ロックはリフと歌である
ショウ 「Hyper」はリフの曲なのも超いいです。Kroiはわりとリフの曲が多いから、そういう意味では平常運転だと思うけど、タイアップでリフの曲っていうのはいいですよ。
コウキ リフがカッコいい、ということがどれほど貴重なことか。
ショウ そうそう。リフがカッコいいバンドか、そうじゃないかだから。
コウキ リフがカッコいいバンドは保護するべきだと思う。
──絶滅しないように?
コウキ はい。
内田 (笑)。
──そこに耳が行くのは、ショウさんもこだわってる部分だからですか?
ショウ すごく大事にしています。LOVE PSYCHEDELICOのNAOKIさんと一緒に曲を作ったときに、「つまるところロックはリフと歌である」という話をしたんですよね。それって音楽を作るようになって、自分の表現の幅がわっ!と広がったときに忘れがちになる部分だけど、やっぱりリフと歌だよねって。カニエ(・ウェスト)が「どんな音楽を作っても、MPCで作っていればヒップホップだ」と言ってるのと一緒で、ロックの哲学の中にリフというのはあると思います。
コウキ 「Hyper」はすごくライブ感がありますよね。ド頭のグランジっぽいところで、ライドみたいな音が16ビートで入ってるじゃないですか。あれがめっちゃカッコいい。
内田 たぶんハットの音なんですけど、トラップっぽいハットにしたいねって話を最初にして。それが最終的にこの感じで仕上がりました。
コウキ 叩いてるってことですか?
内田 叩いてます。そのあとのミックスはうちの鍵盤(千葉大樹)がやっています。
ショウ へえ、千葉くんがいつもミックスやるの?
内田 はい、ずっとやってもらってます。
コウキ すごい!
ショウ Kroiはいつも音がいいなと思ってたんですよ。
内田 うれしいです。
コウキ OKAMOTO'Sもやってもらう?
ショウ やってもらいたいよね。今度聞いてみよう。
KroiとOKAMOTO'Sの共通点
ショウ この前ステージ袖からだけど初めてライブをしっかり観て、内田くんがパーカッションを置いてるのはKroiとOKAMOTO'Sの共通点だなと思った。
長谷部 確かにボーカルがパーカッションをやるバンドは珍しいですね。
ショウ 俺はボンゴしか置いてないけど、ティンバレスもいいよね。
内田 俺はもともとドラマーなんです。それでライブ中に手持ち無沙汰になると、「なんか叩きてえな」ってなるんですよね。
ショウ 俺もそうです。ボーカルのリズム感がいいバンドというのも共通点だ。
長谷部 あとはさっきも話したけどMCが長いところ(笑)。
──OKAMOTO'Sは自然とそうなっていったんですか?
ショウ いや。最初はもっと無口でカッコいいバンドをやろうとしてました。
内田 わかります。俺らも完全にそう。
コウキ ストイックにカッコいいバンドがやりたかったよね。
ショウ うん、ミッシェル(THEE MICHELLE GUN ELEPHANT)みたいな気持ちで。
コウキ 100万光年くらいかけ離れてるけど。
ショウ 何を言ってんだお前っていう。
──(笑)。
コウキ でも、自分たちの素みたいなものを少しずつ解禁していったことで、逆に面白くなっていったというか。リスナーにもこういう人たちなんだとわかってもらうことで、より魅力的に感じてもらえたのかなと思います。
ショウ パーソナルな部分とか、キャラクター性をね。
コウキ そう。だから、結果よかったですね。自分たちも楽になったし。
──Kroiも最初は無骨なバンドへの憧れがあった?
