LACCO TOWER|メジャーデビュー5周年で振り返る過去、見据える未来

常に今が一番カッコいい

──選曲や曲順で特に強くこだわったところはありますか?

細川 例えば黒盤で言うと、1曲目に「罪」を入れることは最初から決めていました。

──昨年、配信リリースされたこの曲は、本作が初のCD化になりますね。

細川 バンドとして常に進んでいることをわかってほしかったんです。もちろん過去があって今があるわけですけど、僕らは過去にすがっているつもりは全然なくて。常に今が一番カッコいいと思っているので、今のLACCO TOWERの一番カッコいい曲を黒盤の1曲目に入れるのは必然だったというか。

──曲の内容的にも去年からの時勢にマッチしている印象もありますからね。

松川 そうですね。まさにコロナ禍ど真ん中に作った曲なので。

真一ジェット(Key)

真一 リズム録りのあとにコロナでレコーディングが中断してしまって。4カ月くらい経ってから、この曲のレコーディングの続きをきっかけにまた制作活動が本格的に再開したんです。そういう意味ではすごく感慨深い曲だし、だからこそ1曲目に入るのは当然かなとも思いますね。

松川 その4カ月がなければ歌詞の内容もまた違ったものになっていたと思います。BPMが速くて、スカッとしたビート感のあるこういう曲って意外と最近やってなかった気がするので、そういう意味では少し昔の自分たちを思い出せる感じもありましたね。

細川 あともう1つ、「奇々怪々」はどうしても入れたいという思いがすごく強かったんですよ。

塩﨑 この曲はシングル「薄紅」のカップリングでしたけど、最後の最後までテレビアニメ「ドラゴンボール超」のエンディングテーマの候補として争った曲だったんですよ。僕らとしてはかなり気合いを入れて作った曲なので、思い入れがすごく強くて。この曲だけのために新しいベースを買ったりしましたから。

細川 結果的に「薄紅」がエンディングテーマになったんですけど、もし「奇々怪々」が選ばれていたら、きっと僕らはまた全然違ったバンドになっていたような気がしますね。

塩﨑 そうだね。あのタイミングは大きなターニングポイントだったかもね。

これが最後かもしれない

──一方の白盤は先ほどお話に出た「薄紅」で幕を開けます。

細川 白盤の1曲目として「薄紅」は外せないところでしたね。黒盤で「罪」を1曲目にしたという意味では、こっちは「歩調」にするべきなのかもしれないけど、でもやっぱり僕らにとって大切な曲という意味においてはこれしかないかなと。

重田雅俊(Dr)

重田 白盤は基本的にいい曲ばっかりなんだよね。全部好き(笑)。そんな中、個人的に思い入れがあるのはラストの「花束」かなあ。Zepp DiverCity TOKYOでやったライブ(2017年10月開催)のアンコールで初披露したんだけど、この曲を聴くとそのときの気持ちと緊張感がよみがえってくるんですよね。あのときのようなライブがまたいつできるのかはわからないけど、そこへの希望をつなげたいなと思える1曲です。

真一 僕は「必殺技」が白盤に入ってるのも気に入ってますけど、やっぱり「歩調」も外せないところではありますね。

──「罪」同様、昨年配信リリースされた曲ですね。今回が初CD化です。

真一 「歩調」はコロナ禍になる前にできた曲なんですよ。

松川 そう。この曲がエンディングテーマになっている群馬テレビ「ニュースeye8」に生出演したのを最後に、僕らは会えなくなってしまって。

重田 生出演したのが去年の4月1日で、そこから半年くらい会えなかったもんね。だからこの曲はオンラインライブではやったけど、人前ではまだやってない。

真一 そういう意味で「歩調」は一生忘れられない曲になったと思います。もちろんどの曲も一生忘れないんですけど。

細川大介(G)

