Kroi 対バンツアー「Dig the Deep」開催記念インタビュー第1弾|どんぐりず&韻シストと語る、バンドの魅力 / 創作におけるアティテュード

Kroi(関将典[B] / 益田英知[Dr])×韻シスト(Shyoudog[B]、TAROW-ONE[Dr])インタビュー

Kroiと韻シスト、お互いの印象

──今回は両バンドのリズム隊の皆さんに集まっていただきましたが、そもそも面識はあったんですか?

関将典(Kroi / B) 7月にイベントで韻シストさんと対バンさせていただいて、お会いしたのはそのときが初めてですね。機会があったら僕らの企画にも出ていただきたいと思っていて、今回オファーさせていただきました。

──ShyoudogさんとTAROW-ONEさんは、Kroiに対してどんな印象を持っていましたか?

Shyoudog(韻シスト / B)

Shyoudog(韻シスト / B) カッコいいですよね。バンドでラップする人たちって昔からいて、90年代はLAとかでもめちゃくちゃ盛り上がってたんですよ。ただ楽器とヒップホップのカルチャーが少し分かれているというか、強引につながっているイメージだったんですよね。Kroiはそこの消化の仕方がすごいなって思います。

TAROW-ONE(韻シスト / Dr) うん、自然にできている感じがするよね。

Shyoudog 5lackくんとかBIMくんのもう1個次の世代の感じがするし、なおかつ歌がバリうまいから。嫉妬の嵐やな?

TAROW-ONE サウンド作りについて、聞きたいことがいっぱいあります(笑)。

──逆に関さんと益田さんは、韻シストの音楽をどんなふうに聴いていましたか?

 大学の頃から「STUDIO韻シスト」(※2016年にYouTubeで配信された動画コンテンツ)を観ていたんですよ。当時はベースを始めたてだったので、楽器の音よりもサッコンさんとBASIさんのラップのほうに目がいっていて。今回の対談が決まって改めて「STUDIO韻シスト」を見返したんですけど、自分がベーシストとしての経験を積んだからか、当時は気付かなかったプレイの面白さを発見したり、圧倒的なグルーヴ感にやられました。

益田英知(Kroi / Dr) 僕は大学の頃にヒップホップにハマって、90年代のSnoop DoggやDr. Dreあたりの音を、イカついなあと思いながら聴いていたんです。で、日本にもそういう音楽ないかなと思って探していくうちに韻シストさんに出会って。カウンターカルチャーの精神が出ている音楽だと思いましたし、日本にもこんなバンドがいるんだって思いました。

TAROW-ONE ありがとうございます。

Shyoudog 今日はいい酒が飲める(笑)。

 「STUDIO韻シスト」もお酒飲みながらやっているのに、音楽のよさを表現していてすごいなと思います。アットホームな環境でもバチッと決めるところがカッコよくて、僕はそういうアティチュードにもシンパシーを感じていました。自分たちが楽しむことでお客さんに音楽の面白さを伝えていると思いますし、内々の楽しさを周りに広げていく感覚に共感しています。

天邪鬼なメンタリティ

──さまざまな音楽をミックスして、カッコいいものを提示しているという点も両者の重なるところかなと思いました。

Shyoudog 天邪鬼やなっていうのは、自分らでも思います。で、Kroiにもそれを感じる(笑)。

 はい、天邪鬼なメンタリティしかないです(笑)。

益田 それは制作でも常に意識しています。例えば新作の「nerd」だと、「Rafflesia」はドラムンベースをキーワードに作ったんですけど、ただやるだけだと二番煎じになってしまうから、どういうふうに新鮮なKroiの音楽として聴かせるか、そこをみんなで話し合って工夫しました。

将 僕らはいい悪いより、面白いか面白くないかを意識していて。

TAROW-ONE 素晴らしいね! 僕らもどんなサウンドメイクをしたいか、そのときどんな遊びをやりたいかを意識してますね。例えば「Come on」という曲のイントロは、カントリーっぽい元ネタを自分たちで作って、それをサンプリングするという遊び心からできました。つまり、ベースやドラムをどうしたいかということよりもアイデアが勝るときも多くあるという感じです。

──なるほど。

TAROW-ONE あと自分が褒められたら、Shyoudogを褒めているのかなと思っています。

──音は独立して存在しているわけではない、ということですね?

TAROW-ONE(韻シスト / Dr)

TAROW-ONE そうそう。なので逆にベースがいいって言われたら、心の中で「それは俺のおかげやで」と思ってる(笑)。ベースとドラムの関係性って、そういうことなのかなって思います。

 Shyoudogさんは変わった音を出すというより、素のいい音を出している印象があります。

Shyoudog シールドを通すと意味がなくなってくるんだよね。で、僕のシールドは人に作ってもらった特注品だから。直で行くしかない、みたいな。選択肢が1つしかないねんやって感じです。

TAROW-ONE 作ってくれた人へのことを考えると、それを使わない手はないから。人と人とのつながりのほうを大事にしている感じだよね(笑)。

Shyoudog あと、僕は音源はそんなにこだわってないから、作品がよくなればそれでいいんですよね。ベースを弾いたほうがよくなると思って弾くことが多いんだけど、弾かなくてもいいくらいに思っているから。

 音源は打ち込みでもいいってことですか?

Shyoudog 全然OK。

TAROW-ONE もうこだわりとかないねんな。

ライブを拝見させていただいたんですけど、アンプ自体もキャビネットが15インチで1発か2発の小さめのものを使ってましたよね。

Shyoudog 音ちっさいって言われんねんけど、ドラムの口径もちっさいし、ちっさい音を作って、それに合うアンプで行きたいと思っていて。最近むっさええのを手に入れたので、Kroiとのライブはそれでいこうかな。

 うわあ、それめちゃくちゃ楽しみです。僕は機材が大好きで、自分も最近新しいアンプを手に入れました。

韻シスト

──両者新しいアンプで出ることになりそうですね。

益田 ドラムで言うと、TAROW-ONEさんが口径が小さいバスドラムを使っているのがすごくいいですよね。自分も口径を落としたやつを使いたいと思いつつ、どうしてもローに限界があるなと感じていて。

TAROW-ONE 僕は小口径を使うことで、ベースとの帯域の違いを意識してやるようにしてる。ブーンバップのビート感って、ベースの帯域よりもキックの帯域の方が上にあるので、どちらかと言うと30とか40の下はベースに任せるかな。そこでどうしても欲しいとなったら、トリガーでキック足したりしてもいいと思う。まあ、それやったらなんでもありになっちゃうねんけど。


2021年12月1日更新