音楽ナタリー PowerPush - LAGOON
ママ、救命士、学生、カフェ店員、女優が語る「私と音楽」「私とLAGOON」
バンドの花形はギター!
──なぜLAGOONに参加することに?
動画サイトにギターの「演奏してみた」動画を上げていたら、それを観たスタッフさんから「こういうプロジェクトがあるのでお話を聞かせてもらえませんか?」と連絡をいただいて。「お話くらいなら」って待ち合わせ場所に行ったら、そこがオーディション会場でした(笑)。
──あはははは(笑)。ギターはいつ頃から?
高校生のときに軽音楽部に入ったときからですね。スポーツは苦手だったので文化部で一番リア充っぽい部活を選んでみました(笑)。
──じゃあ誰か憧れのバンドやプレイヤーがいたわけではない?
もちろん中学時代からバンドやロックが好きで、特にジュディマリさんとBLANKEY JET CITYさんを聴いていたからっていうのも入部の理由ですね。
──2バンドとも、今28歳のRINOさんが中学生だった頃、まさに絶頂期っていう感じでしたもんね。
LAGOON唯一の昭和生まれなので(笑)。で、入部してすぐに仲良くなった子たちとバンドを組むことになったんですけど、そのときにはすでに全パート埋まっちゃってたんですよ。私は「大きな音を出したら楽しいだろうな」っていう感じで入部したんですけど、ほかの子たちにはちゃんとやりたい楽器があって、しかもちゃんと1人ずつドラム、ベース、ギター、ボーカルを希望してる子がいて……。
──となるとRINOさんは居場所がなくなっちゃいますね。
だから「どうしよう?」って途方に暮れてたらメンバーの1人が「ギターはバンドに2人いてもいいらしいよ」って教えてくれて。「じゃあ私もギター!」って、すごくふわふわとした動機で始めてみました(笑)。
──でもきっかけはふわふわながら、今もギターを弾いている。
ギターってバンドの花形じゃないですか。軽音部で初めてライブをやったときから、ステージの最前列までガンガンしゃしゃり出ていける、あの感じがすごく楽しくて(笑)。だから大学でも音楽系のサークルでバンドを組んで曲を書いてライブハウスに出たりしてましたし、今もそうで。妊娠・出産のとき以外はホントにずっと弾き続けてます。
私が音楽をやるために欠かせない人たち=LAGOON
──その妊娠・出産というか、ご結婚はいつ頃?
大学を卒業してすぐですね。
──ですよね。YouTubeで公開されているドキュメンタリー映像を観て驚いたんですよ。「子供が大きいっ!」って。
あはははは(笑)。来年小学生になります。そうやって子供があまり手のかからない年齢になったっていうのも、私が「演奏してみた」で活動するようになった理由なんです。子供が幼稚園に通うようになって日中ちょっと時間ができたから「またギターを再開してみようかな」って。でもそうはいってもまだ子供が小さいので「夜のライブハウスで」っていう活動はできない。だから動画を上げてみたって感じなんです。
──そのお話を聞くまでもなく子育てって大変なお仕事だと思うんですけど、それでも“お母さん”と“LAGOON”という二足のわらじを履こうと思ったのはなぜ?
ガールズバンドを組めることがすごくうれしかったからですね。高校でも大学でも組んでいたのはガールズバンドですし、「演奏してみた」で弾いていたのもジュディマリさんやGO!GO!7188さん、チャットモンチーさんだったので。私にとってバンドといえばガールズバンドだったから「やったー!」って感じでオーディションを受けちゃってました(笑)。しかも集まったのが信頼できる仲間っていう感じの子たちなのもうれしくて。
──あっ、もう「仲間」と呼べる関係になっている?
はい。なんで「仲間」って呼べるのかっていったら、バンドをきっかけに出会った子たちだからなんだと思います。ドラムはゆりっぺ(yuri)に任せればいいし、ベースはNANA.ちゃんに任せればいいしっていう感じで、お互いがお互いを補いあえる関係、自分が音楽をやるために絶対に欠かせない人同士として出会ってるから、すごく信頼できるし、一緒にいて楽しいんですよね。
NANA.が誰かのためにできること
──救急救命士さんってどういうお仕事なんですか?
ケガをしたり具合が悪くなった方の命を現場から病院までつなぐ仕事ですね。救急車に乗り込んで現場に行って、症状に応じた最低限度の処置をして病院に搬送するのが本来の仕事なんです。
──「本来の仕事」?
今お話したのは一般的な救命士、消防に所属している救命士のことなんですけど、私は病院に籍を置いている院内救命士だから、また役割が違っていて。消防の救命士が院内に運んできた患者さんの病状把握や応急処置をして、先生がすぐに処置できる状態を作るのが仕事なんです。
──一般的ではないということは院内救命士って珍しい存在なんですか?
