接吻って言葉が恥ずかしくて
──カップリング「雨夜の接吻」のボーカルはMIZYUさんですね。かなり大人っぽい詞世界をどう表現しようと思いましたか?
MIZYU 私はまだ子供なので、こんな大人な歌詞を表現するのはすごく難しかったですね。背伸びして大人っぽさを出そうともしてみたんですけど、接吻って言葉がやっぱり恥ずかしくって(笑)。
SUZUKA いや、でも大人っぽい曲だからこそ、MIZYUのわかりやすい少女的な歌声が似合うところもあると思うんですよね。グッとくるよさがあると思う。
KANON うん、そうだね。
──恋人に対して抱く純粋な感情がリアルに伝わってくる歌声になってますからね。
MIZYU 私はこの主人公の女の子に対して、白いワンピースを着たピュアなイメージを持ったんですよ。だからそういう純粋さみたいな部分は大事にしました。あと、付き合っているんだけど相手にちょっとすがっているような距離感なのかなって感じたところもあったので、切なさを意識して歌ったところもありました。いつもより息をちょっと多めにしたりとかもして。そこもある意味、この曲でのいい抜け感になってるんじゃないかなって思いますね。
KANON いい曲ですよねえ。ちなみに私はこの曲で接吻がキスっていうことを知りました。MIZYUは接吻を切腹だと思ってたんでしょ(笑)。
MIZYU そうなんですよ! “吻”の読みが“ぷん”だか“ぷく”だかわからなくって。
RIN 「雨夜の切腹」だとまったく雰囲気の違う曲になりそう。だいぶ恐怖的な(笑)。今回は2曲ともすごく文学的な歌詞でもあったので、国語の勉強してるみたいな気持ちにもなりましたね。
SUZUKA ホントにそうですよ! 私は最初、「蛇の目」を「へびのめ」だと思ってましたからね。「足袋」も「あしぶくろ」って読んでたし。寝袋の足パターンなのかな、みたいな。メロディにうまく乗らないからおかしいなとは思いつつ。
──あははは(笑)。この曲ではH ZETT Mさんから何かアドバイスは?
SUZUKA 最初から「いいと思います」みたいな感じやったよね?
MIZYU うん。一応何テイクか録ったんですけど、「いい感じだと思います」って言ってくれてました。声がすごく小さい方なので、がんばって聞き取ったところ、そう言ってくださってたように思います(笑)。
KANON 私とRINはレコーディングには立ち会ってなかったんですけど、できあがったものが送られてきたときにちょうど2人でいたんですよ。
RIN そうそう。で、一緒に聴いた瞬間、「めっちゃいい!」ってなって。すぐSUZUKAとMIZYUに連絡しましたね。
KANON 「泣きそうだよ!」って言ってね(笑)。
MIZYU それを聞いて、「私たちも泣きそう!」みたいな(笑)。
どんどん裏切っていく活動をしていければ
──「雨夜の接吻」のダンスはどんな感じになりそうですか?
MIZYU ちょうど今、制作中なんですけど。
SUZUKA 最高なものになりそうです! 全体的にはシンプルだけど、ちょっと胸が苦しくなるような、ちょっともどかしい感じな振りができちゃってるよねー!
KANON できちゃってるねー(笑)。
MIZYU シンプルな振りだと自分たちがもともと持ってる個性がより重要になってきますからね。貫録を見せられるようにがんばって、皆さんをゾワゾワさせたいです。
SUZUKA 曲の大人っぽい世界観と相まって、男性陣をビンビンさせたいですね。もうビンビン物語で(笑)。
──今夏の新しい学校のリーダーズは、さまざまな音楽フェスへの出演があり、話題性満点の本作のリリースもありで、さらに大きく成長を遂げたのではないでしょうか。
SUZUKA そうですね。いろんなフェスに出させていただく夏は今年が初めてだったので、私たちにとってステップ、ホップ、ステップになったんじゃないかなと。
RIN ホップ、ステップ、ジャンプじゃないの?(笑)
SUZUKA 今後はさらに大きくホップしていきたいですね(笑)。新しい学校のリーダーズのよさをわかりやすく詰め込んだ「マエナラワナイ」というアルバムが出せたからこそ、今回のシングルもそうですけど、ここからはさらにリスナーをどんどん裏切っていく活動をしていければなと。
MIZYU そうだね。面白いことをとにかくいっぱいやっていきたい!
RIN 自分たちがワクワクすることをしていたいので。
KANON 4人でわちゃわちゃしてると、いろいろな面白いアイデアが降ってくるんですよ。だからそれをこれからはどんどん実現していきたいですね。
Q1. 「狼の詩」の楽曲化は、もともと阿久悠さんの事務所からH ZETTRIOさんにオファーが来たとお聞きしました。新しい学校のリーダーズと共にこの曲を完成させようと思った理由は?
