ナタリー PowerPush - 黒猫チェルシー
山奥スタジオで「猫Pack 2」完成
黒猫チェルシーが新作「猫Pack 2」を3月21日にリリースする。本作はバンドの魅力をサウンド+映像+ビジュアルの3つの角度からパッケージした異色アイテム。CDには、彼らの新境地とも言えるミディアムチューン「東京」を含む計6曲を収録し、初回限定盤DVDには、7日間の合宿レコーディングに完全密着したドキュメンタリー映像と最新ビデオクリップが収められる。
ナタリーではこの作品の完成を記念して、メンバー4人にインタビューを実施した。彼らの発言から、現在のバンドが攻めのモードであることが伝わるはずだ。
取材・文 / 大山卓也 インタビュー撮影 / 平沼久奈
山奥の合宿レコーディングで制作
──この「猫Pack 2」を制作することになったきっかけから聞かせてください。
渡辺大知(Vo) 本当は次のアルバムに向けて曲を作り始めてたんですけど、その中からミニアルバム出したら面白いんちゃうかっていう話になって。アルバムに向けて作ってた曲の中から、ちょっとストレートな感じのものを全部集めて、それを元に構築していった感じですね。
──今作はセルフプロデュースでレコーディングしたそうですね。
渡辺 はい、山奥の合宿レコーディングスタジオに1週間行って。合宿所の地下にちゃんとした防音のスタジオはあるんですけど、実際はその上の部屋で全部録ったっていう。みんなでごはん食べたりするスペースがあるんですけど、ドラムとギターと歌はそこで録りました。
──面白いですね。
渡辺 普通のスタジオじゃないから、音がものすごく響くんですよ。だからベースはトイレの前で弾いたりとか。
──トイレの前?
澤竜次(G) なんかちょっと廊下が袋小路みたいになってるとこがあって。
──なるほど(笑)。
澤 そのせいかわからへんけど、なんかこう、シンプルに聞こえると思うんです。スタジオで作られた音じゃなくて、木でできた山小屋で鳴ってる感じも出とるし。4人でライブみたいに「いっせーの!」で合わせて録ったっていう、その空気感が伝わるアルバムになったんやないかと思います。
──確かに楽しげな雰囲気が伝わってきます。
澤 こういう環境での合宿レコーディングっていうのが初めてやったから新鮮でしたね。7日間メンバーもスタッフも一緒に生活して、朝から晩まで音楽の話して。もう寝る直前までしゃべって、朝起きてすぐメシ食ってレコーディングしてっていう。
──同梱のDVDには、そのレコーディング合宿の様子を撮ったドキュメンタリー映像が収録されるんですよね。
澤 今回、音源編と映像編をセットにしたのはそこを観てほしかったっていうのがあって。音ができるところを観てもらえれば、曲の聞こえ方も変わるだろうし、その空気感をまるごと伝えたかったんです。真剣にやってるけど、なんか楽しい雰囲気だったりとか。
全員がシンプルな音に向かってた
──岡本さんは今回のレコーディングいかがでしたか?
岡本啓佑(Dr) いい意味で普通のスタジオとは違ってて、すごく新鮮でした。
──ドラムは特に部屋の響きが影響しますもんね。
岡本 単純に生音が気持ちよかったですね。スタジオにこもってるとどうしても頭で考えちゃうんですけど、今回はもっとラフな感じで自然に叩けたっていうか。
澤 印象的だったのは啓ちゃんが「今までだったらここでシンバルとか叩きたくなるけど、うるさいからぐっと我慢する」みたいなことを言ってて。全員そういうシンプルなところに向かってたんですよね。俺もギターとか重ねてみたりしたんですけど、結局いらんかなって減らしたり。
岡本 溜めるというか、爆発をもったいぶるというか。友達が「ミッチ・ミッチェル(THE JIMI HENDRIX EXPERIENCEの元ドラマー)ってシンバル叩かんよな」っていう話をしてて、それを聞いて「そやな」と思って。叩いてはいるんですけど、派手すぎない。そこになんかヒントあるかなって思って。
──実際にレコーディングした自分の音を聴いた印象は?
岡本 立体的に聞こえるというか。なんかこう……つるっとしてない、ゴツゴツしながら飛び出て聞こえる。特に「風の又さぶろっく」とか、決して派手なことはしてないんですけど、ビートがずんずん進んでいって、奥行きもあって。
──今回の合宿を通してバンドのグルーヴがさらに磨かれた?
岡本 そうですね。今回は特に重心を落として、どっしりしたものをやれたんじゃないかなって思います。
──宮田さんはいかがでしたか?
宮田岳(B) 今回結構いろいろ試行錯誤もありつつ、楽しくやれました。啓ちゃんといろいろ相談して、こういう音出そうとか、ミックスの段階でドラムの音上げるとか、さらに下げるとかそういうのも試して、結果だいぶ明るい印象になったなって。
──自分のプレイについては?
宮田 ラスト2曲でバイオリンベースを使ってるんです。ポール・マッカートニーっぽいやつ。挑戦してみたら、それが思ってたより雰囲気が出て良かったですね。
CD(猫Pack 2 ~音源編~)収録曲
- ボリュームノブ
- 東京
- まったくいかしたやつらだぜ
- GOOD JOE
- 風の又さぶろっく
- マタタビ(アコースティックver.)
初回限定盤DVD(猫Pack 2 ~映像編~)収録内容
- 「猫Pack 2」レコーディング完全密着ドキュメンタリー@山奥にて
- 「東京」ビデオクリップ
黒猫チェルシー「猫Pack 2」リリースライブパーティー East & West
2012年5月6日(日)東京都 六本木Super Deluxe
OPEN 17:00 / START 17:30
2012年5月20日(日)大阪府 心斎橋MUSE
OPEN 17:00 / START 17:30
Theピーズ×黒猫チェルシー「夜桜2マン~環七編~」
2012年4月8日(日) 東京都 新代田FEVER
Mount Alive presents BASEMENT LIVE vol.2
2012年4月22日(日)北海道 札幌DUCE
(w / THEラブ人間 / THE BOYS & GIRLS)
MAN WITH A MISSION
“DON'T FEEL THE DISTANCE ~8カ所だョ!全員集合 対バン TOUR~”
2012年5月1日(火)秋田県 秋田Club SWINDLE
(w / MAN WITH A MISSION / HEY-SMITH)
2012年5月3日(木・祝)青森県 青森Quarter
(w / MAN WITH A MISSION / HEY-SMITH)
QUATTRO MIRAGE VOL.4 powered by TOWER RECORDS
2012年5月28日(月)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
(w / N'夙川BOYS)
黒猫チェルシー(くろねこちぇるしー)
神戸出身のロックンロールバンド。渡辺大知(Vo)、澤竜次(G)、宮田岳(B)、岡本啓佑(Dr)の4名により、高校在学中の2007年3月に結成。2009年にインディーズより2枚のミニアルバムをリリースし、2010年5月に「猫Pack」でメジャーデビュー。多くの夏フェス出演や海外でのライブを経て、2011年5月に初のフルアルバム「NUDE+」を発表し、11月に1stシングル「アナグラ」をリリース。2012年3月には「猫Pack 2」で新たな一面を見せる。なお、ボーカル渡辺大知は2009年夏公開の映画「色即ぜねれいしょん」に主演するなど、俳優としても活躍中。