「情熱大陸」がオンエアされてから

──「Unite Unite」は等身大のきゃりーさんの思いを描いた曲ですが、そういう面は海外のファンにはどう受け入れられるんでしょうね。

日本ではTwitterとかもガンガンやってるし、わりと親近感があると思うんですけど、海外の人にはもっと2次元に近い“キャラクター”みたいな感じで思われてるんじゃないかな。

──じゃあこの曲は日本のファンと海外のファンで捉え方がだいぶ違うかもしれない。

そうですね。

──どっちの自分を見てほしいですか？

どっちだろう……。ただ歌とかファッションとかで“きゃりーぱみゅぱみゅ”のイメージが確立してるから、テレビでトーク番組なんか出てると意外と普通だねって言われたりはしますね。Twitterやっててもホントに普通のツイートしかしてないし。それで思われがちなのが「誰か裏にきゃりーぱみゅぱみゅ像を作ってる人がいて、この子は操り人形みたいにそれをやらされてるだけなんじゃないか」って（笑）。でもそういうのは「情熱大陸」がオンエアされてから減りました。

──番組では舞台裏の様子も映し出されていましたね。

「情熱大陸」を観た人は「あそこまで自分の意思でプロデュースしたり考えたりしてると思ってなかったからびっくりした」とか言ってくれてて、それはよかったです。

プライベートを出さないほうがたぶんいいけど

───デビューの頃に比べて、きゃりーさんに対する世の中の理解が深まってるんでしょうね。

確かに日本でのイメージはけっこう変わってきたかも。最初は派手でわけわかんない名前の19歳の女の子が出てきて、「なんだなんだ？」って感じだったと思うんですけど。今は「意外としっかりしてるね」って言われたりとか。

──それは自分にとってはいい変化ですか？

すごくうれしいですね。こういうファッションで、こういう名前で、歌も普通のシンガーの人と比べるとぶっ飛んでる感じなので、「どうせ常識ない子なんでしょ？」みたいに決めつけられがちなんですけど。別にすごく普通だし。普通の家庭で育ってるので（笑）。

──きゃりーさんのTwitterを見てると今どこで何してる、みたいなことが普通に書いてありますもんね。

そうですね（笑）。フォロワーもいつのまにか120万人くらいになってるけど、ぜんぜん変わらない感じです。何があったかけっこう具体的に書くし。それもどうなんだろうって思うときもあるんですけど。

──というのは？

ほら、私みたいなタイプはあんまりプライベートを出さないほうがたぶんいいはずっていうか。“きゃりーぱみゅぱみゅ”って本当はそういうタイプのアーティストだと思うんです。PVにもライブにもちゃんと世界観があるから。でもそれだけが私っていうわけじゃないし。PVやライブでもやりたいことをやるし、Twitterとかも普通にやっていくっていうのがいいと思うんですよね。

──事務所やレーベルに「こんなツイートはしちゃダメ」とか言われない？

それがぜんぜん言われなくって（笑）。たまに「これ大丈夫ですか？」って聞くと「大丈夫だよ」って言われる。たまにTwitterに解禁前の写真をアップしちゃうときがあって、それは怒られますけど。でもすごい自由にやってますよ。

YouTubeでしか観たことない少女のこと

──今はワールドツアー真っ最中ですね。先月のベルギー、フランス、イギリスでのライブはどうでしたか？

いやー、ツアーが決まってからは本当に不安でいっぱいで、正直楽しみ2％不安98％くらいだったんですけど、ヨーロッパのライブは3カ国とも盛り上がって、すっごく楽しかったです。海外の人の盛り上がり方って日本とぜんぜん違くて、恥ずかしさとかすべて捨てて1人ひとりが楽しむっていう感じで。

──温かく迎えてもらえました？

私は「2年目で世界ツアーなんて早いんじゃないか」って思ってたんですけど、向こうの人たちは「2年間も待ってたんだよ。来てくれてありがとう」みたいな感じで、すごくうれしかったです。なんでYouTubeでしか観たことない少女のことを応援して、ライブに来てくれるんだろうっていうのはホント不思議なんですけど、でも「やっぱPVのほうがよかった」って思われたくないから、ライブパフォーマンスもしっかりやりました。

──そのほかヨーロッパで印象に残ったことはありますか？

えっと、マジでスリが多いですね。本当に多いから気をつけたほうがいい（笑）。あとフランスで「クレイジーホース」と「ムーラン・ルージュ」のショーを観てきました。クレイジーホースはヌードの女の人たちのセクシーで美しいショーで、私がやってることとはぜんぜん違うんですけど、照明とかもかわいくてすごくいいなって影響受けました。

──ムーラン・ルージュは？

ムーラン・ルージュは小林幸子さんぽかったですね。メガ幸子？ 神々しくてゴージャスで、歌って踊ってる感じでした。

──今回のきゃりーさんの国内公演は海外とは内容が違うんですか？

国内のZeppツアーは「不思議の国のきゃりー」みたいなコンセプトでやってるんです。海外だとセットが組めないんですけど、国内だと100％観てもらえるし、ぜひ遊びに来てもらいたいです。本当はライブっていうよりテーマパークみたいなのをやりたくて。

──いいですね。

なので、もうちょっと売れたらきゃりーぱみゅぱみゅのテーマパークを作ります！（笑）