小松未可子|「ボールルームへようこそ」の世界を鮮やかに彩る、Q-MHzとの意欲作

とにかくドンドコしたいんです

──カップリング1曲目「Pina colada & Caipirinha」は景気のいいジャングルビートで幕を開ける、ビッグバンド風のアッパーチューンです。曲調だけで言えば、こちらのほうがスイングしてますね。

確かにそうかもしれません(笑)。この曲は、Q-MHzの皆さんと「カップリングはどうしようか?」という話になったとき、私が「曲の頭でドラムがドンドコドンドコしている曲を1回やってみたいんですけど……」とざっくりしたお願いをしたのが始まりなんです。

──ドンドコ(笑)。前回のインタビューで「ジャズを掘り下げてみたい」とおっしゃっていたので、その表れなのかなとも思ったのですが。

もちろんそういう要望も伝えてはいました。加えて、自分でいくつか参考楽曲も用意して、それらを汲み取ってくださった結果できあがった曲なんです。私としては「なによりドンドコしたいんです」と言った結果、こんなにカッコいい曲が!と驚きました。

──ドンドコありき。歌詞の内容としては、季節外れの夏の歌かと思いきや、実は夏をエンジョイできなかった女性がピニャコラーダとカイピリーニャという夏のカクテルを飲んで「私の夏はここからよ!」みたいな。

小松未可子

今作のカップリングの2曲は、私自身が二十代後半の女性ということもあり、その年代の女性ならではの口調や視点を詞に落とし込みつつ、素の自分が理想とする、あるいは空想するものを形にしていく作業をしたんです。この「Pina colada & Caipirinha」の作詞は畑(亜貴)さんが手がけてくださったんですが、裏テーマが「旅」で、畑さんは実際に旅先で詞を書かれたそうなんです。一方、歌っている私はバカンスを夢見ている立場で、そういう人の歌にもなっているのが面白いなと思いました。

──僕は歌詞から、忙しくて夏休みが取れなかったOLさんをイメージしたのですが、小松さんも職業は違えど共感する部分が?

はい、あります(笑)。「すべてをほっぽり出してどこかに行っちゃいたい!」みたいな気持ちは、きっと誰しも一度は抱いたことがあるとは思うんです。Cメロの「遠くで3日以上休みたいよね」あたりからのせめぎ合ってる感じも「わかる!」となりますし……それから、この歌詞は、どこか投げやりな部分もあるなと。

──「何も考えないでふっと消えたい ただの自分のことも 受け入れてあげようかな 夕焼け綺麗だし」とか。

そう! そのフレーズが大好きなんです。受け入れてあげる理由が「夕焼け綺麗だし」って、妙に軽い。そこに女子の心の移ろいやすさみたいなものがにじみ出ている気がしたんです。この楽曲の詞をもしも私が書いていたら、たぶんちょっとカッコ付けちゃうと思うんです。だから私からは出てこない言葉なんですが、すごくわかる。そういう意味で、畑さんが私の本音を引っ張り出して代弁してくれたようにも感じました。

「女子は甘さも刺激も求めてるの!」

──その畑さんの歌詞は、歌いやすかったですか?

畑さんの紡ぎ出す言葉が不思議なのは、どんなに歌詞が詰まっていても、口からすらすら出てくるところなんです。だから、歌詞のおかげで歌いやすかったです。とはいえ、ピニャコラーダとカイピリーニャはさすがに言いづらくて、何回も噛んでしまいましたが(笑)。

──ははは(笑)。

サビの「Pina colada & Caipirinhaで」の「&」が曲者でした。「ピニャコラーダン、カイピリーニャ」って歌うのがピッタリ音にはまるんですが、どうしても「ピニャコランダン」になっちゃって(笑)。

──なんだか愉快な感じに(笑)。この曲はアレンジも面白いですよね。

そうなんです。アレンジに関しては、レコーディングが終わったあとに「もう一癖二癖ある楽曲にしましょう」というお話がありました。そうしたら、間奏でボサノバっぽいギターソロが挿入されたりして。

──洒落てますよね。そこは、カイピリーニャがブラジルのお酒だから?

小松未可子

はい。と言っても、私はどちらのお酒の名前も知らなくて、歌詞をいただいてからカイピリーニャだけ発見して飲んでみたのですが……。

──けっこうアルコール度数が強めですよね。

「おお、大人のお酒だ!」と思いました。それを畑さんに言ったら「たぶん女子はピニャコラーダのほうが飲みやすいよ」と教えてくださって。だからシュガー&スパイスじゃないですが「女子は甘さも刺激も求めてるの!」みたいな、女性的なワガママが詰まった楽しい曲に仕上がったなと思います。

来年はスイカ割りがしたいです

──ちなみに小松さんは、今年の夏は何か夏らしいことはしましたか?

しなかったです。スタジオから花火をちらっと見ることができたくらいでしょうか。しかもそれは花火大会ではなくて、神宮球場の……。

──ああ、夏休み期間中のナイターで、5回の裏が終わると打ち上げられるやつですね。風情ありますけど、実はそこまで珍しいものでもないっていう。

(笑)。実は今年は、スイカ割りをしたいと思っていたんです。たぶん幼稚園のとき以来、20年以上やっていないので。ちょっとがんばれば屋内でもできそうだな、と思いまして。

──汚れないようにビニールシートでも敷いて。

スイカと棒さえあれば。

──今ここでテキストに残しておいては?

そうですね、言霊の力を借りて。来年は、スイカ割りがしたいです!(笑)

小松未可子「Swing heart direction」
2017年11月8日発売 / TOY'S FACTORY
小松未可子「Swing heart direction」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
1944円 / TFCC-89637

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小松未可子「Swing heart direction」通常盤

通常盤 [CD]
1296円 / TFCC-89638

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CD収録曲
  1. Swing heart direction
  2. Pina colada & Caipirinha
  3. Piece of Peace
  4. Swing heart direction -Instrumental-
  5. Pina colada & Caipirinha -Instrumetal-
  6. Piece of Peace -Instrumental-
初回限定盤DVD収録内容
  • "Swing heart direction" Music Video
  • "Swing heart direction" Music Video Offshoot + Interview
小松未可子(コマツミカコ)
小松未可子
1988年11月11日、三重県生まれの声優、歌手。2010年にアニメ「HEROMAN」の主人公ジョセフ・カーター・ジョーンズ役で声優としてのキャリアをスタート。2012年1月より放送のアニメ「モーレツ宇宙海賊」では主人公・加藤茉莉香の声を務め、4月には同アニメのイメージソング「Black Holy」で個人名義による歌手デビューを果たす。2012年、2013年には埼玉・さいたまスーパーアリーナでの「Animelo Summer Live」に、2014年1月には東京・日本武道館での「リスアニ! LIVE 4 SUNDAY STAGE」に出演するなど、大規模フェスにも数多く招聘される。2016年9月よりTOY'S FACTORYに所属し、同月Q-MHzプロデュースによるシングル「Imagine day, Imagine life!」を発表。2017年5月には引き続きQ-MHzの全面プロデュースで通算3枚目のオリジナルアルバム「Blooming Maps」をリリースした。8月にはテレビアニメ「ボールルームへようこそ」エンディングテーマの「Maybe the next waltz」をシングルリリース。11月には同アニメの2クール目エンディングテーマとなったニューシングル「Swing heart direction」を発表する。