周年のご褒美でロンドンへ
──「音色」はロンドンでミュージックビデオを撮られていますよね。撮影場所をロンドンに決めた理由は?
音を探して歩き回っているような画が頭の中で浮かんで。「日本ではない、ヨーロッパっぽい感じなんだよな」と話していたら、周年のご褒美もあってロンドンに行けたんです。「ラッキー!」という感じでした(笑)。
──アルバムの初回限定盤にはそのメイキング映像と共に初の写真集が付属するそうですね。
これがめっちゃいいんですよ! 初回限定盤はパッケージの仕様もよくて。ちなみにパッケージに写っているこの機材、俺が自腹切って、この撮影用にカスタムしてもらったんです。買ってもらえるなら初回限定盤が推しです。間違いない!
──案外、と言ったら失礼ですけど、KREVAさん、ロンドンの街並みが似合いますね。
よかった! まあ曲の雰囲気もそう見せてくれているとは思うけど(笑)。
──思えばKREVAさんとの会話において、「海外のあそこへ行きたい」みたいな話題はあまり上がらなかったですよね。
そう言えばなかった。でもロンドンがいい刺激になったから、今後もどこかに行きたいですね。
認知度と聴いてくれている率がシンクロしていない
──15年間の活動の間には、KICK THE CAN CREWの復活もありました。それを考えると、KREVAさんの15年のキャリアは決して平坦ではなかったと感じられますが。
あの、KICK THE CAN CREWからのフィードバックって、ソロにはあまりないんですよ。3人でワーワーやる楽しさをつかめたというだけで。ただ、それは、昔はなかった、新しいワーワーとした楽しさなんですけどね。一緒にいてもストレスとかまったくないし。KICK THE CAN CREWがある一方でKREVAがあるとか、そういう対比も考えませんね。ただ、KICK THE CAN CREWは復活発表の1年前からずっとスタジオに入って準備してきたので、いいタイミングでドンッといけた。そういう意味では、前もってより多くのタイミングを捕まえて、録れるときに録るという経験則は自分の活動にも生きているかもしれない。
──KREVAさんは言うまでもなくセルフプロデュース力に長けていると思いますが、例えばプロデューサー・KREVAがラッパー・KREVAを俯瞰で見ているといった“別人格”みたいな印象を感じさせないですね。
ない!(笑) そういう意味ではまったくの素ですね。けっこうノリで思ったことを言って、それをスタッフがちゃんと覚えてくれていて先に進む感じだし。計画よりも自分のアンテナがキャッチしたものに向かってきたと思う。そのせいで、なかなかまっすぐに進めない局面もありますけどね(笑)。
──今ご自身が立っている地点からは、どういった“眺め”が見えていますか?
最初の話題にも関わりますけど、「みんな俺のことを知っている。だからと言って、今その全員が俺の曲を聴いているわけではない」かな。認知度と実際にリアルタイムで聴いてくれている率がシンクロしていない気がして。そこがきれいにハマると、もっと偉くなってきた感じがするんじゃないかなって。
──それは現在、ある種のジレンマでもある?
そうですね。「中学の頃、めっちゃ聴いてました!」もうれしいけど「いや、今も聴いてください」という。なぜなら今のほうがいいからね。実際、本当に「聴いていた」と面と向かって言う人がいっぱいいる事実には驚いていて。
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子育て世代を俺は待つ!