ライブではみんながパリピになっていた
──「Take off with me」は、端的に言えば誰かを励ますタイプの歌だと思われますが、押し付けがましくないのがいいですね。
だとしたらうれしいです。今までの曲も、別に押し付けてるつもりはないんですけど、「こういうふうに励まされたら私は元気になるが、そうじゃない人もきっといるよな」という思いもあったので。「save my world」が自分の中の芯を通していくイメージだとしたら、「Take off with me」はある意味、軽いノリで逃避を促すようなイメージです。
──ボーカルスタイルも対照的ですよね。
そうですね。「Take off with me」はそれこそ力を抜いて歌う方向でプランを立てていましたし。私の曲って、特にロック寄りの曲は「save my world」みたいに力を120%込めることが多いんですけど、「Take off with me」は60~70%ぐらいで歌うとちょうどいい感じで、冒頭の「Uh... Take it easy, Take off with me」のあたりもけっこうフェイクを入れたり。これは「emotion」のツアーで、同じ曲を毎回違うニュアンスを付けて歌ったことが糧になっているというか。特に「feel in my heart」をライブで歌うときは意識的に歌い方を変えていたので、そのテイストをCDにも入れられたかなと思います。
──そのライブでは、ダンスナンバーのときは会場がダンスフロアのようになっていましたよね。
ありがたいことに、みんながパリピになってましたね(笑)。私の曲たちは、これもありがたいことにライブでより華やかになってくれるので、「save my world」と「Take off with me」も早く生で聴いてもらいたいです。
──寿さんのダンスにも期待していいわけですよね?
はい。Miuさんが考えてくださった振り付けは、踊れば踊るほど「なるほど!」と思う振り付けになってるんですよ。「曲によって感情がこう動くから、自然とこの振りになるよね」みたいな。その感情と振り付けがリンクしてる感じがすごく心地よかったし、ライブに向けて練習を重ねればその快感も増すと信じているので、楽しみにしていただきたいですね。
2019年は自分を疑っていく年にしたい
──2018年はスフィアが充電していた年でもありますが、それも踏まえて、寿さんにとってどういう年でしたか?
うーん……個に立ち返る年だったというか、自分自身と向き合い続けた1年でしたね。やっぱりユニットとして音楽活動をしているときはチームの一員として、そのチーム全体が円滑に回るように行動していたところがあって。でも、個人でいる時間はそれを意識しなくてもいいし、意識しなくなった結果、私はほとんど無意識にチームの一員として行動していたことにも気付けたりして。だからそれこそ「save my world」な1年でもあり、自分の世界を大切にして……あ、別にスフィアが私の世界を侵してたわけじゃないですよ(笑)。
──わかってます(笑)。
そうやって自分の世界を大切にしつつ、自分の目標や夢が叶った1年でもありました。ちょうど昨日も、ずっと憧れていた外国人のダンサーさんが来日されていて、そのレッスンを受けることができたんです。もちろん3年半ぶりにアルバムを出せて、それに伴うツアーができたことも2018年に達成できた大きな目標の1つです。
──2019年はこの「save my world」でスタートを切るわけですが、スフィアも再始動しますね。
スフィアに関しては、あんまり充電してる感覚はなかったんですけど。
──それ、皆さんおっしゃいますね。
何かしら動いてたので(笑)。でも、自然と「ただいま」っていう気持ちも湧いてきますし、再び皆さんの前に立ったときに、変化を見せたいと充電中はずっと思っていて。実は「emotion」のツアーで初めて得た感覚があって、それは最後の曲まで歌い終わっても「あと2、3曲はいけるな」っていう感覚なんです。決して手を抜いていたわけではないのに、むしろ最初から全力だったのに、4公演ともそうなったんですよね。だからこの感覚がスフィアでも得られるのかどうか、すごく楽しみです。
──寿さん個人としては、2019年はどんな年にしたいですか?
2019年は、いい意味で自分を疑っていく年にしたいと思います。私って、例えば外食するときとか、いつも同じものを頼んでしまいがちなんですよね。だから冒険を避けているというか、いつもと違うものを頼んで失敗したくないっていう。でもそれって、いつも食べてるものよりおいしいものを逃してる可能性もあるんですよね。
──先ほどお話に出た「Ambitious map」や「save my world」と通じる部分もありますね。予定調和を崩すみたいな。
そうなんですよ。もちろんルーティンも必要だし、ルーティンのほうが合理的な場合もあると思うんです。でも、あえてそこから外れることでよりクリエイティブになれる部分もあるはずで。例えば私は、外食とは対照的に、毎朝お洋服を選ぶのが超好きなんですよ。その意味では私はスティーブ・ジョブズにはなれないんですけど(笑)。
──毎日黒のタートルネックとジーンズではいられない(笑)。
そうそう。もちろん自分にフィットする服装やサイズを知っていればあれこれ悩む必要はないし、そうやって節約した時間や労力を別のところで生かせるわけですよね。でも、私にとってお洋服選びは時間や労力を割くべきポイントなんですよ。そうやっていつもの自分を疑って壊しつつ、再構築していく1年にしたいです。
- ツアー情報
LAWSON presents 寿美菜子 One day show up #1 -
- 2019年5月5日(日・祝) 東京都 Zepp Tokyo