音楽ナタリー Power Push - 「黒執事 Book of the Atlantic」

主題歌アーティスト・シド インタビュー 「硝子の瞳」に刻んだ黒執事の世界

たまに衣装のアイデアを拝借してます

──シドの皆さんが感じる「黒執事」の魅力ってどんなところでしょうか?

Shinji(G)

Shinji 歴史的背景を盛り込んだ知的なストーリーも魅力ですし、「豪華客船編」だけでなくほかのストーリーもバトルシーンがカッコよく描かれているところは、幅広い年齢層が楽しめるところだと思います。

──そう言えば、Shinjiさんはハロウィンのイベント(「HALLOWEEN PARTY 2013」)で「黒執事 Book of the Atlantic」にも登場するグレル・サトクリフの仮装をしてましたよね?

Shinji そうです!

マオ しかも仮装したあとに、枢先生がイラスト描いてくださってね(参照:アニメ「黒執事」公式 (@kuroshitsuji2) | Twitter)。

ゆうや 仮装したShinjiを、本家のマンガ家さんが描くという不思議な流れが生まれてた(笑)。

Shinji 「黒執事」も魅力的ですが、先生のそういうところも素敵なんですよ。

劇場版「黒執事 Book of the Atlantic」より。

ゆうや Shinjiの言っていた知的なストーリーというのは同意見ですね。初めてマンガを読んだとき、セリフが長くて一見難しいかなと思ったんですけど、読み出したら止まらないし決して難しすぎない。動く死体とか殺人のシーンとか、エグいところをちゃんとエグく描いているのもいい。いくところまでいってる作品だなと思います。

マオ 僕は絵のタッチが好きですね。絵やアニメの映像を眺めているだけでも楽しい。それと枢先生が描かれる服がカッコいいんですよ! シドの曲に合うというか。たまに衣装のアイデアを「黒執事」のキャラクターが着ている服から拝借したりしてます(笑)。けっこう「黒執事」のファッションに影響を受けてます。

──そうだったんですね。

劇場版「黒執事 Book of the Atlantic」より。

マオ それと、シエルという主人と、セバスチャンという執事という2人の契約関係が軸にあって、それをもとにさまざまなストーリーが展開していくのも面白いですよね。ギャグの要素があったり、いろんなエピソードが出てきたりするけど、2人の関係性があるから「黒執事」という作品の根幹は揺るがない。

明希 俺もマオくんと一緒で絵のタッチが好きですね。シャレが効いたセリフや展開も笑えて好きだし。コミックの話になっちゃうんですけど、表紙カバーを外すと内表紙にパロディイラストが描かれていて、それも好きなんですよ。枢先生の細かいところまでこだわっている姿勢から、読者を最初から最後まで楽しませたいんだろうなという気持ちが伝わってくる。

──ちなみに皆さんのお気に入りのキャラクターは?

明希 「サーカス編」に出てくるジョーカー。恩人であるケルヴィンを救おうとして最後は死んじゃうんですけど。

Shinji 俺はグレルですね。ああいう強烈なオネエキャラがいるだけで、ストーリーの雰囲気が変わるじゃないですか。話のスパイスになりうるというか。シリアスになりがちなストーリーが彼がいることで変わっていくのがいいなと。

マオ 俺はシエルかな。子供ながらにいろんなものを背負っていて、ダークファンタジーの主役っていう感じ。いろんなキャラクターが出てくるんですけど、彼が一番好きですね。

ゆうや もう「豪華客船編」のエリザベスに惚れました。ずっと可憐な女の子を演じていたけど、シエルを守るために本性を出すとか……ぞっこんですよ。

エンドロールまで観ていただけたら

──「硝子の瞳」はシドとして約1年ぶりのシングルとなりますが、レコーディングの際に4人で集まってみて感じたことはありましたか?

マオ 俺らとしては、あまり気負っていなくて、単純にひさびさに4人で集まってシドで曲を作るの楽しいなって感じでした。

──そうでしたか。でも、ファンは待ち焦がれていたと思います。

マオ そうですよね。自分が好きなバンドが1年くらい休んで、メンバーそれぞれがソロで活動したあとに復活したら単純にうれしいもの。だから気持ちはすごくわかります。10年後くらいに振り返ったとき、「あのとき休んだのが今になって効いてきたな」ってなればいいのかなと。長くシドを続けていく中での休憩期間が、2016年だったと思ってます。

明希 そうだね。2016年にマオくんと俺がソロ活動をした意味は、これから活動していくうえでわかってくるものかなと思うんです。ただ、この休憩があったからこそ、シドとしてファンの期待を裏切らない濃い音楽をやっていけるだろうなという確信はあります。

──明希さんの場合はAKi名義で活動される際はフロントマンとして立っていましたし、新しく見えたものもあったのでは?

