コラボだからこそクリスマスソング

──そんな2人が今回コラボすることになった経緯は？

近藤　仲よくなってから、ちょくちょくダイスケの家で一緒にギターを弾いて歌ったりしていたんです。完全に遊びですけど。そんなことを数年続けていたら、そういう2人の関係を知ったレコード会社の方から「CDのリリースを目的に一度曲を作ってみたら？」と提案をいただいて。

ダイスケ　完全にそれに背中を押された形ですね。でも面白そうだったし、2人共二つ返事でOKして。

近藤　最初の打ち合わせは確か7月上旬だったかな。まずはレコード会社の方と一緒に話をして、僕たち2人はそのまま会議室にこもって「クリスマスチキン」のサビのメロディを作り始めて。決まってからはかなりスピーディだった。

──なぜクリスマスソングにしたんですか？

近藤　それは単純にリリースが秋頃になりそうということだったので。でも僕は最初、ちょっと嫌だったんですよ。シーズンものは歌える期間が短いし、せっかくコラボするのにすぐ歌えなくなるのはどうなのかなって。でもダイスケは「逆にコラボみたいな企画じゃないと自分ではクリスマスソングを書かない」って言ってて。

ダイスケ　そうなんです。僕の中では、コラボという特別な機会だからやれることというか。確かに披露できる時期は短いけど、このシーズンの恒例みたいにして歌っていくこともできるし、いい機会なんじゃないかなって思ったんです。

──サビのメロディが会議室でできてからは、どのように制作していきましたか？

近藤　サビ以外はとりあえず尺とコードだけ決めて、お互い自由に作ったものを持ち寄ろうかって話になって。

ダイスケ　基本はデータのやり取りで進めていきました。最初に、こんちゃんのほうからAメロが送られてきたんですよ。それに対して僕は「これを裏切ってやろう」みたいな感じで、全然違うトーンのメロディを送って。

近藤　結果、それぞれが歌ってるところがそれぞれの作ったメロディなんですけど、僕の書いた1番のAメロは低くてボソボソしゃべるようなトーン。それがダイスケのパートになると急に声を張った感じになって。最初は「同じ曲かな？」っていうくらいのテンションの差を感じたんですけど、そのつながってないようでつながってる感が面白いし、リスナーの方にも新鮮に聴いてもらえるんじゃないかなって。

ダイスケ　同じAメロの中でも、僕とこんちゃんのパートではメロディや雰囲気が全然違いますね。

2人で歌ってる感を出したかった

──歌詞の世界観も2人で決めていったんですか？

近藤　そうですね。歌詞について話しているとき、「クリスマスを嫌いになっちゃうくらいクリスマスから置いていかれてる曲にしよう」っていう案が出て。

ダイスケ　クリスマスでハッピーな曲を歌ってもねえ（笑）。

近藤　僕らの耳に残ってるクリスマスソングも、そういう切ない系の曲が多いんですよ。

ダイスケ　時代を超えて聴かれている名曲だけど、それこそ山下達郎さんの「クリスマス・イブ」とか稲垣潤一さんの「クリスマスキャロルの頃には」も……。

近藤　決してハッピーではないよね。だから、どちらかというとにぎやかで楽しいよりは切ないほうの歌詞に共感するし、今回も1人ぼっち的な部分を推していきたくて。ただあまり真面目すぎてもなっていうところで、なぜか鳥肉が入ってきちゃった。

ダイスケ　お肉のチキンと、チキン野郎のチキンがかかった歌詞になってます（笑）。

──レコーディング時のエピソードや歌の化学反応についても聞かせてください。声質の大きく異なる2人の歌声が、どこか寄り添うように聞こえてきたのが印象的でした。

ダイスケ　ありがとうございます。最初に聴いたときは「今どっちが歌ってるんだろう？」ってわからなくなることもありました。最初は2人の声が合うのか心配だったんですけど、思いのほか相性はよかったのかなって。

近藤　サビのユニゾンは「うわー！」って圧倒される感じというか、ボリューム感があるよね。1人で歌ってても絶対出せない厚みのような。

ダイスケ　あと今回はコーラスもかなり多めに入れてて。

近藤　尋常じゃない本数だよ。でもどちらか1人だけが歌うというより、主旋が俺ならダイスケはコーラス、ダイスケが主旋なら俺はコーラス……って、今回はずっと「2人で歌ってる」感を出したかった。そのせいで主旋の声が少し濁ったとしても、ハモリの音量を落とすことはしなかったね。

──MVも、コラボならではの面白い仕上がりになっているそうですね。

近藤　2人一緒のシーンはほとんどないんですけど、僕が東京スカイツリー、ダイスケが東京タワーをバックに歌っているところは注目してほしいですね。

ダイスケ　あと2人が唯一すれ違うシーンもぜひ観てほしい！

近藤　上野の交差点で一瞬だけすれ違うシーンを撮ったんですけど、青信号の時間が30秒くらいしかなくて。しかもゲリラ撮影だったからすごく大変だった。

ダイスケ　結果、2時間くらいかかったよね。スタート位置や歩幅を調整して、タイミングが合うまでひたすら「すれ違う」を繰り返すっていう（笑）。

近藤　僕のCDに付いてくるMVとダイスケのCDに付いてくるMVとで、そのシーンだけカメラの視点が違ってて。2つを観比べてもらっても楽しいかなと思います。