細川 去年は心のどこかで「このまんまみんなと会えなくなっちゃうんじゃないか」という思いが常にあったんですよね。レコーディング中も「もしかしたらこれが最後かもしれない」とか。だから「罪」も「歩調」も、去年作った曲には特に思い入れがありますね。本当に今こうやってみんなと会えて一緒に話せていることは奇跡みたいなことなんだなと改めて思います。

──この曲もまた今聴くとグッとくるものがありますよね。去年からの世の中の流れとリンクするというか。

松川 これは別にコロナ禍を意識して書いたわけではないんだけど、そう受け取ってもらうこともできますよね。そうやっていろんな受け止め方をしていただけるのは、日本語を使った表現のいいところなのかなと思います。

──DISC 3のMV集も必見ですよね。

細川 そうですね。DISC 1、2には入っていない曲もMVで観ることができるので、本当に3枚組の作品として、全体の流れみたいな部分を楽しんでほしいですね。

──ビジュアル的な部分で5年分の歴史も感じられますし。

松川 大介はそこにあまり触れてほしくないんじゃないの?

細川 そうですね。マジで太りましたから。「非幸福論」のMVのときと比べると12kg太ったんですよ(笑)。

真一 マジ⁉ そんなに太ったの?

細川 うん。もちろん気を付けてはいるんだけど、コロナで人前に立つ機会がなくなっちゃったこともあって、今この完成形になりました(笑)。いやでも6年目はマジでがんばります。ここからは自分に厳しくいこうと思ってます!

未来に対してのいい兆し

松川ケイスケ(Vo)
塩﨑啓示(B)

──コロナ禍を通してメンバー同士の絆を深め、バンドとして前へ進む意志をより強固なものとしたLACCO TOWERのここからが俄然楽しみになってくるわけですが、まずは4月に予定されている主催フェス「I ROCKS 20&21 stand by LACCO TOWER」が無事開催されるといいですね。

松川 本当に昨日(インタビューは3月頭に実施)決まったんですけど、予定されていた3日間に、さらに2日足して合計5日間で開催することになったんですよ。1日目は僕らのワンマン。あとの4日間に今発表しているほぼすべてのバンドを割り振る形になります。感染対策で換気する時間なんかを考慮すると、当初の3日間ではちょっと厳しそうだということになって。世の中の流れ的にはそこで縮小か中止という判断になるわけですけど、僕らは広げてみようと思ったんです。

塩﨑 ぶっちゃければ縮小や中止にしたほうが確実にラクなんですよ、あらゆる側面から考えてみても。でもね、僕らは去年から「自分たちは誰を大事にするべきなのか」「自分たちにとって何が一番大事なのか」をずっと話し合ってきて、その中で今回の答えにたどり着いたんです。ここからまだまだ大変なことはあると思いますけど、でも「I ROCKS」という、未来に対してのいい兆しが見えてきたので、今はめちゃくちゃ楽しくてしょうがないんですよね。

──今回の決断はさまざまなイベントやフェスにとっても大きな希望になりそうですね。

松川 そうなったらいいですよね。いろんなバンドが、それぞれの考え方で徐々に動き出している状況もあるので、僕らとしても中途半端なことはできないですから。

細川 「I ROCKS」以降も考えている企みはめっちゃありますからね。そこも楽しみにしていてほしいです。

塩﨑 ケイスケが言ったように、未来に向けてどんどんボールを投げていきますんで。今年中にはたぶんまた音楽ナタリーさんと会えるんじゃないかな(笑)。

公演情報

I ROCKS 20&21 stand by LACCO TOWER
  • 2021年4月9日(金)群馬県 伊勢崎市文化会館
  • 2021年4月10日(土)群馬県 伊勢崎市文化会館
  • 2021年4月11日(日)群馬県 伊勢崎市文化会館
  • 2021年5月1日(土)群馬県 伊勢崎市文化会館
  • 2021年5月2日(日)群馬県 伊勢崎市文化会館
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