歴史が浅いこともあって、ここ何年かでようやく増えてきたって感じですね。
──その院内救命士を志望した理由はYouTubeの動画でお話になってましたよね。学生時代、街で倒れている人を見かけたのに何もできなかった自分が悔しくて、誰かのために何かできる人になろうと思ったって。じゃあNANA.さんのもう一足のわらじ、ベースはなぜ始めようと?
高校生まで運動部にいたんですけど、大学生になってスポーツをやめたらヒマになっちゃって(笑)。
──あっ、ベーシストデビューは大学生になってからなんですか。
はい。バンド全体を支える縁の下の力持ちっぽいところがカッコよかったから、大学に入るか入らないかくらいの頃にベースを買って。大学に入ってバンドを組んでから2年生の終わりくらいまでは、月5本くらいライブをやったり、ホントにガムシャラに弾いてました。
──でもそのバンドでの活動期間は2年間だけだった?
救急救命士になりたかったので、その国家試験に専念するために3年生のときに一旦お休みにしたんです。でも試験に受かったら今度は「これで誰かのために何かできる人になるための第一歩は踏み出せたけど、じゃあ私は私のために何ができるんだろう?」って考えるようになっちゃって……。
NANA.がNANA.のためにできること
──NANA.さんのためにすべきことって見つかりました?
ベースでした(笑)。で、またバンドを組もうと思っていたところに音楽仲間からLAGOONのオーディションの話があったので、受けさせてもらいました。
──救急救命士って時間が不規則な仕事ですよね。誰がいつケガや病気をするかなんてわからないわけだから。そういう仕事をしながらバンドも、となると大変な気もします。
寝たいときに寝られないとか、「呼び出しが!」みたいなことはありますけど(笑)、自分のために音楽ができて、しかも誰かのために何かできる仕事ができているから苦痛ではないですね。回復した患者さんの「ありがとう」を聞くと「がんばろう」って思えますし。
──一方バンドをやる喜びって?
自分の内にあるものをぶつけられることかなあ。
──ついこのあいだまで面識のなかったメンバーの中にあって内面をさらけ出せる?
みんな音楽に対する情熱の傾け方が似てるんですよ。「うまくなりたい!」「こういうバンドにしたい!」って真剣に考えている人しかいないから、出会ってそんなに経ってはいないんだけど信頼しても大丈夫、内面をぶつけても大丈夫だって思ってます。
──少し話が変わるんですけど憧れのベーシストっています?
瀧田イサムさんですね。
──GRANRODEOのサポートなんかをなさっている?
そうですそうです。何年か前に初めてプレイを観た瞬間、衝撃を受けて、埼玉から名古屋まで講義を受けに行くくらいファンになっちゃいました(笑)。
──そういう瀧田さんの影響下にあるNANA.さんにとってデビューシングル「君の待つ世界」のベースっていかがでした?
瀧田さんのファンであることもそうだし、あと最近アニソンにハマっていることもあって、ああいうテクニカル系のベースラインは好きなので、弾いててすごく楽しかったですね。
──しかも「君の待つ世界」は「まじっく快斗1412」のテーマソング、アニソンです。
だから毎週テレビで観るたび、ちょっとアワアワしながらも、なんかニヤっとしちゃってます(笑)。
次のページ » yuri(Dr)、YUKINO(Key)インタビュー
- デビューシングル「君の待つ世界」 / 2014年11月26日発売 / Sony Music Records
- 初回限定盤
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 1700円 / SRCL-8651~2
- 通常盤 [CD] / 1300円 / SRCL-8653
- 期間生産限定アニメ盤
- 期間生産限定アニメ盤 [CD+DVD] /1700円 / SRCL-8654~5
CD収録曲(※初回限定盤、通常盤)
- 君の待つ世界
- Dear friend
- Are You Ready?
- 君の待つ世界(Instrumental)
CD収録曲(※期間生産限定アニメ盤)
- 君の待つ世界
- Dear friend
- Are You Ready?
- 君の待つ世界(TVサイズ)
初回限定盤、期間生産限定アニメ盤DVD収録内容
- 君の待つ世界 Music Video
- 君の待つ世界 Music Video メイキング
- 君の待つ世界 トレーラー映像
LAGOON(ラグーン)
女優のMIORI(Vo)、一児のママのRINO(G)、救急救命士のNANA.(B)、学生のyuri(Dr)、カフェ店員のYUKINO(Key)からなるロックバンド。ソニー・ミュージックレコーズ主催の「女性の夢を叶える応援プロジェクト」をきっかけに誕生し、以来、各メンバーとも “二足のわらじ”を履きながら音楽活動を展開する。11月26日、アニメ「まじっく快斗1412」のオープニングテーマ「君の待つ世界」でメジャーデビュー。