内田 うん。カッコよくなりたかったです。
長谷部 俺なんてもう人格違ったっす。鍵盤の千葉がバンドに加わってから変わったんですけど。
コウキ そこで崩壊したんだ?(笑)
長谷部 千葉と一緒に住んでた時期があって、当時その部屋が制作ハウスみたいになってたんですよ。僕は面白いことって芸人さんがやるものだと思ってたんですけど、芸人さんじゃなくても笑いを取っていいんだ、笑ってくれるってこんなにうれしいんだって気付いて。それから人格が崩壊していきました。
長谷部悠生も歌ってみたい
内田 OKAMOTO'Sは1人ひとりのスタイルがめちゃめちゃあるのが最高ですよね。我々はまだプレイヤーとしてのスタイルを確立できていない気がするので、そこはすごく憧れます。
ショウ でも、俺らはほっとくとチーム感がなくなっていくから。カッコよく言えば、いろんな世界のリーグで活躍してる人が日本代表として集まる、みたいなことになるんでしょうけど……危ういんですよね。本当に危うい瞬間がたくさんあります。
コウキ 競技が違っちゃってるときがあるよね(笑)。
ショウ そうそう。だからシンプルに盛り上がって、ディズニーランドに行けちゃう感じはめっちゃいい。絶対にそのほうがいいときはあるよ。
長谷部 OKAMOTO'Sはコウキさんも歌うじゃないですか。シンガーが2人いるところも、俺らにないところですよね。
ショウ Kroiはみんな歌わないんですか?
内田 俺は歌ってほしいんですけどね。
コウキ OKAMOTO'Sは、ハマくんにも12、3年やってきて初めて「いつも、エンドレス」のBメロを歌ってもらうことに成功したんですよ。本当はまるまる1曲歌ってもらいたいんですけど。
ショウ ハマという島をここから開発していく。
内田 (笑)。
コウキ でも、歌う人が複数いるのはいいですよ。ライブのときにメリハリが付くから。たぶんショウさん的にもいいでしょ?
ショウ いい。本当にライブが楽です。バンドって古の時代から、みんなが歌うのがいいとされていますし、その文化がなくなっちゃうのは悲しいことだと思います。
──長谷部さんは歌うことに対する興味や憧れはないんですか?
長谷部 ジョン・フルシアンテが好きなので、俺も歌ってみたいんですよ。
内田 いいね。途中で弾き語りしたり。
長谷部 「How Deep Is Your Love」を弾き語りでカバーしたり。
ショウ ドラッグを買うためにテープ録音した音源を出したり(ジョン・フルシアンテは1997年、アルバム「Smile From The Streets You Hold」発売時にそう公言していた)。
コウキ あれはヤバいよね。
長谷部 (笑)。だから歌がうまければやりたいです。ちょっと家で練習してみようかな。
特別な対バンになりそうな愛知公演
──改めてKroiとOKAMOTO'Sの競演が楽しみです。
コウキ このツアーは本当にメンツがバラバラで面白いですよね。ここまで振り幅があるからこそ、対バンする意味があるなって感じがする。
ショウ 初めて会う人もいるんですか?
内田 けっこう多いです。
長谷部 クリープハイプさんとか。あとはnobodyknows+さん。
コウキ nobodyknows+はヤバいよ。
ショウ うん、一番ヤバい。俺、今日いつnobodyknows+の話が出るのか、ずっと待ってたもん。
内田 (笑)。
長谷部 僕らは世代的に最初に触れたJ-RAPがnobodyknows+なんですよ。
内田 ラップを覚えたのもnobodyknows+。
長谷部 でも、この組み合わせの面白さに気付いてくれてる人があんまりいない感じがして。
ショウ え、ホントに? nobodyknows+とKroiの組み合わせで「この対バンは予想してた」っていう人いる?
──あえて言わないんですかね。Kroiファンとしては、そこで驚いてると思われたくないみたいな。
ショウ あー、もう余裕出したいんか。
コウキ Kroiだったらあると思います、みたいな。
内田 そうかもしれないですね(笑)。
──そして11月5日のKroiとOKAMOTO'Sの対バンについてですが……。
ショウ コウキくんの誕生日じゃん!
コウキ そうなんだよ。
ショウ なんで言わなかったの?
コウキ 言おうと思ったんだけど、nobodyknows+の話のあとじゃ弱い気がして。
ショウ 確かにそうだね。
内田 いや、そんなことないと思います(笑)。
──Kroiのお二人はどんなライブになると思いますか?
内田 俺らのテンションが高いんじゃない?
