ナタリー PowerPush - LASTORDERZ
老いも若きも関係ねぇ! 全力疾走「大人パンク!」
ラスト・トモロヲ(Vo, Dance / 田口トモロヲ)、ラスト・アンザイ(Vo, G / 安齋肇)、ラスト・サンジ(B, Vo / 淡谷三治)、ラスト・カホリーナ(G, Vo / 小野かほり)、ラスト・マキ999(Dr, Vo / MAKI 999)の5人からなるバンド・LASTORDERZ。2年半前の「SUMMER SONIC 08」に出演し、その後放送された「タモリ倶楽部」で出演者にさんざんけなされた彼らのパフォーマンスを記憶しているナタリー読者も多いことだろう。
しかし、番組で観られたバンドの姿は真のLASTORDERZではなかった。一念発起した彼らは、伝説のバンド・ばちかぶりのボーカリストである田口トモロヲを加入させることに成功。その後の“ギグ”では、トモロヲの野性味あふれるボーカルがバンドを牽引し、見事なステージングを見せている。そしてこのたびついに1stアルバム「大人パンク!」を完成させた。
今回ナタリーでは、ラスト・トモロヲ、ラスト・アンザイ、そしてバンドリーダーであるラスト・サンジにロングインタビューを実施。誰もが不思議に思ったトモロヲ加入の顛末から、名曲「安齋ちこく!」制作秘話、そしてバンドの行く末までたっぷり訊いた。2年半前の彼らとはまったく違うその姿を、テキストを通じて感じてほしい。
取材・文/野口理香 インタビュー撮影/中西求 ライブ撮影/三浦憲治
サマソニ出演のために組んだバンドじゃない
──LASTORDERZは2008年の「SUMMER SONIC」に出たいというところから結成されたバンドですよね。その後トモロヲさんが加入されたのが2009年。その加入に至った経緯を教えていただければ。
トモロヲ 僕はもう「サマソニ出れる!」と思って入ったんです。僕が加入してから出れてないっていうのはどういうことなんだ、って訴え続けてますから(笑)。
アンザイ そうなんですよ、出られてないんです! 最初に出たのは皆さんご存じのとおり、トモロヲさんのいないLASTORDERZで。まぁ言ってみれば本当の意味でのパンクとはちょっと違う、遊びの部分ばっかりが目に付いたみたいで。番組でも非常に叩かれまして。「ロックっぽいことやってんじゃねえよ」「もう死んでください」まで言われて。だから収録のあと、その足で僕は髪の毛を切りにいったんです。「髪の毛を切って本当のパンクをやってやる!」って誓った夜ですよ。でもやはり、サマソニ関係者はあの印象が強いらしく「LASTORDERZだけは勘弁してください」と。
サンジ ちなみに、プロフィール上「サマソニのために作った」としてましたが、本当は違うんですよ。バンドをやろうっていう話が元々先にあったんです。それで、2008年のサマソニにSEX PISTOLSが来るらしいって話を聞いて、安齋さんに「もしかしたらテレビ朝日つながりでなんとかならないですか!?」って。
アンザイ ひどいでしょ、この大人たち(笑)。
サンジ だから目標がサマソニ出演だっただけで、結成した動機は違ったんですけどね。
──じゃあ結成の本当のきっかけは、資料にあるとおりサンジさんが「パンクやりたい!」って思ったこと?
サンジ そうなんです。「タモリ倶楽部」のときも、サマソニに出るためってニュアンスになってたんですけど、本当は違うんですよ。なので、いまだにバンド続けてて、トモロヲさんも入って、CDも出して、って活動を知ったら「えっマジだったの!?」って思う人もいるかもしれない。こっちにしてみたら、元々そのつもりだったんですけどね。
──元々続けるつもりで結成したと。番組企画じゃないんだよと。
アンザイ そうですよ! 企画一発だけに3年も苦労しないっすよ!
「すいませんお客さん、ラストオーダーの時間なんですけど」
──LASTORDERZでは皆さんパートも変えてますよね。例えばサンジさんは普段サックスプレイヤーなのに、ここではベースに持ち替えて。
サンジ ただベースをやってみたかっただけで、別に笑いを取ろうっていうことじゃないんです。
──では本来パーカッショニストであるカホリーナさんも、ギターを弾いてみたかったということなんですか?
