松永天馬と相性バッチングー
──アルバムリード曲の「恋ゲバ」はアーバンギャルドの松永天馬さんの作詞です。松永さんも新しい学校のリーダーズの音楽と同様に歌謡曲が持つ“情念”の部分を継承してロック的に表現している人だと思うんですけど、シンパシーみたいなものは感じますか?
SUZUKA アーバンギャルドパイセンのミュージックビデオに出させていただいたり、いろいろつながりがあって。社会に対するレジスタンスみたいな、そういうテンションが合うんですよ。
MIZYU ビビビッと。
SUZUKA そう、松永さんとビビビッと合う感じがそのまま表現できました。相性がバッチングーですね。
KANON 初めてこの歌詞を見たときは、現場が「ヤバくない?」って雰囲気になったんですよ。
MIZYU 「ゲバ」っていう単語も最初は知らなかったです。
──新しい学校のリーダーズのパブリックイメージにぴったり合う感じがします。皆さんからは松永さんに何かオーダーを出したりしたんですか?
RIN 女生徒が先生に恋する気持ちを書いていただきたいってお願いしました。
MIZYU まさかこんなふうになって返ってくるとは……!
SUZUKA 歌詞をいただいたあとに新しい学校のリーダーズのイベントでアーバンギャルドとの対バンがあって。そのときにお礼を言ったら「愛してやってください」って言われました。
──MVもだいぶ“禁断”な感じですね。
RIN だいぶ禁断。
MIZYU いろんなところに4人が映り込んでるっていう(笑)。
KANON なぜかSUZUKAがエレベーターの中で先生の肩に手をかけているんですよ。
SUZUKA 私はあくまでも妖精だよ? 気付いてないから(劇中の)2人は。
KANON あれは妖精なんだ(笑)。
──5曲目の「雨夜の接吻」から「ストリッパーに栄光を」「狼の詩」と、阿久悠さんの未発表詞を採用した曲が続く“阿久悠ゾーン”に入ります。阿久悠さんの歌詞を背負うのは大きなプレッシャーだと思うんですが、どうですか?
SUZUKA すごく偉大な方だということはわかるんですけど、その偉大さを同じ時代に生きてないからわからない、架空の人物みたいな感覚があるんですね。だから純粋に「素敵な歌詞だな、ほんとにすごい人なんだな」っていうテンションですね。
KANON 「ストリッパーに栄光を」の歌詞を初めて見たときは意味がよくわからなくて。現代の歌詞だったら出てこないような表現が本当にすごいなと思いました。
RIN 「狼の詩」と「雨夜の接吻」のインタビュー(参照:新しい学校のリーダーズ「狼の詩」インタビュー)のときにも話したんですけど、阿久悠さんの歌詞って小説を読んでるような感じがあるんです。歌詞の一言一句すべてが深いですね。
MIZYU 深いけど純粋というか、綺麗なんですよね。シンプルなのにめっちゃ深い。「ストリッパーに栄光を」という曲をセーラー服の4人が歌うっていうのもいい。
予想を裏切らない崎山さん
──ディープな阿久悠ゾーンと、次に来る「チラチラチラミー ~試験当日~」のニューウェイブ的な軽さの落差がすごいですね。
MIZYU これは演奏が全部打ち込みですね。
RIN 歌詞の内容は1曲目の「試験前夜」とつながっていて、次の日の試験当日を歌った曲です。
──あれだけ勉強したのに何もできていないという(笑)。
KANON で、ほかの人の答案をチラ見しちゃうっていう(笑)。
MIZYU ダークというかドープというか、そういう曲たちの中にこういうポップな作品が入っていると、新しい学校のリーダーズのポップのポテンシャルみたいなのを感じますね。サビで合いの手を入れるレコーディングが楽しかったので、お客さんにもライブで一緒にやってほしいです!
──「透明ボーイ」の作詞はRINさんが担当しています。どうして作詞をすることになったんですか?
RIN もともと言葉が好きで、思い付いて書いたものを優秀な大人様に提出したところ、「やってみようか」と言ってくださって、それが形になった感じですね。
MIZYU けっこう前からRINと「何も言わずに転校してしまった親友の話を書きたいね」って話をしていたんです。
RIN メロディをもらう前からそれっぽい雰囲気の文章が自分の中にあって。それをどんどん崩してメロディにはめて……みたいにしてできた曲で、エモいです(笑)。
MIZYU 切ないけどちょっと恨みも入ってて。
SUZUKA 一応全員歌詞を書いてみたんですよ。私は転校のテーマを無視して書いたんですけど、できあがったものを見て思いました。RINのが一番いいって。
──「楽園にて、わたし地獄」は崎山蒼志さんが初めてほかのアーティストに歌詞を提供した曲ですね。新しい学校のリーダーズにとっては初めての同世代とのコラボになります。
KANON 実はこの曲は乗り物酔いがテーマの歌なんですけど、言葉のチョイスがすごすぎてテーマが感じ取れない(笑)。
MIZYU こんなふうに表現されるんだ!と思って。すごく面白い。
KANON 「蠢く闇夜」とかね。
MIZYU “うごめく”なんて言葉、出てこないですよ。同世代とは思えない。初めて挨拶したときはちゃんとお話できなくて。でも笑顔でおじぎしてくれました。
SUZUKA 3秒の間に6回ぐらいおじぎしてくれたな(笑)。
RIN 予想を裏切らない崎山さんでした(笑)。
MIZYU 一緒にライブやりたいですね。お互い学生服のうちに。
次のページ »
土か砂なら土が好き