明希(B)

明希 ありますね。シドを俯瞰で見ることができるようになりました。今のシドがどういうものをやったら、ファンの方に喜んで受け取ってもらえるのかとか、そういう視点。もちろん、バンドっていい意味で自分のエゴを出してぶつかり合っていかなくちゃ成長できない。でもそれと同じくらい、俯瞰で自分たちのことを見ることができなきゃいけないという部分が培われた気がします。それが今後の曲作りやレコーディング、ステージで出せそうな気がしていて。シドが自分を含めた4人だけのバンドというよりは、客観的な視点を持つ5人目のメンバーが加わったような感じです。

──2017年のシドの展望をお伺いしたいのですが。

マオ とにかくファンの方に喜んでいただけるようなことができればと思っていて、そうしたら俺らも楽しくなるかなと。要はライブですね。まずはそこに向かって活動していければと思います。

──最後に劇場版「黒執事 Book of the Atlantic」を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。

ゆうや 今回は主題歌を作るためにかなり時間をいただいて、「黒執事」とじっくり向き合って作ることができました。「黒執事」の世界観が曲にしっかり盛り込まれていると思うので、それを感じ取ってもらえたらうれしいです。

Shinji 映画とマッチした曲なので、ホントに劇場で観てほしいですね。

明希 で、映画を観てシドに興味を持ってもらえたら、シドのライブにも来てほしい。

マオ そうだね。今回はオープニングではなく、エンディングで自分たちの曲が流れるのが何より楽しみなんです。「黒執事」初のアニメ映画を、シドの曲で締められるというのがすごく光栄で。映画館は特に音がいいですし、曲もフルサイズで使ってもらえるので、エンドロールの最後まで観ていただけたらうれしいです。

シド
Contents Index
「黒執事」担当編集・熊剛氏 インタビュー
主題歌アーティスト・シド インタビュー
小野大輔(セバスチャン・ミカエリス役)×坂本真綾(シエル・ファントムハイヴ役)対談
劇場アニメ「黒執事 Book of the Atlantic」2017年1月21日(土)全国ロードショー
劇場アニメ「黒執事 Book of the Atlantic」
あらすじ

19世紀英国──名門貴族ファントムハイヴ家の執事セバスチャン・ミカエリスは、13歳の主人シエル・ファントムハイヴとともに、“女王の番犬”として裏社会の汚れ仕事を請け負う日々。ある日、まことしやかにささやかれる「死者蘇生」の噂を耳にしたシエルとセバスチャンは調査のため、豪華客船「カンパニア号」へと乗り込む。果たして、そこで彼らを待ち受けるものとは──。

スタッフ

原作:枢やな(掲載 月刊「Gファンタジー」スクウェア・エニックス刊)
監督:阿部記之
脚本:吉野弘幸
キャラクターデザイン・総作画監督:芝美奈子
音楽:光田康典
制作:A-1 Pictures
配給:アニプレックス

キャスト

セバスチャン・ミカエリス:小野大輔
シエル・ファントムハイヴ:坂本真綾
エリザベス・ミッドフォード:田村ゆかり
葬儀屋:諏訪部順一
グレル・サトクリフ:福山潤
ロナルド・ノックス:KENN
ウィリアム・T・スピアーズ:杉山紀彰
スネーク:寺島拓篤
バルドロイ:東地宏樹
フィニアン:梶裕貴
メイリン:加藤英美里
チャールズ・グレイ:木村良平
チャールズ・フィップス:前野智昭
エドワード・ミッドフォード:山下誠一郎
フランシス・ミッドフォード:田中敦子
アレクシス・ミッドフォード:中田譲治
ドルイット子爵:鈴木達央
リアン・ストーカー:石川界人
ほか

シド ニューシングル「硝子の瞳」 / 2017年1月18日発売 / Ki/oon Music
初回限定盤A [CD+DVD] / 1750円 / KSCL-2826~7
初回限定盤B [CD+写真集] / 1650円 / KSCL-2828~9
通常盤 [CD] / 1200円 / KSCL-2830
期間生産限定盤 [CD] / 1400円 / KSCL-2831~2
CD収録曲
  1. 硝子の瞳
  2. チイサナツバサ
  3. 硝子の瞳 ‐Instrumental-
初回限定盤A DVD収録内容
  • 「硝子の瞳」Photo Session / Music Videoメイキング映像

シド 日本武道館公演 2017

夜更けと雨と
2017年5月12日(金)東京都 日本武道館
夜明けと君と
2017年5月13日(土)東京都 日本武道館
シド
シド

マオ(Vo)、明希(B)、Shinji(G)、ゆうや(Dr)からなる4人組ロックバンド。2003年に結成され、翌年1stアルバム「憐哀 -レンアイ-」をリリース。2006年には初の日本武道館ワンマンライブを敢行。2008年10月にアニメ「黒執事」第1期オープニングテーマとして採用された「モノクロのキス」でメジャーデビューする。2009年7月にはメジャー1stアルバム「hikari」をリリースした。その後も精力的なリリースとライブ活動を繰り広げ、2010年7月には埼玉・さいたまスーパーアリーナ、12月には東京・東京ドームでライブを行う。結成10周年を迎えた2013年は初のベストアルバム「SID 10th Anniversary BEST」のリリースをはじめ、アニバーサリーライブなどさまざまな企画を実施。2016年はマオと明希がそれぞれソロ活動を展開した。2017年1月に劇場版「黒執事 Book of the Atlantic」の主題歌として書き下ろした「硝子の瞳」をシングルとして発表。5月には日本武道館で2DAYSライブを開催する。


2017年1月27日更新