる曲ではなくて、むしろ女性をビゴップ(Big up)してるんです。やっぱりどうしても、女性のほうががんばらなきゃいけないと思うんですよ、日本社会って。なぜなら今は共働き時代だし、子育て世代でも女性は働いてるし。だけれども、家事はたいてい女性がするわけだし。そんな状況を考えると、やっぱり女性はすごいなと思って、ここらで女性賛歌を歌っておこうと。「がんばれー!」「気合いを入れ直せー」ってお互いに言い合う、みたいな曲ですね(笑)。
──「あいあん・はあと」はどうですか? 母になって身に付いた強さがこの曲には含まれているのかなと思ったんですが。
これはあんまり母親になったことを意識してなくて。ただ単に加齢による強さですね(笑)。10代の頃はそれはそれは繊細で、つらいことがあると部屋に閉じこもって日記とか書いてたタイプなんですけど(笑)、本当にちょっとやそっとのつらさはまったくつらいと思わない人間になってきたので、けっこう人って図太くなるもんだなっていうのを今なら歌えるなと。そういう繊細な世代が私の曲を聴いてくれるんであれば、本当にそのうち図太くなるから大丈夫だよって(笑)。そういうメッセージの歌です。
- ニューアルバム「TOP JUNCTION」/ 2013年12月11日発売 / cutting edge
- CD+DVD / 3360円 / CTCR-14813/B
- CD / 2940円 / CTCR-14814
CD収録曲
- RUNWAY
- Sky is the Limit feat. RHYMESTER
- BLANK
- ヤマトナデシコ
- あいあん・はあと
- to be continued
- 恋初め
- MOVE
- SOLA
- Back to U feat.TEE
- 100年の明日
- 霧が晴れるまで
- JUNCTION
CD+DVD盤DVD収録内容
- 「Sky is the Limit feat. RHYMESTER」PV
- 「SOLA」PV
- 楽曲解説
- OFF SHOT
lecca LIVE TOUR 2014 "TOP JUNCTION"
- 2014年3月2日(日)宮城県 Rensa
- 2014年3月14日(金)愛知県 Zepp Nagoya
- 2014年3月16日(日)福岡県 Zepp Fukuoka
- 2014年3月20日(木)大阪府 Zepp Namba
- 2014年3月22日(土)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
- 2014年3月26日(水)東京都 Zepp Tokyo
lecca(れっか)
2000年にシンガーとして活動開始。2006年4月にミニアルバム「Dreamer」でメジャーデビュー。以降、ライブとリリースを重ね、2009年に発売された初のシングル「For You」は、USENの年間リクエストランキング1位を獲得。同曲が収録されたアルバム「BIG POPPER」はオリコン週間ランキングに4週TOP10入りを果たした。さらに2010年、CDリリースに先行して配信された「TSUBOMI feat. 九州男」が100万ダウンロードを突破。5枚目のフルアルバム「パワーバタフライ」は自身最高位となるオリコンランキング2位を記録した。また、2011年6月に第1子を出産。2012年5月には自身初の日本武道館公演も成功させる。2013年12月、通算8枚目となるアルバム「TOP JUNCTION」をリリースした。2014年にはこのアルバムを引っさげた全国ツアーの開催が決定している。