寿美菜子が1月17日に3年4カ月ぶりのニューアルバム「emotion」をリリースする。アルバムには2015年4月発表のシングル「black hole」から2016年12月発表のシングル「ミリオンリトマス」までのカップリングを含めた8曲のほか、6曲の新曲が収録されている。
今回寿は作詞に初挑戦し、そして新曲すべての歌詞を手がけた。ダンスチューンからロックナンバー、バラードまでそろった楽曲には、彼女のどのような思いが込められているのだろうか? 6曲すべてを彼女自身の言葉で解説してもらった。
取材・文 / 須藤輝 撮影 / 塚原孝顕
スフィアの充電期間は自分自身を見つめ直すきっかけに
──アルバムのお話の前に、昨年11月に幕張メッセイベントホールで開催された、スフィアの充電期間突入前のラストライブ(参照:「スフィアを好きになってくれてありがとう」笑顔で“充電期間”前ラストツアーに幕)についてお聞きしてもよろしいですか?
はい。ひと言ではなかなか言い表せないんですけど、やっぱり私はスフィアという場所を通してたくさんの人たちと出会わせてもらったんですよね。それが今の私を作ってくれたし、現場のスタッフさんからお客さんの1人ひとりまで「みんなが“We are SPHERE!!!!!”だよ」という思いを伝えられたので、ホントに「楽しい」と「ありがとう」という気持ちしかないライブでした。
──約4時間、ダブルアンコールも含めてたっぷり24曲披露されましたね。きっとお客さんも寿さんと同じ気持ちだったと思います。
あそこで見た景色は絶対的な真実だなって思います。これからもあの景色を忘れることはないし、充電期間を終えたらまたあの場所に立ち戻れるんだという幸せも感じましたね。
──スフィアが充電期間に入ったことによるソロアーティスト寿美菜子への影響はありますか?
ちょうどスフィアが充電期間に入る前のタイミングで「emotion」を作り始めていたんです。なので制作していたのは充電期間前なんですけど、向き合わなくてはいけない事実としてそのことは常に念頭にありました。自分の人生を占めるスフィアの割合が一旦減る中で、じゃあ寿美菜子のカラーをどうやって打ち出すかということを考える時間もできましたね。そうやって自分自身を見つめ直すきっかけをくれたかなと思います。
作詞は役作りに似ている
──そして「emotion」が完成したわけですが、新曲を6曲収録するだけでも大変ですよね。なおかつ6曲すべての作詞を手がけたのは、どういう流れで?
作詞をするという提案は、私からさせてもらいました。「emotion」は3年4カ月ぶりのアルバムということもあり、私を含めた制作チームみんなの欲が詰まっているんです。全14曲という過去最多の収録曲数になったのも、“たっぷり”な印象が届けばいいなという思いがありました。その中で私も「可能なら1曲だけでも詞を書きたいです」と。そしたらディレクターさんが「じゃあできあがった曲から順番に、当たって砕けろという気持ちで全曲トライしてみよう」と言ってくださって。締め切りを設けて、それまでに書けないようであれば作詞家さんにお願いするなり、またそこで判断しましょうということになったんですけど……。
──6曲すべて書けてしまった、ということですね。
はい。ビギナーズラックっていうんですかね?(笑)
──いやいや(笑)。6曲の中で最初に書いたのはどの曲ですか?
6曲目の「I wanted to do」ですね。
──この曲は曲調としてはR&Bテイストのあるアッパーなダンスナンバーですが、歌詞は切なくて、ひと言で言えば失恋の歌ですよね。
そうですね。まずデモを聴かせていただいた段階から、たぶんこの「I wanted to do」が新曲6曲の中で一番かわいい曲になるんじゃないかなという予感があったんですよ。だったら歌詞もかわいい女の子をモチーフに書きたいと思ったんですけど、自分の中からかわいい要素をどうやって抽出すればいいのかわからなくて(笑)。
──ははは(笑)。
あとやっぱり初めての作詞だったから、ストレートにかわいい女の子を描くことに対する照れも多少はあった気がします。でもあるとき、ふと「失恋した女の子もかわいいな」と思ったんですよ。ちょっと痛みを伴ってるくらいのかわいさだったらバランスが取れるかもしれないなって。そこから闇雲に書いてみて、ディレクターさんに赤ペン先生のようにチェックしていただき、「作詞というのはね……」という説明もしてもらいましたね。
──事前にそういった説明もなく、いきなり書き始めたんですか?
ざっくりとは説明していただいたんですけど、ディレクターさんもとりあえず書いてみてもらってレベルを見たかったんでしょうね(笑)。作詞講座と、数日間にわたる「先生、書けました。見てください」というやりとりを通じて、作詞って役作りと似てるなと思いました。つまり「自分がこの曲の主人公だったら、こんな表情や振る舞いをするかな」というのがビジュアルとして見えたんです。特に「I wanted to do」はそれが顕著で、その表情なり振る舞いなりを切り取るような形で詞を書きましたね。修正してもらった箇所もありますけど、言葉自体はわりとすらすら出てきたかもしれないです。
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曲によって変化する、“自分の色“の濃淡
- 寿美菜子「emotion」
- 2018年1月17日発売 / ミュージックレイン
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初回限定盤 [CD+DVD]
3600円 / SMCL-524~5 -
通常盤 [CD]
3100円 / SMCL-526
- CD収録曲
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- Ambitious map
- ミリオンリトマス
- Bye Bye Blue
- LOVE JOY FUN
- アンブレラ・アンブレラ
- I wanted to do
- Candy Color Pop
- Sun Shower
- black hole
- “YES”
- タイムカプセル
- feel in my heart
- Another Wonderland
- Piece of emotion
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 「Ambitious map」 Music Video
ライブ情報
- 「LAWSON presents 寿美菜子 Zepp Live Tour 2018“emotion”」
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- 2018年5月13日(日)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
- 2018年5月20日(日)愛知県 Zepp Nagoya
- 2018年5月26日(土)大阪府 Zepp Namba
- 2018年6月3日(日)東京都 Zepp Tokyo
- 寿美菜子(コトブキミナコ)
- 1991年9月17日、兵庫県生まれの声優 / アーティスト。2009年にテレビアニメ「けいおん!」で主要キャラクターの1人、琴吹紬を演じ注目を集め、2010年に同じミュージックレインに所属する豊崎愛生、高垣彩陽、戸松遥と共にユニット・スフィアを結成した。同年9月にシングル「Shiny+」でソロデビュー。2012年には1stアルバム「My stride」を携え、初のソロツアー「First Live Tour 2012 “Our stride”」を行った。その後もソロ、そしてスフィアとして幅広く音楽活動を行い、2018年1月に作詞に初挑戦した3thアルバム「emotion」をリリース。5月にライブハウスツアー「LAWSON presents 寿美菜子 Zepp Live Tour 2018“emotion”」をスタートさせる。