ナタリー PowerPush - 近藤晃央
「手を離す決意」を歌った注目2ndシングルの世界
寂しいと感じることはマイナスの思考ではない
──2曲目の「かな」は、恋愛のリアルな部分を歌っていますね。
そうですね。恋愛の価値観って男女で全く異なると思うんです。男性は悪く言うと一途でもいい加減で、愛し方が下手。女性はひたむきだとおもうんです。だからこそ、恋愛において2人が会っていないときの過ごし方が違うのではと思っていて。この曲では、その2人が会っていない時間をどう共有するかをテーマに歌いました。
──一聴しただけだと、切ない曲のように感じますよね。
この曲の中で2人は別々の時間を過ごしているから、そう感じるのかもしれないですね。でも、一緒にいないことは確かに寂しいですが、それは一緒にいたいからこそ寂しいと思うわけで……。そう考えると、お互いが寂しいと感じることはマイナスの思考ではないと思ったんです。
──確かに! 女の子としてはこう男性に思ってもらいたいです!
(笑)。
──でも、タイトルが「かな」となっているのが気になります(笑)。
男性として、こういうふうに思ってはいるけど、どこか言い切れない部分があるのが現実だと思うんです。それが“かな”という部分に表れていて。言い切れないことで不安ばかりが目に付いてしまいますが、そこを本来は可能性としてとらえられたらいいなって。言い切ると、逆にさめてしまうと思うんですよね。言い切れない美しさ、断定しないキレイさは実在するもの。こういう感情を少しずつ過去にしていけば、その切なさ、寂しさは2人の大切で確かなものになると思うんです。
──すごいロマンチックですね。
自分で書いておきながら、メッセージがあまりにストレートで恥ずかしかったです(笑)。でも、これが僕の本心。よりリアルな心境を描けたかな、と思っているんです。この曲を聴いて「そう思ってくれているかな」と相手を思い、会いたくなってもらえたらうれしいですね。
──決して悲しい曲ではない、と。
はい。結局一緒にいられないんだよ、という曲ではなくて、相手に会いたくなる前向きな曲と思ってもらいたいんです。
裏方目線を必死でアーティスト目線に変換した
──お話を聞いていると、どんな場面でも、いつも冷静に判断を下しているように感じるんですが、衝動的に動いて失敗してしまう、ということはないんですか?
もちろん、衝動的になることもありますよ。でも、デビューが23歳だったこともあり、ライブハウスで働いていた経験もあるので、ついつい考え方が裏方になってしまうんです。だから無茶なことができないんですよね。でもアーティストの個性として、エゴイストじゃないといけない部分があると思うんです。だからこそ、裏方目線をこの3年で必死にアーティスト目線に変換してきた気がします(笑)。
──小さな頃から何事も考えすぎてしまうタイプだったんですか?
そうですね。例えば、幼稚園の頃から、親の運転する車の助手席に座って「車は制限速度があるのに、なんでそれ以上のスピードが出るんだろう」ってずっと考えていたんですよ。
──それはまた高尚な……(笑)。
そこで出た答えが、同じ100kmでも、100kmしかスピードが出ない車と、それ以上スピードが出る車の100kmは質が違うんだろうと思っていて。だって、人間でもキャパシティが100しかない人が、つねに100でいたら壊れるじゃないですか(笑)。きっと、車も壊れないように、制限速度以上である100km以上出るんだろうなという結果に行き着いたんです。……ホント、どうでもいいんですけどね(笑)。
──そんなことないですよ(笑)。では最後に、今後はどんな曲を作っていきたいか聞かせてもらってもいいですか?
今はアルバムの制作に取り掛かっているんですが、よりいろんな角度からサウンド面を表現していけたらいいなと思っているんです。いろんなサウンドがあると一見ブレた作品集のように感じると思うんですが、その中にはしっかりと芯のある歌がある。そんな作品にしたいと思っているんですよね。これからもその信念を大事に、曲を生み出していけたらと思っています。
近藤 晃央 『テテ(short ver.)』
近藤 晃央 『テテ(フィンガーダンス ver.)』
- 2ndシングル「テテ」 / 2012年12月5日発売 / DefSTAR Records
- 初回限定盤 / 1200円 / DFCL-1958
- 通常盤 / 1000円 / DFCL-1959
収録曲
- テテ
- かな
- テテ - tofubeats remix - (初回限定盤のみ)
近藤晃央(こんどうあきひさ)
愛知県刈谷市出身の男性シンガーソングライター。中学生時代にギターや歌を始める。ライブハウスや音楽関係の会社で働いた後、23歳のときにアーティストとしての活動を決意し退社。2009年より楽曲制作に専念し、東京や地元の愛知県を中心にストリートライブを行う。美しい歌声と優しく温かな楽曲が話題を呼び、2011年には数多くの学園祭ライブに出演。同年には自身の母校、安城学園高校の創立100年目を記念した楽曲「100年後」を制作し、同校の合唱部とともに学園祭でこの曲を披露した。2012年6月には愛知県の学生たちとコラボレーションしたフリーライブイベント「UTAPHICA」を名古屋で開催し、1200人を動員。7月には「ap bank fes’12 Fund for Japan」出演。そして9月にシングル「フルール」でメジャーデビューを果たした。またTOHOシネマズ初の試みとなる「TOHOシネマズメッセンジャー」に大抜擢され、映画館と音楽をつなぐ架け橋として期待されるなど、急激に注目を集めている。12月5日、2ndシングル「テテ」をリリースする。