ナタリー PowerPush - 栗コーダーカルテット
祝・コツコツやって15周年! リコーダーとともに歩んだ歴史をたどる
僕らの中では多少華やかではなかろうかと
──今回リリースされる「15周年ベスト」も、楽しく聴かせていただきました。
川口 華やかな感じがしますね。ここ5年間の曲はウクレレがわりと入っているっていうのもあるし、いろんな人に聴いてもらえるといいなっていう気持ちで作った曲ばかりなので、やっぱり僕らの中では多少華やかではなかろうかと。
栗原 これで華やかなのか?(笑)
──いやいや、さまざまなタイプの曲が入っていますし、間違いなく華やかな内容だと思います(笑)。
関島 初回限定盤についてるDVDも、けっこう華やかだと思いますね。今までプロモーションビデオとして作ってきた映像がひとつにまとまってまして。僕らは普段、映像に音をつける作業をすることが多いので、逆に自分たちの音楽に映像をつけてもらうことはすごく新鮮なんですよ。それらがまとめて観られるのはすごいありがたいなぁと。
川口 どの作品も本来だったら頼めないような監督さんたちに、普段からのお付き合いなんかもあって、快く、素晴らしいものを作っていただきました。
──新録曲や、これまで音源になっていなかった貴重な曲も収録されていますし。
川口 今年のトピックとして、近藤が音楽をつけた「つみきのいえ」がアカデミー賞の短編アニメーション賞を受賞したってこともありましたからね。
栗原 近藤くんの個人作品だった「つみきのいえ」を栗コーダーバージョンとして録音し直しました。ライブでやるたびに評判良かったので。
川口 これは15周年っていう機会がなかったら改めて入れるかどうかわからなかったから、そういう意味ですごくいいきっかけでしたね。あとは「ピタゴラスイッチ」もせっかくだからまとめてみましょうっていうことで、小組曲にしてみたり。もともと笛だけのアレンジじゃなかったのを、笛だけにしたんですよ。かなり力が入ったし、演奏もがんばったんで、いいものができたと思いますね。
栗原 番組のよりうまいんだよね、たぶん。聴き比べないでください(笑)。
川口 それはしょうがないよね、月日経ってるし。
リコーダーは健康にいいらしいですから
──インストものですけど、何度でも繰り返し聴けるんですよね。そこが栗コーダーの大きな魅力だということを改めて実感する作品でした。
川口 飽きないように作るっていうのは、普段ずっとポップスをやってきているものの習性というかね。聴く音楽もやっぱりなるべく飽きないようなものがいいですから。これからも栗コーダーとして、自分が聴いて飽きないものを作っていきたいですね。
──ウクレレ期以降の栗コーダーはどうなっていくんですかね?
栗原 なに期になるんですかねぇ。
近藤 氷河期?(笑) 僕ら、あんまりね、目標を立ててやるタイプじゃないんで。
川口 自分達だけで目標を立てても、例えば「こういう映画の音楽をお願いしたいんだけど」っていう話がポンときたら、そっちが中心になったりしますからね。だいたい決めても決まったようにならない。なので、あんまり先のことは考えないですね。
──いい意味で流れに身を任せると。
近藤 そうですね。今もわりと自由にやらせてもらってますからね、いい環境です。
栗原 そういう環境の中で、自分たちがいいなと思ったものが、幅広い層の方に受け入れてもらえてるっていうことが、すごく幸せなことだと思いますね。
──そのままのスタンスで20年、30年と栗コーダーの世界を楽しませてください、ぜひ。
川口 そうですね。ライブで飛び回ったりとか会場の端から端まで走ったりとか、そういうタイプじゃないんでね、体力的には続けられるとは思うんですよ。そこはね、笛とかウクレレとかっていう楽器を選んだことが、この後の伸びに関係してくると思うんで。
──なるほど(笑)。
川口 あと、健康にいいらしいですから。息をたくさん吸って、指を動かすっていうのは。
近藤 リコーダー健康法?(笑)
──アハハハ。今後も楽しみにしてます!
CD収録曲
- カントリーマーチ
- ペジエ
- ボンネットバス
- 遠くの友達
- つみきのいえ メインタイトル ~guitar version~
- 光ノトキ
- 午前3時の植物園
- 小組曲「ピタゴラスイッチ」
[I] オープニングテーマ
[II] ピタゴラ装置BGM
[III] スーの登場のテーマ
[IV] テレビのジョンのテーマ
[V] ジョンにズームアップ!
[VI] きょうのトピックBGM
[VII] エンディングテーマ - おじいさんの11ヶ月
- カントリー・ロード
- 帝国のマーチ(ダース・ベイダーのテーマ)
- 快獣ブースカ
- 遙かなる大地より
- アパオの海外出張
- サンセットドライバー
- 夏から秋へ渡る橋
- 純な賛美
- 亡き王女のためのパヴァーヌ
初回盤DVD収録曲
- ハイウェイスター
監督:野村辰寿 [ROBOT] + 細川晋 - おじいさんの11ヶ月
監督:佐藤匡 [ユーフラテス] - 溜め息の橋(feat.湯川潮音)
監督:中島信也[東北新社] - PoPo Loouise(feat.UA)
監督:坂井治 [ROBOT]
栗コーダーカルテット
(くりこーだーかるてっと)
栗原正己(リコーダー、ピアニカ他)、川口義之(リコーダー、サックス他)、近藤研二(リコーダー、ギター他)、関島岳郎(リコーダー、テューバ他)から成る4人組。それぞれに作編曲家そして演奏家の顔を持つ4人がなぜかリコーダーを携えてお気楽に活動を始め早15年。1997年に1stアルバム「蛙のガリアルド」を発表。以後6枚のオリジナルアルバム、ベスト盤、ライブ盤、DVD、楽譜集、サウンドトラック、オムニバス参加など関連作品の数は50を超える(NHK教育TV「ピタゴラスイッチ」、映画「クイール」、映画「≒草間彌生~わたし大好き~」、NHKアニメ「アリソンとリリア」テーマ曲、NHKみんなのうた「PoPo Loouise」、映画「山形スクリーム」など)。2005年にカバーしたスター・ウォーズ「帝国のマーチ」のヒット以降、ウクレレや身近な楽器を使った脱力系バンドとしてテレビ、ラジオで取り上げられることもしばしば。共演したアーティストは春風亭昇太、あがた森魚、吉沢実、THE SUZUKI(鈴木慶一+鈴木博文)、劇団ダンダンブエノ、竹中直人、原マスミ、UA、湯川潮音、GOING UNDER GROUNDなど幅広い分野にわたる。結成15周年の今年はスクリーンデビューも果たし、さらに精力的に活躍中。