ナタリー PowerPush - 近藤晃央
永遠に途上にある僕が今いる、ここ“らへん”
自分の現状はいつもわかりやすく歌詞に出ている
──カップリング曲「3度目の告白」は「らへん」とは対照的なみずみずしいナンバー。シングル全体のバランスを考えて作られたのですか?
そうですね。毎回カップリングはリード曲のあとに作るんですけど、今回も「らへん」に続くナンバーということを意識して。「らへん」のように互いを尊重し合えるところにたどり着く前の話。もう少し一方的な自分の気持ちを書いてみました。ただ「らへん」も含め、今まではわりとリアルタイムで感じたことや目の前で起きていることを曲にしていたんですけど、「3度目の告白」は僕がもっと若かった頃のことを歌っていて。それをまず思い出すという作業から作詞・作曲を始めました。だからシチュエーションはちょっと若々しいし、みずみずしく感じていただけたのかなって思います。
──昔の恋愛や、その当時の気持ちを思い出したんですか?
はい。「らへん」ってまったく名詞が出てこないんですけど、「3度目の告白」は記憶の中にあるいろんな光景をそのまま書いていて。僕、ここまで具体的な詞を書くことってあまりないので、自分自身、正直「ちょっと気持ち悪いなあ」っていう気もしていて(笑)。
──なのになぜ「らへん」から時間軸をさかのぼる作品を作ろうと?
単純なきっかけなんですが、「らへん」を聴いた周りの人が「『らへん』にたどり着くまではどうしたらいいの?」って話してるのを聞いたので、それなら時間軸をさかのぼってみるのも面白いかなって。
──「らへん」ではちょっと不器用な恋愛をしている近藤さんの姿が垣間見えましたけど、この曲を聴くと実はロマンチストな一面もあるのかなって思いました。
好きな人と2人きりでいるときはすごくロマンチストですよ。たぶん端から見ると気持ち悪いと思われるくらい(笑)。でも恋愛に発展するまでは圧倒的にモジモジしてしまうタイプでもあって。「3度目の告白」はそうやってなかなか言えない言葉をセリフのように書いてみたんです。
──「3度目の告白」というタイトルは、どういう思いで付けたんですか?
「好き」っていう気持ちには「君が好き」「君を好きな自分が好き」「そんな僕たちが好き」という3つのパターンがあるんじゃないかと思って。歌詞の中では最初の2つの「好き」のことしか書いてないですけど、いずれ3つ目の「そんな僕たちが好き」と言える日を迎えられるといいなっていうイメージです。
──少し話が変わるんですけど、「らへん」や「3度目の告白」もそうですが、近藤さんの書く恋愛ソングってわりと幸せな曲が多いですよね。今後切ないラブソングを作ることってあると思います?
あると思いますよ。そういう曲ができたら「あ、こいつ失恋したな」と思ってください(笑)。僕の歌詞ってけっこう僕の私生活のまんまなんですよ。後悔したことだけじゃなくて、その後悔の中で気付いたこととかも書くから「歌詞の中の出来事はすべて実体験です」というわけではないけど、今後も自分の現状はわかりやすく歌詞の中に出ちゃうと思います。
存在しないバンドのボーカルが始めたソロプロジェクト
──今回のシングルは「らへん」を亀田誠治さん、「3度目の告白」を前のシングル「テテ」も手がけた江口亮さんがプロデュースしています。「シンガーソングライター」というとギターやピアノ1本でシンプルな曲を歌うイメージがある人も多いと思うんですけど、近藤さんの曲って、すごく凝っているし、すごく音で遊んでますよね。これはプロデューサーの意向によるところが大きいんですか?
きっと僕が音楽については雑食な人間という面が大きいからだと思います。もともとパンクをきっかけに音楽を聴き始めて、その後も音数や手数の多い音楽を好きで聴いていて。アコースティックギターはたまたま1人でやれて手軽だからという理由で選んだだけなので。だから僕のことはシンガーソングライターではなくて「存在しないバンドのボーカルが始めたソロプロジェクト」だと思っていただければ(笑)。
──なるほど! バンドでは歌い手に徹するけど、ソロではいろいろ凝ったことや実験もしてみちゃう、みたいな?
