アー写がいけ好かない
──マハラージャンさんを今回のツアーに招いた理由から聞かせていただけますか。
内田怜央(Kroi / Vo) 僕らが「69号室の住人」というトーク番組に出させてもらったとき……まあ騒いだだけなんですけど(笑)。僕らのあとにマハラージャンさんが出ていて、それを観てたら我々の回が面白かったと言ってくれていたんです。これはぜひライブでご一緒できたらと思ってお声がけしました。
千葉大樹(Kroi / Key) ツアーについての情報を出したときも反応がよかったです。
マハラージャン めっちゃ反応よかったですよね。Kroiを好きな人は、たぶんおまけでマハラージャンも好きっていう。
内田 いやいや、逆ですよ(笑)。
──初対面はいつですか?
千葉 ついこの前、福井のフェスに出たんですけど、そこでマハラージャンさんが僕たちの1個前だったので。
内田 一緒に写真を撮りました。
──会ってすぐに写真ってすごいですね。
千葉 そうなんですよ。俺は特にそうなんですけど、初対面でぶちかます癖があって。
内田 その自己分析半端ないな(笑)。
マハラージャン 対バンが決まっていたから、事前に会えたのはうれしかったですね。仲よくしてもらいたいなと思っていたので、僕もすごくテンションが上がって楽しかったです。
──マハラージャンさんは、Kroiの音楽に対してどんな印象を持っていました?
マハラージャン カッコいいですよね。僕がやりたいゾーンの音楽ですし、自分は基本1人でやっているからバンドに憧れがあるんですよ。ただ……言葉を選ばずに言うと、アー写を見たときは正直いけ好かないなと思いました。
千葉 (笑)。
マハラージャン でも「69号室」を観たらみんな仲よさそうだし、すごくいい子たちだと思って。それから曲も好意的に聴けるようになりました。
千葉 うちはそうやってファンを増やしてるんですよ。
内田 絶対違うよ(笑)。
ミステリアスなマハラージャンの魅力
──逆にKroiのお二人は、マハラージャンさんの音楽や人となりにどういう印象を持っていましたか?
内田 人となりが読めないですよね(笑)。そのミステリアスな世界観の作り方と、ポップで踊らせてくれるファンキーな音楽っていう、マハラージャンという表現そのものが素敵だと思います。
──確かに「何者なんだろう?」と思わせる魅力があります。
千葉 見た目がすごく個性的じゃないですか。でも、曲からは彼の好きなサウンドやジャンルが聞こえてくるというか、真面目に音楽に取り組んでるのが伝わってくるんですよね。そこにシンパシーを感じますし、こういう見た目の方がファンクに根差した音楽をやってくれると、ライトなリスナーがその音楽を聴くきっかけになると思うので、そういう役割を担っているのもすごくいいなと思います。
内田 曲が秀逸ですよね。我々の曲にはなぜそこに入れたのかわからないキメがあったりするんですけど、マハラージャンさんの曲はアレンジに意図を感じます。
千葉 細かいよね。シンセの音もそうだけど、飾りになる音が細かく入ってるから聴き飽きない。
マハラージャン 今の話……もっと言ってほしい。
一同 (笑)。
マハラージャン 音楽をやってる人からこんなにしっかりと褒められたことないのでうれしいです。
──マハラージャンさんのルーツはなんですか?
マハラージャン 一番大事にしてるのはDaft PunkとJamiroquaiです。あとはUKロックも聴いていて、The LibertinesやRadioheadも好きでした。それともう1つ……ダンスを少しやってたんですよ。大学1年の頃にロックダンスというのがあって、そこでジェームス・ブラウンやアース(Earth, Wind & Fire)のようなダンスをやれる曲を作りたいと思っていました。
──今もライブで踊られるんですか?
マハラージャン いや、やらないようにしてます。1度やっちゃうと戻れなくなっちゃうから(笑)。
マハラージャンが語る「nerd」
──Kroiの新作「nerd」は聴かれましたか?
マハラージャン 聴きました。このEPに限らず言えることですけど、本当だったら地味になりかねないところを、このバンドのキャラクターですごくカッコよく聴かせている印象があります。特にそれを感じたのが「Rafflesia」で、ドラムがいいんですよね。益田(英知)さんはさすがだなと思います。最後の展開するところでベースのワウが入ってきたり、音で遊んでる感じがいいですね。
──「Rafflesia」はどんなふうに作ったんですか?
内田 まずドラムンベースを作ろうと思って、自分で速いビートを叩いてみたんですよね。これでいけそうだなっていうのが見えてきたら、そこからただのドラムベースにはならないように、ソウルフルの要素も入れたKroiの音楽を作ろうと思って。
千葉 わりと珍しいことなんですけど、怜央からドラムンベースというテーマを聞いていて、それを生ドラでやる方向性になったので、それならドラムンベースから遠くなりすぎないようにしたいと僕は思って。そこでループを入れたり、ダンスミュージック的なアプローチを取り入れて今の形になりました。
──この曲は変わった音色のシンセですね。
千葉 あれオルガンの音なんです。制作が詰まって打ち込む時間がなくて。そんな変な音じゃないし、カッコいいから、怜央のデモをそのまま使おうと思って。
内田 絶対に打ち直してくれるだろうと思ってLogicのプリセットを使ってたのに、そのまま残りました(笑)。
マハラージャン 「Juden」はサビ前のキメが長いじゃないですか? あれはすごいなって思います。自分だと怖くてできない。
内田 いや、違うんですよ。俺も怖かったんです。あのデモが選ばれたとき、身震いしましたから(笑)。
千葉 いつもいっぱいデモを出してくれるんですけど、この曲は「いっぱい出すためだけの曲」だったらしいんですよ。でも俺たちが「これいいじゃん!」と舞い上がって(笑)、それでできちゃった曲です。
マハラージャン いいですねえ、まさにバンドのよさがそこにありますよね。勘違いからすごくなるみたいな。
内田 そう、バンドのよさは暴走なんですよね。範疇を超えたところに美徳を感じないと、バンドはできないと思う。
マハラージャン めちゃくちゃうらやましいです。場面展開の多い曲がたくさんありますし、1個1個のアレンジや曲の構成もすごく気が利いてて、各プレイヤーがフレーズを考えてるのがわかります。
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1人でやるからこそ