音楽ナタリー Power Push - LACCO TOWER

ブレずに新たなステージへ

LACCO TOWERなりの“幸福論”

──揺らがないバンドの根幹を示しつつも、今回は未来を見据えた歌詞や、新たな表情を感じさせる曲が多い印象もありました。それは大きな節目となる今のタイミングならではなのかなと思ったんですけど。

塩﨑 それはあるよね、うん。

松川 アルバムタイトルは「非幸福論」ですけど、これは僕らなりの“幸福論”なんです。なので“未来”とか“幸せ”“不幸せ”っていうキーワードが多めに出てきたところはありましたね。

細川大介(G)

細川 今回の歌詞は全部好きっすね。「朝顔」の歌詞を初めて見たときは号泣しちゃって。こんだけ感動できる歌詞を持った曲で自分がギター弾けるなんてっていう、その喜びを感じたらまた泣いてしまって。

松川 大介はよく泣くんですけどね。

塩﨑 で、泡吹いて倒れんだろ(笑)。

──曲に関してはいかがですか?

真一 今回、「例えばこういう色を持ったバンドがいたとしたら、こういう曲をリードにするだろうな」っていう考え方をして10曲作ったんですよ。それが僕の中の1つのコンセプトでもあったんで、それはうまくいったんじゃないかなと思うんですけど。

──なるほど。その中でLACCO TOWERというバンドを一番象徴しているのが「非幸福論」だったと。個人的には「星空」と「共鳴」という2曲に、新たなLACCO TOWERの匂いを感じたんですよ。曲調的にもメッセージ的にもすごく開けた印象があります。

真一 自分らがやってる「I ROCKS」というフェスのテーマソングとして作った「星空」は、メンバー以外の声を入れた初めての曲なんですよ。

塩﨑 そうそう。「I ROCKS[故郷編]」に参加してくれたバンドみんなの声が入ってるんです。

真一 メロディに関しては、あんまり練らずに自分の中から自然に出てきたんですけど、結果的にそれでLACCO TOWERの新しい可能性を示せたような気はしますね。

松川 この2曲は、昔の真一が得意だったジャンルの曲だなっていう印象が僕らにはあって。このタイミングで真一の中からそれが出てきたことにはやっぱり意味があるんだろうし、同時にそういう曲でも今の僕らがやればお客さんに受け入れられるんだっていう自信になりましたね。

左から塩﨑啓示(B)、松川ケイスケ(Vo)。

重田 真一は昔、鳥肌ジェット55っていうバンドをやってたんですけど、そこで楽曲的にLACCO TOWERとは真逆のことをやってたんですよ。で、真一は今回、その当時のテイストの曲を自然に持ってきたわけですけど、うちらとしてもそれを抵抗なく受け入れることができて。たぶんもっと若かったら「やりたくねえ」って言ってたかもしれないし、真一の中にも「こういう曲調はLACCOにはどうかな」っていう気持ちがあったと思うんですよね。

松川 あったの?

真一 あったあった。でも今回はなんも考えてなかった、もはや(笑)。

松川 あくまで自然な流れではあったけど、LACCO TOWERはこういうこともできるんだっていうことをバンマスとしてしっかり示してくれたんでしょうね。僕個人としても「共鳴」では歌詞で新しいチャレンジができたところもありましたし、バンドの幅は大きく広がったと思います。

「お前は30代の希望の星だ」

──まさに新たな始まりにふさわしいアルバムだと思います。7月からはメジャー初のツアーも決定していますね。

塩﨑 僕らはワンマンと言いつつゲストを呼ぶことが多いんですけど(笑)、今回のツアーはほんとに自分たちだけで長めのライブをやります。会場は今まで回ってきたライブハウスですし、10月のファイナルは地元でっていうのも去年と同じです。根本は変わらずブレない感じですけど、パワーアップした姿をお見せできればなと。

松川 メジャーデビューにあたって友達には「お前は30代の希望の星だ」って言われたんで(笑)、がんばらないとなって。とりあえず今の目標は武道館ですね。今まで応援してくれてた人も連れて行きたいなって思ってます。それまで真一の髪の毛がもつのかっていう心配はありますけど(笑)。

真一 年々ハゲてますからね。年々歯が出てきてますし。

松川 髪が薄くなった分、歯が出るって。FAXみたいになってるから。紙が機械に入っていく分、出てくるっていう構図。

真一 自分でもFAXみたいだと思う。

重田 あ、ライターさん! このFAXの件を文章に入れるか入れないかでセールスにかかわってくるんで、お願いしますよ。

LACCO TOWER
メジャーデビューアルバム「非幸福論」 / 2015年6月17日発売 / 日本コロムビア / TRIAD
初回限定盤 [CD+DVD] / 3564円 / COZP-1051~2
通常盤 [CD] / 3024円 / COCP-39113
CD収録曲
  1. 非幸福論
  2. 葡萄
  3. 朝顔
  4. 傷年傷女
  5. 星空
  6. 十六夜
  7. 共鳴
初回限定盤DVD収録内容
  • 「狂想序曲」「奇妙奇天烈摩訶不思議」「林檎」「星空」ライブ映像
    ※4月25日に群馬・群馬音楽センターにて開催のライブイベント「I ROCKS 2015 故郷編」の模様を収録。
  • 非幸福論(ミュージックビデオ Full ver.)
LACCO TOWER「非幸福論」リリースツアー
“感幸旅行”
2015年7月4日(土)
福岡県 Queblick(※ワンマンライブ)
2015年7月11日(土)
大阪府 LIVE SQUARE 2nd LINE(※ワンマンライブ)
2015年7月18日(土)
愛知県 APOLLO BASE(※ワンマンライブ)
2015年7月20日(月・祝)
東京都 LIQUIDROOM(※ワンマンライブ)
2015年9月11日(金)
岩手県 the five morioka
2015年9月20日(日)
香川県 DIME
2015年9月21日(月・祝)
兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
2015年9月22日(火・祝)
広島県 CAVE-BE
2015年9月27日(日)
長野県 Sound Hall a.C
2015年10月2日(金)
京都府 KYOTO MUSE
2015年10月9日(金)
石川県 vanvan V4
2015年10月10日(土)
富山県 Soul Power
2015年10月17日(土)
宮城県 LIVE STUDIO RIPPLE
2015年10月24日(土)
群馬県 高崎club FLEEZ
2015年10月25日(日)
群馬県 高崎club FLEEZ
LACCO TOWER(ラッコタワー)
LACCO TOWER

2002年の結成以来、都内、群馬を拠点に活動するロックバンド。自ら“狂想演奏家”を名乗り、結成当初より楽曲タイトルはすべて「日本語ひとつの言葉」にこだわり続けている。ロック、パンク、ポップス、歌謡曲など特定のジャンルにカテゴライズされない、ソウルフルかつエモーショナルなサウンドが魅力。その叙情的な世界観とは裏腹に、攻撃的なライブパフォーマンスも人気を集めている。現在のメンバーは松川ケイスケ(Vo)、塩﨑啓示(B)、重田雅俊(Dr)、真一ジェット(Key)、細川大介(G)の5名。2013年にメンバーで「株式会社アイロックス」を設立し、自身主催フェス「I ROCKS」を2014、2015年に地元・群馬音楽センターにて開催した。インディーズにてアルバム4枚を発表し、2015年6月にフルアルバム「非幸福論」で日本コロムビア内レーベル・TRIADよりメジャーデビュー。