KREVAがニューシングル「Fall in Love Again feat. 三浦大知」を12月23日にリリースした。
新型コロナウイルス感染拡大により2月から予定していた全国ツアー「KREVA CONCERT TOUR 2019-2020『敵がいない国』」のホール編、アリーナ編が全公演無期限延期となるも、無観客ライブの開催やPUNPEE、ZORN、tofubeatsの楽曲への参加など、活発に動き続けてきたKREVA。盟友・三浦大知を迎えた「Fall in Love Again」は“コロナ禍を乗り越えて、また一緒に集まろう”というファンや仲間への思いをラブソングとして表現した楽曲で、9月08日の“クレバの日”に配信されたオンラインフェス「908 FESTIVAL 2020 ONLINE」のラストでも披露された。またシングルのカップリングにはZORNと共に“理想”を力強くラップするコラボ曲「タンポポ feat. ZORN」も収録されている。
本作に込めた思い。KREVAから見た三浦大知、そしてZORNという存在。コロナ禍の中でも絶えず活動を続けた2020年という1年。そのすべてをKREVAに聞いた。
取材・文 / 内田正樹 撮影 / 笹原清明
スタイリング / 藤本大輔(tas)
衣装協力 / TROVE(03-3476-0787)
合宿ではなく“独宿”
──独自のYouTubeコンテンツや「908 FESTIVAL 2020 ONLINE」の配信、そして楽曲のリリースと、2020年のKREVAさんはコロナ禍の中でも活発に活動してきたという印象があります。
そうですね。でもそこはPUNPEE、ZORN、tofubeatsにフィーチャリングで呼んでもらえたからでしょうね。それが4割ぐらいは停滞しなかった印象につながっているんじゃないかと思います。
──今年の2月後半、政府からライブの自粛が要請されたあたりは、どんな様子でしたか?
ツアー初日に向けてステージも組んで衣装も着た状態でゲネプロをやっている最中に政府の発表があって。「敵がいない国」というツアーの内容的にも無理だと判断して「やめましょう」と言いました。
──その後、ツアーが行われるはずだった2月29日に東京・LINE CUBE SHIBUYAで無観客ライブを行いました。
そうですね。世の中の状況を見ながら、会社の思いや自分の思いを擦り合わせてライブをしました。
──コロナ禍という状況に対しては、率直にどんな感想でしたか?
ひと言で言うなら「もうしょうがない」って感じだったと思います。それについてどうこう思ったとかではなく、「ツアー全公演、無期限延期」ってなったら、すぐに「どう皆に楽しんでもらおうかな」という方向に頭が切り替わっていました。大ちゃん(三浦大知)とはその前くらいから連絡を取り合って「この先どうする?」というやりとりもしていたんですけど、それは大ちゃんも同じだった。その互いの意識がこの「Fall in Love Again feat. 三浦大知」という曲に直結したという感じでしたね。まずは大ちゃんから「曲を作ったりInstagramでライブしたり、ぜひ一緒に何かやりたいです!」と声をかけてくれて。本当にうれしかったです。
──お二人はこれまで「Your Love feat. KREVA / 三浦大知」(2009年)、「蜃気楼 feat. 三浦大知 / KREVA」(2011年)、「H♡PE」(2011年)、「全速力 feat. 三浦大知 / KREVA」(2014年)、「Rain Dance MIYAVI vs KREVA vs 三浦大知 / MIYAVI」(2018年)と5度にわたってコラボ曲を発表しています。KREVAさんにとって三浦大知さんは本当に大切な盟友ですね。
はい。声をかけてくれた次の週には一緒にインスタライブをやって、たくさんの人がすごく喜んでくれたのも俺の中ではかなり大きかったです。コロナ禍になる前からホールツアーに向けてYouTubeの動画を作り始めていたから、俺はYouTubeの生配信をやっていこうとも思えました。大ちゃんとはもう十何年も毎年必ず人前で一緒に歌ってきて、いつでも一緒にリリースしようと思えばやれたのかもしれないけど、それが結果として2020年を締め括るタイミングでの作品になったこともうれしいです。
──KREVAさんはYouTubeでビートメイクのプロセスを配信されていましたね。
コロナ禍前からやってみたかったんで。ビートメイクの流れを教えていく様子を通じて、みんなとつながれたら面白いかなって。動画を作るとか配信するとか、自粛期間は自分のデジタル的なスキルがものすごく上がったと思います。2020年の収穫です。
──今春のステイホーム期間は合宿や自主練のような時間を過ごしたアーティストも多かったようですが。
“合”はしていないから“独宿”ですね(笑)。俺、家で作った曲をリリースしたことは、今までほぼないんだけど、「Fall in Love Again feat. 三浦大知」のトラックも「タンポポ feat. ZORN」のトラックも家で作りました。でも、外に出られないから必然的に家で曲を作り出したという感じで、余裕もまったくなかったですね。ちょっと外出しても帰ってすぐ除菌だし、ずっと部屋にいるから家の雰囲気にも左右されるし。「家でもできるな、まあできる。けどさ」って感じですね(笑)。
曲を作っている時間はすべてを忘れられる
──「Fall in Love Again feat. 三浦大知」は、いつ頃から着手したんですか?
トラックを作ったのは3月。大ちゃんに5曲ぐらい送った中で、2人して一番やりたいと一致したトラックがこれだった。自分の最近のビートメイクの流れとして、「1曲いいのを作りたかったら、とにかくたくさん作ればいける」みたいな流れがあるので、とにかく毎日作り続けて、その中でできた1曲だった。やっぱり作り続けることからつかめることって確かにあって。
──ということは、春先から現時点までに限ってもすでに膨大なトラックができ上がっている?
例えば、その日に作ったトラックを1日寝かせて、次の日にリメイクする場合もあるから、丸々何カ月分というわけでもないです。一種のグレートエスケーピズムというか。おそらく最良の逃避なんでしょうね。仕事という感覚もないし、曲を作っている時間は本当に楽しい。すべてを忘れられるから。
──セラピー的な部分もある?
というよりもバリアを張っているんじゃないですかね。そうなりたかったんだとも思うし。でもネガティブな感じはなかった。途中からは「これ、いっぱい作れるな」という感じで。本当に独宿でした。
──三浦さんとのキャッチボールはどのように?
基本は順を追ってリモートで。トラックが決まってテーマを考えたとき、「またみんなと会える」という思いを「Fall in Love Again」と恋愛に例えて書こうと思いました。歌詞を書いて、大ちゃんに渡して、それが返ってきてレコーディングしたのが8月という流れでした。最初のイメージでは俺のラップがあって大ちゃんの平歌があってからのサビ、大サビみたいなイメージだったんだけど、大ちゃんから「KREVAさんが作ったサビでいきたいので、自分は最後の大サビを書いてみます」と言ってきてくれて。一緒に話し合って決めたというよりも、かなり自然な流れで決まりましたね。