サンジ いや、そこは微妙なんですけど(笑)。
トモロヲ ギターをやってるのを見て、その立ち姿がカッコよかったと。
サンジ カホリーナは普段ユーミンさんのバンドなどでパーカッション叩いてるんですけど、たまたま見たギターを当てぶりしてる姿がカッコよかったので、「ギターやらない?」って誘ってみたんです。で、同じタイミングで安齋さんにもMAKIちゃんにも「パンクバンドやりませんか?」ってメールを出したら、2人はすぐに「やりましょう」って返事来たのに、カホリーナだけはギター弾けないからと1年ぐらい渋ってましたね。
──それは結構長いですね!
サンジ そうなんですよ。だから「パンクバンドやろう」って言ってから実際に音出すまでに、かなり時間がかかったんです。
──じゃあ2007年に結成しようという話があって、2008年の頭ぐらいから練習を始めて?
アンザイ いや、2007年の暮れにはやってましたね、練習は。
サンジ えっ、やってないですよ。
アンザイ 暮れにあったのはそれじゃあ飲み会だ。
一同 (笑)
アンザイ バンドの一番核になるところを作る話し合いですよ。あの時期が一番良かったですよ。バンドの名前考えてるときが一番楽しいですよね! だからトモロヲさんかわいそうなんです。
トモロヲ でも僕が入ってからも、バンド名を変えようっていう“飲ミーティング”がありました。それでひととおり案を出して、一回転して「LASTORDERZでいいんじゃない?」ってなった。
アンザイ 「トモロヲさんがいいって言うんだったら」みたいなね。で、みんなすんごい話が長いんですよ。バンド名も、いつも堂々巡りした話をしてると、居酒屋の店員に「すいませんお客さん、ラストオーダーの時間なんですけど」って言われるんで、それで決まったんです。
──あっはっは!(笑)
サンジ 良いのが出たら変えましょうみたいな暫定的な名前だったんですけど、結局良いの出なかったってことですよね。出なかったっていうか、ふざけちゃった(笑)。
CD収録曲
- 大人パンク!
- I ♥ GIG!
- パンク☆ミー!
- 安齋ちこく!
- フューチャーだらけ!
- 気分はAm!…だった。
- エコバッグでお買い物!
- ラゾク!
- 病院行って!
- リスペクトで行こう!
- 死ぬまで生きるぜ!
- パンクがいっぱい!
LASTORDERZ(らすとおーだーず)
ラスト・トモロヲ(Vo, Dance / 田口トモロヲ)、ラスト・アンザイ(Vo, G / 安齋肇)、ラスト・サンジ(B, Vo / 淡谷三治)、ラスト・カホリーナ(G, Vo / 小野かほり)、ラスト・マキ999(Dr, Vo / MAKI 999)の5人からなるパンクバンド。
2007年、ラスト・サンジの呼びかけにより、それぞれ別のバンドで活躍する凄腕プレイヤー3人とイラストレーターの安齋肇が集まり、結成される。初めて4人で音を出してから3カ月後の2008年8月に「SUMMER SONIC 08」SONIC STAGEのオープニングアクトを担当。大規模なステージで奮闘するも、後日放送された「タモリ倶楽部」でみうらじゅんを始めとする出演者にダメ出しをされる。
バンドの行く先について悩んだ結果、2009年に田口トモロヲがバンドに電撃加入。メンバーそれぞれが多忙のため、不定期ながらも多くの“ギグ”を重ね着実にステップアップしていく。同年6月と10月には自主企画イベント「オフレコジャンボリー」を開催。第1回のゲストにはリリー・フランキーとSCANDALを、第2回のゲストにはライムサワーとDJギュウゾウ(電撃ネットワーク)を迎え、盛況を博す。
2010年6月には「WORLD HAPPINESS 2010」前夜祭に出演。7月には「FUJI ROCK FESTIVAL '09」前夜祭にてRED MARQUEEに登場するなど、注目度も上昇。2010年11月より新しいイベント「大人?パンク?」を企画し、これまでvol.2まで実施。2011年3月に1stアルバム「大人パンク!」をUK PROJECTよりリリースする。