長谷部 うん。この日は特にそうだと思います。
内田 毎回、名古屋は自分たちのファンがめちゃめちゃテンションが高くて。ステージに出ていくタイミングからお客さんが「ワーッ!」ってなるから、その勢いに負けそうになるんですけど、さすがにこの日は俺らのほうがテンション高いっすね。
コウキ 俺もめちゃくちゃ楽しみ。なんか一緒にやりますか?
内田 いいですね!
長谷部 ソロ回しする曲があるので、2人でボーカルとパーカッションをやったりとか?
ショウ やりたい。歌ももちろんだけど、パーカッションもやりたい。メンバーを交換し合いっこしましょう。
コウキ いいね。長谷部くん、OKAMOTO'Sに入りますか? オカモトユウキとして。
長谷部 え! 緊張するなあ。
内田 俺らからしたらそれはめちゃめちゃ緊張する(笑)。
──コウキさんのポジションに入るっていうのもそうだけど、ハマさんと同じステージに立ったらすごいことですよね。
コウキ ですよね。その話を聞いて、やってほしいなって思いました。
──ちなみに内田さんと長谷部さんは、OKAMOTO'Sの曲で演奏したい曲はありますか?
内田 「うまくやれ」がマジでめっちゃ好きなんです。
長谷部 俺は「マダラ」。
内田 「マダラ」いいね!
──愛知公演に足を運んだファンはもしかしたら貴重なコラボを見れるかもしれないと。
ショウ せっかくの機会なので、特別な対バンになるようなプランを立てたいよね。あとで打ち合わせしましょう。
ライブ情報
Kroi Live Tour "Dig the Deep" Vol.4
- 2023年11月3日(金・祝)福岡県 Zepp Fukuoka
<出演者>
Kroi / Tempalay - 2023年11月5日(日)愛知県 Zepp Nagoya
<出演者>
Kroi / OKAMOTO'S - 2023年11月12日(日)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
<出演者>
Kroi / nobodyknows+ - 2023年11月18日(土)大阪府 Zepp Namba(OSAKA)
<出演者>
Kroi / Nulbarich - 2023年11月19日(日)広島県 広島CLUB QUATTRO
<出演者>
Kroi / Bialystocks - 2023年11月26日(日)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
<出演者>
Kroi / Ovall - 2023年12月2日(土)北海道 Zepp Sapporo
<出演者>
Kroi / クリープハイプ
プロフィール
Kroi(クロイ)
R&B、ファンク、ソウル、ロック、ヒップホップなど、あらゆるジャンルからの影響を昇華した独自の音楽を提示する5人組バンド。2018年2月にInstagramを通じて結成し、同年10月に1stシングル「Suck a Lemmon」をリリースする。2019年夏には「SUMMER SONIC 2019」に出演。同年12月に2ndシングル「Fire Brain」をリリースし、2020年5月に5曲入りのEP「hub」を発売した。2021年1月にEP「STRUCTURE DECK」をリリース。6月にはアルバム「LENS」でポニーキャニオン内のレーベル・IRORI Recordsからメジャーデビューを果たした。2022年7月にメジャー2ndアルバム「telegraph」、2023年3月にメジャー2nd EP「MAGNET」をリリース。10月にはテレビアニメ「アンダーニンジャ」のオープニングテーマを収録したメジャー1stシングル「Hyper」をリリースする。11月から12月にかけて対バンツアー「Kroi Live Tour "Dig the Deep" Vol.4」、2024年1月には初の東京・日本武道館公演の開催を控えている。
Kroi (@kroi_official) | Instagram
OKAMOTO'S(オカモトズ)
オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)からなる東京都出身の4人組ロックバンド。2010年、日本人男子最年少の若さでアメリカの音楽フェス「SXSW2010」に出演し、以降も海外での活動も積極的に行う。2010年5月に1stアルバム「10'S」でデビュー。2019年に結成10周年イヤーを迎え、6月には初の東京・日本武道館ワンマンライブを成功させる。2023年5月にはニューシングル「Where Do We Go?」をリリースした。関ジャニ∞や菅田将暉らさまざまなアーティストのプロデュースや楽曲制作、映画やドラマの劇伴制作も行い、メンバー個々でプロデュースワークやDJ活動なども行っている。
OKAMOTO'S (@OKAMOTOS_INFO) | X