例えばマラソンで言うところの「ゴールさせようと思った理由」というのは選手というより監督やコーチ側の考えで、自分としてはプロデューサーという名目ですが、しかし作曲するという行為は自分にとって重要で直接的なそれは選手でありプレイヤーであるので、理由は考えず曲の発展を感じながら走り抜ける、といったような感じがいいかなと思っております。
Q2. 「狼の詩」は昭和の香りがするジャズナンバーです。楽曲のこだわりを教えてください。
阿久悠さんの詞が最初にあるという状況だったので、言葉の導かれるままに、音のフレーズを探し追い求めました。ご本人に聴いていただきたかったというのが残念なところですが、レコーディングスタジオにいらっしゃった阿久悠さんの息子さんが「狼の詩」と「雨夜の接吻」の2曲を聴いたあと、「親父が聴いてたらニヤッとしていたと思います」と仰っていてそれがうれしかったです。ということでまず肝は詞と曲、この2つの強度を意識しました。そしてそれをトリオで演奏、そして新しい学校のリーダーズが歌い踊り、さらなる化学変化、という感じです。
Q3. 「狼の詩」ではSUZUKAさんが情感豊かな歌声を披露しています。レコーディングで印象的だったこと、できあがった楽曲を聴いた感想を教えてください。
ストレートさが出てて曲にはまっていると思います。あと狼声「ウォウ、ウォウ」をリクエストしたらすんなり狼声が出たので本当は狼なんじゃないかと。
Q4. カップリング曲「雨夜の接吻」も阿久悠さんの詞にH ZETT Mさんが曲を付けたナンバーです。どのような部分にこだわって作曲しましたか?
言葉の中にもメロデイやリズムというものがあり、その後の展開を示唆している熱みたいなものがあり、といったそれらを感じながら旋律をなぞっていった、という感じです。こちらも詞と曲の強度を高めることを目指しその作業は(H ZETTRIOのツアー時の宿泊先で作ったのですが)楽しかったです。
05. 「雨夜の接吻」はMIZYUさんが透明感のあるボイスで淡々と歌う楽曲です。彼女の歌声をレコーディングで聴いた際、どのようなことを感じましたか?
これまた透明感が曲にはまっていると思います。世界観が絶妙ですね。
Q6. H ZETT Mさんは、新しい学校のリーダーズのデビュー以降のすべての作品プロデュースを手がけています。彼女たちの魅力はどんなところにあると思いますか?
魅力は未知数ですね。しかしあえて1つ言えば元気がいいところでしょうか。あとダンスでいろいろを消化して昇華しているような感じがあります。
07. メンバーから「私たちのこと好きですか?」という質問を預かっています。率直に、いかがでしょうか?
好きじゃなかったら、こんなに一緒に録音したりライブしたりしないだろフヘヘヘヘ。
- H ZETT M(エイチゼットエム)
- 青鼻が特徴のピアニスト・音楽家。2007年にアルバム 「5+2=11」(ゴッタニ)でソロデビューを果たし、以降「未来の音楽」「魔法使いのおんがく」といったピアノソロアルバムを発表。2013年にはドラムにH ZETT KOU、ウッドベースにH ZETT NIREを迎えたH ZETTRIO名義での活動を開始し、計4枚のオリジナルアルバムをリリースした。2017年6月に約4年半ぶりとなるピアノソロアルバム「共鳴する音楽」を発売。ソロのワンマンライブ「独演会」を不定期に行っているほか、椎名林檎、藤原さくら、木村カエラら多くのアーティストたちの楽曲にも鍵盤奏者として参加している。
- 新しい学校のリーダーズ×H ZETTRIO
「狼の詩」 - 2018年8月29日発売 / Victor Entertainment
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[CD]
1296円 / VICL-37428
- 収録曲
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- 狼の詩[作詞:阿久悠 / 作曲:H ZETT M]
- 雨夜の接吻[作詞:阿久悠 / 作曲:H ZETT M]
- 新しい学校のリーダーズ
(アタラシイガッコウノリーダーズ) - 2015年に結成されたMIZYU、RIN、SUZUKA、KANONからなるダンスボーカルグループ。キャッチコピーは「踊る、セーラー服と奇行癖。」と称され、アグレッシブなダンスとサウンド、独特なキャラクターで注目を集める。これまでコイケヤ、UNIQLO、ロッテ、幸楽苑などさまざまな企業とコラボし歌やダンスを動画で発表してきた。2017年6月には1stシングル「毒花」でビクターエンタテインメントよりメジャーデビューし、10月に2ndシングル「キミワイナ'17」をリリース。2018年8月に阿久悠の未発表の歌詞をもとにH ZETT Mが作曲、演奏をH ZETTRIOが担当したナンバー「狼の詩」をシングルとして発表する。