カッコいいし気持ち悪い
──バンド同士、もともと面識はあるんですか?
岩下優介(ニガミ17才 / Vo) いや、ないです。僕はあくびから「Kroiっていうカッコいいバンドがいるけど知ってる?」と聞かれて、それをきっかけに知りました。タツルボーイも知ってたんだよね?
イザキタツル(ニガミ17才 / B) 知ってましたね。
岩下 それでみんなで曲を聴いてみたらカッコよくて(笑)。
──平沢さんはどこでKroiの存在を知ったんですか?
平沢あくび(ニガミ17才 / Syn) SNSでMVが流れてきて、そしたらレギュラーでやらせてもらっているラジオ番組でも曲がかかったんです。そこでディレクターさんと「このバンド、カッコいいですね」って話をしてました。アー写がめっちゃおしゃカワだし、アートワーク含めてカッコいいし、かわいい。気持ち悪くていいなって思います。
関将典(Kroi / B) 昔から「気持ち悪い」ってことがポジティブに捉えられるようになるといいなと思っていて。「ヤバイ」という言葉がいい意味でも使われるように、僕らは「気持ち悪い」という言葉が褒め言葉になる世界を作れたと考えているので、「カッコいいし気持ち悪い」と言ってもらえるのはうれしいですね。
内田怜央(Kroi / Vo) メンバーそれぞれこだわりが強いというか、悪く言えば主張を引けない症候群でもあるんですけどね(笑)。
関 そうだね。5人が5人、全然バラバラの個性を表現しているアートワークになっているので、協調性がないのかもしれないです(笑)。
──ただ、ニガミ17才も負けず劣らずアートワークは奇抜ですよね。
平沢 ははは(笑)。
岩下 たぶん僕らも衝動でカッコいいと思うものを表現しているだけで、そういうところは同じなのかなと。好きな音楽のジャンルもバラバラなので、簡単に新しいものができるというか。
共通点はサプライズ
──ニガミ17才に対バンをオファーしたのは、どんな理由からですか?
関 自分が対バン候補として、ニガミさんの名前を挙げさせていただきました。もともと岩下さんが作る音楽が嘘つきバービーの頃からめちゃくちゃ好きで、ニガミ17才を結成したときも衝撃的でしたし、曲がめっちゃカッコいいから、いつかご一緒したいと思っていて。
長谷部悠生(Kroi / G) 自分も日本のサイケロックを掘っていく流れでニガミさんの曲を聴いていたので、関から名前が挙がったときはもちろん大賛成でしたね。
──内田さんはどんな印象を持っていましたか?
内田 “仕掛ける”アーティストだなと。自分たちもそうでありたいですし、オリジナリティを全面に出している点も素晴らしいと思います。
岩下 お互い楽曲にサプライズがあるイメージはありますね。
関 サプライズは自分たちもすごく意識しています。ライブでも音源でも、お客さんを裏切りたいという気持ちは常に持っていて。例えば僕らのことを追いかけてくれているお客さんに、連続で同じライブは見せたくないというか。ライブに来るたびに新しい経験をしてもらえるようなパフォーマンスは心がけてますね。
──内田さんもよく「ひっくり返したい」と言ってますね。
内田 ひっくり返したい理由は、自分がひっくり返されたからなんですよね。俺はレッチリ(Red Hot Chili Peppers)に食らってから音楽をディグるようになったから、その気持ちをみんなにも体験してほしくて。
長谷部 僕らは楽器を鳴らすだけの人間ではないと思っているので、サプライズ性やエンタテインメント性を含む表現をしていきたいです。
岩下 僕はお笑いが好きなんですけど、お笑いもサプライズじゃないですか。立つステージが違うだけで、アートってサプライズであることが多いと思うし、僕がカッコいいと思うものはそこが共通しているんですよね。
メンバーそれぞれの役割
──ニガミのライブでは、平沢さんのパフォーマンスもインパクトがあります。
岩下 シャ乱Qで言うところのたいせいです。
内田 ははは(笑)。
関 「シャ乱Qで言うところの」って例え初めて聞きました(笑)。
平沢 なんでも認めてくれたメンバーの存在が大きいです。初めてステージに立ったとき、岩さんが「好きにしていいよ」と言ってくれて。曲中に演奏しなくていいんだと思えて、それから好きなことを追求していくうちにこうなったというか。私は音楽より役者をやっていた時間のほうが長いので、ライブ中はどうやったらお客さんと一緒に楽しめるのかを意識してますね。
──イザキさんはバンドのアティチュードの部分で、何か思うところはありますか?
イザキ 2人がズバ抜けて尖っているので、僕はその尖りが楽曲に馴染むように出せればいいかなと思っています。
──トリートメントする役割なんですね。
岩下 この3人は自分に足りないものも補い合える関係性だと思う。あくびは楽器やコードのことはあまりわからないけど、ライブにおける目の動きや、お客さんに届けるための意識の面では役者で培った能力があるから。もしかしたら音楽性のトリートメントがタツルボーイで、ライブのトリートメントがあくびなのかもしれないです。
──Kroiも5人のキャラクターがはっきりしている印象があります。
関 そうですね。ボーカルの怜央が曲の大元を作って、キーボードの千葉がアレンジやミックスを担当していて。僕や悠生はグッズを考えたり、バンドの方向性をプレゼンして、益田は圧倒的におちゃらけキャラでKroiのアイコンになってくれています(笑)。普段から一緒にいる時間が長いので意思の疎通がしやすいですし、5人がそれぞれの分野でバンドに影響を与えていると思います。
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