ラストアイドルが12月20日にデビューシングル「バンドワゴン」をリリースした。

テレビ朝日系の同名番組で7人の暫定メンバーが挑戦者と過酷なバトルを繰り返し、デビュー直前まで正式メンバーが決まらないという異色のオーディションを繰り広げてきたラストアイドル。番組では毎週のようにメンバーが涙し、放送後にもれなくネットが炎上する様子は「現代に蘇った秋元康流『ASAYAN』」とも呼ばれた。

音楽ナタリーでは今回、4カ月に渡る生き残りバトルを勝ち抜きメジャーデビューを果たした阿部菜々実、吉崎綾、大石夏摘、安田愛里、長月翠、鈴木遥夏、古賀哉子のメンバー7人にインタビューを実施。番組を通じて絆を深めた彼女たちに、お互いのキャラクターやオーディションでの裏話、デビューにかける思いをたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 小野田衛　撮影 / 上山陽介

3歳のときに「アイドルになりたい」と思った（阿部）

──まずは自己紹介を兼ねて、番組オーディションを受けようと思ったきっかけと、それから尊敬するアイドルを教えてください。

阿部菜々実　最初にアイドルになりたいと思ったのは3歳のときで、モーニング娘。さんのライブ映像を観て「こういうふうになりたい！」って感じたんです。田中れいなさんが特に憧れでした。それからすぐオーディションを受けて、小3のときにmImiってグループに加入しました。今、mImiは改名してパクスプエラになっています。

──阿部さんはパクスプエラと兼任しているんですよね。

阿部　はい。でも、パクスプエラとラストアイドルでは何もかも違うので、本当に驚くことだらけで。スタッフさんの数も全然違うし、出演するイベントの大きさも違うし、お弁当も移動方法も違う（笑）。でも、パクスプエラは絶対に辞めたくないんです。小3のときから6年間一緒にやっているメンバーもいますし。これまで売れたくても売れない状態がずっと続いてきたけど、私がラストアイドルをやることで、パクスプエラも一緒に上がっていけたらいいなと思っています。

──なるほど。尊敬するアイドルは、先ほども名前が出た田中れいなさん？

阿部　もちろん田中さんもですし、モーニング娘。’17の現役メンバーだと石田亜佑美さん。石田さん、仙台にいた頃は一緒にレッスンを受けていたんです。その頃からダンスが本当にすごくて、超尊敬していました。

吉崎綾　私の場合、大きかったのは小泉今日子さんや松田聖子さんのようにソロで活躍する方の存在でした。動画サイトで観て、すごく憧れるようになったんです。かわいらしさの中に強さみたいなものを感じたし、歌やダンスだけじゃなくマルチに活躍されているし……自分もあんなふうになれたらいいなと思いました。

大石夏摘　私はミュージカルをやっていて、そこで歌ったり踊ったりすることが好きになったんです。「ラストアイドル」のオーディションは誰でも受けられるということだったので、「だったら私も！」と勇気を振り絞って応募しました。アイドルと言っていいのかわからないけど、尊敬しているのは神田沙也加さん。ミュージカルをやっていたので、どうしても目がいっちゃうんです。すごくかわいいなって思います。

──吉崎さんが母なら、大石さんは娘派ということですか。

吉崎　たしかに！ 微妙に被っているのかも（笑）。

早く地上に上がりたかった（長月）

安田愛里　私が応募したきっかけは、KARAさんが大好きだったからです。特にニコルさんとジヨン（現・JYこと知英）さん。ニコルさんって努力家なんですよ。コンサートに行ったとき、トロッコに乗って近くに来てくれたニコルさんの足元を見たら、痛々しい練習の痕があって……私、それを見て本当に感動したんです。アイドルって輝いているだけじゃないんだなと、そこで初めて気付いて。1人ひとりが陰で努力しながらみんなを笑顔にする、大変なお仕事なんだなと思いました。

──ニコルは日本語を覚えるのも苦労していましたからね。

安田　そうなんですよ！ でも、今では日本語もメンバーで一番うまいくらいで。そうやって努力する姿勢がカッコいいですよね。私も見習いたいです。

長月翠　私がオーディションを受けたきっかけは、自分が痩せたからです。なぜ痩せたかというと、以前所属していたグループでの出来事がきっかけで……ある日私のファンの方が、現場に友達を連れてきてくれたんですよ。その友達の方は、乃木坂46さんの熱心なファンだったんです。なんだか私、それを知って急に恥ずかしくなっちゃって……私のファンの方は、「この子が俺の推しなんだ」って感じで堂々としているんです。だけど乃木坂46さんと自分を比べたときに、どうしたって自分が劣っていたから。だって、当時は今より13kgも太っていましたし。

──よくそこから絞りましたね。

長月　恥ずかしかったんです。かわいいアイドルさんを見慣れている人に、「この子もアイドルなんだ」と思われることが。そのときは典型的な地下アイドルだったけど、自分自身、いつまでも地下にはいたくないって気持ちはあったんです。プライドが持てないと言うか、早く地上に上がりたかった。

──好きなアイドルは？

長月　元乃木坂46さんの深川麻衣さんです。あの優しい雰囲気に惹かれますね。

逃げたんですよ、私は（古賀）

鈴木遥夏　私はもともとアイドルが好きで、自分でも握手会とかライブによく参加していたんです。グッズとかも集めていましたし。で、そのうちに「自分もそっち側に立ってみたい」「輝いてみたいな」という気持ちが芽生えてきたんです。ただ、オーディションを受ける勇気がなかなか持てなくて……この「ラストアイドル」が、私にとっては初めてのオーディションなんです。

──握手会では誰のレーンに並んでいたんですか？

鈴木　元AKB48の大島優子さん。大島さんって、いつでも全力じゃないですか。パフォーマンス中も限界が見えないところが本当にすごいし、気が付くとついつい目で追ってしまうんです。

古賀哉子　私は福岡県出身で、高校時代に少しだけモデルのお仕事をやらせていただいたんです。でも、モデルの世界も厳しくて。身長が165cmないとオーディションすら受けられないんです。私は159cmだから足切り状態で。それでモデルの道をあきらめて、東京の事務所で女優さんを目指すって話もあったんですけど、結局はそれも辞めちゃって。私、そこで安定を求めちゃったんですよね。手に職を付けようと、地元で歯科衛生士の専門学校に入ったんです。

──地に足が着いていますね。

古賀　いや、逃げたんですよ、私は。だけど結局、芸能の夢もあきらめきれなくて……もともとモデルになりたかったくらいだから、アイドルに強いこだわりがあるわけではないんです。ただ、私は相澤瑠香さん（現・Good Tears）に勝って暫定メンバーになったわけだから、相澤さんの気持ちを引き継がなくちゃいけない。それに、単なる一般人のうちから「暫定メンバー」として握手会をやらせていただくうちに、アイドルというお仕事の楽しさがわかってきたんです。