そうですね。まあ僕は遊び以外でバンドをやったことはないし、この表現が正しいのかはわからないですけど(笑)。
──いやいや、すごく腑に落ちましたよ。だからサウンドで遊ぶことを熟知したプロデューサーを曲ごとに立てているんですね。
はい。しかも、プロデューサーが違うとサウンドがバラバラになって統一感がないかという、実はそういうこともなくて。やってる人間が同じなら結果として統一感は出るんですよね。
僕という人間が少しでもわかってもらえたら
──6月22日からは初めてのツアーがスタートしますけど、どんな内容にしたいですか?
自分が主催のツアーだからといって、今までのライブと根本的には何も変わらないのかなって。今まで通り1本1本全力で向き合って、あとは初めてライブに来てくれる人に僕という人間が少しでもわかってもらえたらいいなと思ってます。
──ステージではどんな近藤さんが観られるんでしょう?
実際の僕を見るまで、ちょっとクールで真面目そうだと思ってたっていう人がすごく多いんですよ。でも僕、ライブでめっちゃしゃべるんです! 異常なくらい(笑)。もちろん楽曲の世界観はちゃんと伝えつつ、そういう僕自身への先入観はいい意味で壊すようなものにしたいですね。
──じゃあ、MCに期待ということで?
いや、それは書かないでください! ハードルが上がると面白いこと言わなきゃいけなくなるんで(笑)。笑いは意図して取りに行ってるわけではないですから。結果的にドッと沸くこともありますけど、逆にシーンってなることも普通にあるので。でもそうやってお客さんとコミュニケーションを取ったり、イジったり、イジられたりするのは好きなので、アットホームな、楽しいライブツアーにできたらいいですね。
- ニューシングル「らへん」 / 2013年5月15日発売 / DefSTAR Records
- 初回限定盤 [CD] 1200円 / DFCL-2000
- 通常盤 [CD] 1000円 / DFCL-2001
収録曲
- らへん
- 3度目の告白
- らへん -アコースティックver(初回生産限定盤のみ収録)
ライブ情報
「らへん」CD発売記念スペシャルミニライブツアー
- 2013年5月17日(金)
愛知県 アスナル金山 - 2013年5月18日(土)
愛知県 イオンモール名古屋みなと 1Fワールドコート - 2013年5月19日(日)
東京都 タワーレコード渋谷店 3Fイベントスペース - 2013年5月25日(土)
福岡県 キャナルシティ博多 B1Fサンプラザステージ - 2013年5月26日(日)
大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店
※すべて観覧無料
近藤晃央 1st TOUR ~ui ui she~
- 2013年6月22日(土)
大阪府 心斎橋Music Club JANUS - 2013年6月24日(月)
福岡県 福岡ROOMS - 2013年6月28日(金)
東京都 WWW - 2013年7月3日(水)
愛知県 名古屋Electric Lady Land
近藤晃央(こんどうあきひさ)
愛知県刈谷市出身の男性シンガーソングライター。中学生時代にギターを始め、ライブハウスや音楽関係の会社で働いた後、23歳のときにアーティストとして活動することを決意し退社。2009年より楽曲制作に専念し、東京や地元の愛知県を中心にストリートライブを開始。以来着実に活動の範囲を拡大し、2012年には愛知県の学生たちとコラボレーションしたフリーライブイベント「UTAPHICA」を主催し、「ap bank fes’12 Fund for Japan」にも出演する。9月にはシングル「フルール」でメジャーデビューを果たし、12月にはテレビアニメ「宇宙兄弟」のエンディングテーマとなる2ndシングル「テテ」をリリース。そして2013年5月、亀田誠治プロデュースによる3rdシングル「らへん」を発表する。